Paradisus Paradoxumの意味とは?
TV東京系アニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」3章のオープニング曲である“MITH & ROID(ミスアンドロイド)の “Paradisus-Paradoxum(パラディスス パラドクスム) ”。
タイトルの意味とは、ラテン語で「矛盾の楽園」という意味です。
「楽園」と言えば、極上の楽園、悩みなど一切ない快楽の世界といった感じがしますが、そこに「矛盾」といった言葉が入るのはどうしてでしょうか。
その「矛盾」とは一体どこからくるのでしょうか?
歌詞に秘密があると言えるかも知れません。
では、どのような歌詞なのか“MITH & ROID”の “Paradisus-Paradoxum ”の歌詞の意味を解釈、一緒に紐解いていきましょう。
「侵蝕」と「絶望」
Now let me open the scar
溶け合ったVirus 虹に黒を指し飛び立つ
出典: Paradisus-Paradouxm/作詞:MYTH & ROID/作曲:MYTH & ROID
この曲のジャケットもそうですが、このオープニング曲のテーマには「侵蝕」と「絶望」というものがあります。
「虹」に「黒」を指すには相反する言葉の「矛盾」があり、まさに、相反する「矛盾」がそこに生まれる。
矛盾があることによって、もはや楽園はただの楽園ではなくなり「何かに侵蝕されているような」不穏で不気味なイメージの世界観がに見事に表現されている。
浸蝕されていく様子は、まさにリゼロ3章のスバル君そのものなのかも知れない――。
それと同時に、とてつもない「絶望」や「絶望感」を感じる。
回を増してどんどんと増す絶望感、それを感じているのはスバル君と、その姿に自分を投影し同化している自分だけ。
すごく苦しく絶望しかないのに、聴けば聴くほどにハマっていくこの感情は、一体何者ナノダロウ?
曲の歌詞の毒々しさと不思議と気持ちの良い疾走感といい、絶妙にその「絶望」という「毒」(快楽)に侵蝕されていく様子は、まるでパラドクス。
まさに、「矛盾の楽園」なのではないでしょうか。
赤い花の蜜 濡れてた隠れたノイズ
胸に這い寄るの “ウマレカワリタイノデショウ?”
永遠眠っていたパラダイム
芯を食って侵食していた “
出典: Paradisus-Paradouxm/作詞:MYTH & ROID/作曲:MYTH & ROID
美しく美味しいとされる蜜に迫りくる不穏なノイズ、美しいものが一変して、毒々しさを感じざるにはいられないでしょう。
不気味なノイズには、これから起こるであろう不協和音を感じます。
そのノイズが這い寄ってくるその様子は、不気味で異様な切迫感がある。
カタカナで表記されているのが、その不穏な不気味さをより一層増している。
触れてはいけない禁断の赤い花の蜜が甘く囁く。そして、自分の内なる欲望、禁断のパラダイムの扉を開けてしまう――。
「傷」と「狂気」
Now let me open the scar
溶け合ったVirus 触れて露わになる本能
Grew up in the loneliness
壊れたReality 虹に黒を指し飛び立つ
出典: Paradisus-Paradouxm/作詞:MYTH & ROID/作曲:MYTH & ROID
“scar”とは、「傷」という意味。そして、”insanity”とは、「狂気」という意味です。
「その傷を開かせて」というより、「その傷をえぐらせて」と解釈、表現した方がこの歌詞の中ではより不気味さが増すのではないでしょうか。
溶け合ったウィルスが触れてられて、まるで化学反応を起こすようにその本能がより霧(あら)わになっていく。
まるでウィルスが得体の知れないもの、モンスターへと変化し、露わになっていく様子を表している様にも思える。
破壊されたリアリティ、そこには、正気ではない狂気が感じられます。
リアリティに「矛盾」を抱きながらも、それでもなお飛び立っていく使命感や力強さみたいなものを歌詞に感じる。
まさに、オープニング曲に相応しい歌詞と言ってもいいのではないでしょうか。
今すぐ抜けて出して 正気の迷路
反転したコントラストへ
青い硝子に 映った私は
残酷な微笑で 喉を震わせるの
I’ll change to a monster
裏切り合いも 深く堕ちてゆくプロセス
出典: Paradisus-Paradouxm/作詞:MYTH & ROID/作曲:MYTH & ROID
正気という名の狂気の迷路から今すぐ抜け出さないと、残酷な微笑みという快楽、「毒」に「侵蝕」されていくといった危機感と切迫感を感じる。
毒に犯される前に、反転したコンストラクトへ早く抜け出して。
ここでは「青」という言葉の中に、「正気」を表しているのではないでしょうか。
しかし、その正気であるはずの「私」が微笑んでいるといった歌詞から、正気の沙汰でない「狂気」を感じざるに禁じ得ない。
その異様な狂気からは、何か浮遊感がありながらも背筋が凍るような印象を感じてしまう。
モンスターへと変貌していく様子。裏切り合いながら堕ちていくプロセス、歌詞からは「絶望」に「侵食」させられていく様子を感じずにはいられないでしょう。
Is my insanity?
その問いさえが 盲目と欲望の証
そのまま飛び出していった 散った世界は
パラドクスの楽園のよう様“
出典: Paradisus-Paradouxm/作詞:MYTH & ROID/作曲:MYTH & ROID
”これこそが私の狂気?”と、自問自答する、その問いさえがもはや「狂気」であり、自身の狂気をイケナイと感じながらも、自分の内なる盲目な欲望を満たそうとしてしまう。
その欲望の赴くまま飛び出していった散った世界は、もはやただの楽園ではなく、嘘にまみれた矛盾だらけの楽園の様であったに違いない。
Live it up! Live it up! Live it up! 目を醒ました
Live it up! Live it up! Live it up! 感情の流れるままに
Now let me open the scar
溶け合ったVirus 生まれ変わった本能で
出典: Paradisus-Paradouxm/作詞:MYTH & ROID/作曲:MYTH & ROID
死は易く生は難し!目を醒ました内なる狂気(モンスター)。
化学反応の様に溶け合ったウィルスという名の「狂気」、生まれ変わった本能で感情の流れるままに、その傷をえぐらせて。
目を醒ました「狂気」と溶け合ったウィルスに「侵蝕」されていく様子が見事に表現されているのではないでしょうか。