メーデー
言葉にならんね
帯に短し襷に長し
どれも心とイコールではないものね

出典: Answer/作詞:片岡健太 作曲:片岡健太

Aメロでは【メーデー】【言葉】のふたつのキーワードが登場します。

まずはメーデーという単語の本来の意味を調べてみましょう。

メーデー(Mayday)とは、無線電話で遭難信号を発信する時に国際的に使われる緊急用符号語。
フランス語の「ヴネ・メデ(venez m'aider)」、すなわち「助けに来て」に由来する

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/メーデー

この言葉、映画や漫画などで耳にしたことがあるかと思います。

筆者は、ピンチのときに無線で「メーデー!メーデー!メーデー!」と呼びかけるイメージがあります。

つまりメーデーという単語には、”助けて”や”緊急事態”を知らせる意味があります。

3行目はことわざのひとつですね。

以上を踏まえて、Aメロの前半を深読みしてみましょう。

【メーデー】は単に呼びかけの合図で、4行目の「どれ」は【言葉】を意味していると読み取れます。

まとめると「どんな言葉も中途半端で、心とぴったり同じ意味になるものがなくて言葉で表現できない」となります。

メーデー
嘘言わぬようね
頭使えば腐るものね
心の中 ナマモノだね

出典: Answer/作詞:片岡健太 作曲:片岡健太

続いてAメロの後半部分を見ていきます。

同じく【メーデー】の呼びかけから始まりますが、2行目以降はより難解になりました。

ここで注目したいのが、「ナマモノ」という表現。

文面通りに解釈すると、「心=ナマモノ」であると読み取れます。

2行目と3行目を見ると「嘘にならないよう頭を使って考える」と解釈できます。

しかし3行目と4行目では「ナマモノは腐ってしまう」と歌っています。

では、Aメロ全体を通して解釈してみましょう。筆者はこう考えました。

「(心の中に)表現したいことがある。

それを忠実に【言葉】にしたくて(頭で)考えているうちに腐ってしまう」。

いかがでしょうか?

「【言葉】にしたい、でもできない」そんな表現者としてのジレンマが隠されているような感じがします。

<Bメロ>

泣いたり悔んだり怒ったりして忙しいけど
あかさたなはまやらわ じゃ嘘だな
じゃあ言っていいでしょうか

出典: Answer/作詞:片岡健太 作曲:片岡健太

続いてはBメロです。

1行目は喜怒哀楽、つまり感情のことでしょう。

2行目は文字通り【言葉】のことを指していると思います。

この表現の仕方が詩的でsumikaらしいなと筆者は感じます。

着目点は2行目のラストです。Aメロでも登場した「嘘」という単語がここでも使われています。

この部分を解釈すると、「あかさたな~で表現できるものはすべて嘘」という風になってしまいますね。

Aメロ~Bメロを通して見てみると、最終的に行き着くのはAメロ前半の4行目。

「【心】を表現できるものがない。【言葉】で表現すると全て嘘になってしまう」と解釈できるかと思います。

<サビ>

心の中はいつもこれだけ
心を叫ぶよ
言葉にすればいつもそれまで
心を叫ぶから
歌と詩に変えるから

出典: Answer/作詞:片岡健太 作曲:片岡健太

最後はサビ部分を見ていきます。

1行目の「これだけ」というのは、Aメロ~Bメロで歌っていた心境のことを指していると感じます。

表現者・音楽に携わる人間として抱えるジレンマといつも戦っている、という意味合いではないでしょうか。

そして2行目・4行目には、イントロで登場したキーワード【叫ぶ】が再び登場しています。

曲で最も重要なサビ部分で、2度も使われるこのフレーズ。

これまでの解釈と合わせてみると、これらの繋がりが見えてきました!

最終的な結論は後ほどにして、3行目に注目してみてください。

この部分に筆者は強く共感しました。

【言葉】を扱う職業だからこそ感じる、【言葉】の限界。それをこの曲は終始歌っているように思います。

【言葉】というのは、人間にとって重要なコミュニケーションの手段です。

しかし【言葉】で表現できるものって、案外そこまで多くないのかもしれません。

表現を極めようとするほど【言葉】と「表現したいもの」の間に明確な差が生まれてしまうのかもしれません。

Bメロで導いた解釈がそう物語っています。

しかしこの歌詞は「【言葉】じゃ表現できない」というところで止まっているわけではありません。

その先に最も表現したいことが歌われています。

それが、イントロ・サビの2・4・5行目のフレーズ。

なぜ【叫ぶ】という単語を使ったのか、考えてみました。

【心】を言葉にすることは出来ないけれど、叫ぶという表現で肯定している。

つまり、【叫ぶ】という行為なら【言葉】ではできない表現ができるという風に解釈できます。

この【叫ぶ】というのは、字面通り大きな声をあげるということではなく、とある行為の比喩だと思います。

その行為というのが、5行目。「歌」と「詩」、すなわち音楽ですね。

sumikaとして、表現したいものをより高い純度で表現する方法、それが音楽。

「Answer」は、sumikaが”音楽家としての答えを出した曲”だと言えるのではないでしょうか。

”メーデー”は一体誰に向けて発されたもの?

記事タイトルにもある問い、”メーデーは誰に発されたものなのか”。

この点については歌詞の中では考察しきれませんでしたが、筆者なりのアンサーを見つけました。

着目すべきは、収録アルバムの『Familia』です。

まず、タイトルの「Familia(ファミリア)」の意味について知っておきましょう。

ファミリアは、スペイン語で「家族(familia)」、英語で「親友(familiar)」、学術用語で「科」などを意味する

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ファミリア