奥華子の足跡
赤縁の眼鏡が印象的
千葉県出身の奥華子は、路上ライブの頃からキーボードの弾き語りをしていました。
実はメジャーデビュー前の2004年に、女優の井川遥さん出演のCMソングを制作し、歌ってもいたのです。つまりCMでの井川遥さんは口パクで、奥華子本人が歌っていたんですね。
本格デビューは2005年7月で、その後アニメ映画『時をかける少女』の主題歌である「ガーネット」で一躍人気を集め、同曲もロングセラーとなりました。
ここで初めて奥華子を知ったという人も多いのではないかと思います。
ビジュアル面では、赤い縁の眼鏡をしていることが多いため、その印象が強いのですが、実はこの眼鏡にはレンズがなく、縁だけなんだそう。
「ダテメガネ」どころではなかったんですね。
大学ではトランペットを専攻
経歴だけを見るなら、「東邦音楽大学トランペット専攻卒業」と書かれていますが、自身が音楽活動をするにあたっては、トランペット奏者としての活動はありません。
常にキーボード、もしくはピアノを使用しています。
コンサートでは稀にトランペットも使用することはあるようですが、音源として収録されているのは10枚目のシングル曲「初恋」のカップリング曲である「虹の見える明日へ」の間奏部分のみ。
本人いわく「お遊び程度に」吹いているだけだそうです。
ちょっともったいない気もしますね。
とは言え、ピアノを始めたのが5歳からで、トランペットは9歳からということですので、やはり鍵盤の方が親しみがあるのかも知れません。
言語としての「楔」の意味
実は使い方はさまざま
「楔」と聞くと、通常は「留め具」という意味合いで使われることが多いですね。
建築などの現場ではよく用いられるようで、「責め木」と言われることもあります。
それが転じて、「二つのものを固くつなぎ合わせるもの」という意味となり、「絆」を示すことにも使われています。
ただ、「楔を刺す」となると、「後日問題が起こらないように、しっかりと約束を確かめる」とか、「念を押す」という意味合いにもなり、やや重くなってしまいます。
さらに、「楔を打ち込む」になると、「親しい間柄に邪魔を入れる」という意味を持つため、かなり深い言葉と言えるでしょう。
楽曲の足跡
配信先行リリース後にCD化
「楔─くさび─」という楽曲は、奥華子の15枚目のシングル曲なのですが、まずiTunes Store限定で先行配信が開始されてから、約1ヶ月後にシングルCDとして発売されました。
実はインディーズ時代に手掛けた楽曲で、メジャーデビュー10周年となる年に、満を持してリリースされた、奥華子の最重要失恋ソング。
カップリング曲になっている「花火」もインディーズ時代の人気曲で、実はこの楽曲がメジャーデビューのきっかけになったそうです。
インディーズ時代に路上で手売りしていたCDには収録されていた「楔─くさび─」ですが、メジャーでの音源化は初めて。
自主制作シングル「奥華子 vol.4」と、インディーズ・アルバム「奥華子 vol.best」に収録されていました。
動画サイトに非公式でアップされたものは、累計で1,500万再生を越えていました。
本人の知らないところで、無名ながらも楽曲の持つパワーだけで大きく広がっていったとも言えます。
自身の経験から生まれた失恋ソング
「楔─くさび─」は、デビューよりもさらに5年ほど前にできていた楽曲で、当時の彼女にとって一番ダメージの大きい失恋を経験したことが元だとか。
その失恋で感じたやるせなさを楽曲にしたということもあり、等身大の奥華子を感じられる名曲に仕上がっています。
本人も楽曲ができあがった時には、「オリコン1位いっちゃうな(笑)」と思ったのだとか。
それほどの自信作だったのでしょうね。
奥華子がインディーズ時代の楽曲を、メジャーでリリースし直すということ自体は何度かやっているものの、やはり難しさはあるようです。
しかし彼女いわく、自分は「もったいない病」らしく、さらに自身でも非常に気に入っている楽曲でもあるため、10周年という節目のタイミングを見て、自らスタッフに発案したのだそうです。
それがなければまだ音源化されていなかったかも知れないと思うと、非常に貴重な機会でした。
現在は、奥華子の8枚目のアルバムであり、10周年記念作品でもある「プリズム」にも収録されています。
それでは、2015年に配信された方のショートヴァージョンを聴いてみましょう。
そしてこちらは2009年にアップされた方の楽曲です。