「Gravity」「アカシア」両A面の名盤
アニメーション映画の主題歌
アニメーション映画「思い、思われ、ふり、ふられ」の主題歌として書き下ろされた「Gravity」。
優しくあたたかい印象を受けるミドルバラードです。
作中の登場人物たちの思いを反映させるように、どこか切ない旋律が印象的。
映画の映像を使用したスペシャルMVも公開されており、必見です。
切なくも愛おしい青春の心のふれあい。
それを印象的に描いた一曲を歌詞から深く考察していきます。
「アカシア」との両A面シングル
2020年11月4日に両A面シングルとしてリリースされた「アカシア/Gravity」。
本作は「アカシア盤」「Gravity盤」の2形態でリリースされています。
「アカシア」は「ポケットモンスター」のスペシャルMV「GOTCHA!」に寄せて制作された一曲。
BUMPとポケモン両ファンから、大きな話題と評価を呼びました。
「アカシア盤」には映像特典として、「GOTCHA!」フルバージョンのムービーが収録されています。
一方の「Gravity盤」には全国ツアー「aurora arc」のZepp Osaka Bayside公演の一部を収録。
こちらもファンにとっては必携の一枚となっています。
二人で過ごすかけがえのない時
終わっていく時間の中で
帰ろうとしない帰り道 いつもどおり
視界の隅っこ ほとんど外 君が鼻をすすった
空を割る夕方のサイレン
給水塔の下 あれは蝙蝠
出典: Gravity/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
帰り道という言葉は、それだけで学生時代を連想させるもの。
友達と、好きな人と。
いつまでも一緒にいたくて、日が暮れるまで話していた日々。
けれど時間は過ぎ、夕方が終わり夜が来る。
サイレンや蝙蝠が否応もなくそのことを伝えています。
夜になればひとり家に帰らなくてはならなかった学生のころ。
夜の訪れは別れの訪れでした。
恐れているのは何なのか
僕らは時計を見ないようにしていたけど
そんな風にして時間に気付いてしまうから
かき消すように喋ろうとして
なんだかやっぱり黙ってしまう
出典: Gravity/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
時計を見ないようにしていた僕ら。
僕らが恐れ、避けようとしていたのは何だったのでしょう。
夕方が終わり、夜になる。
それは大切な人と離れ、ひとり帰路につかなければいけない時間。
そして同時に、子供の時代が終わり大人になることも暗示しています。
いつまでも君との楽しい時間が続いてほしい。
そう願うから、時間が過ぎないでほしいと願う…。
時計を見ないのは、そんなつつましい願いの現れなのでしょう。
けれど時間は無情に過ぎていき、別れの時間が近づいてくる。
僕らが恐れているのは、今日が終わりふたり別れなくてはならないこと。
そして子供の時代が終わっていってしまうことなのです。
君が君であるだけで
君の影の 君らしい揺れ方を
眺めているだけで 泣きそうになったよ
出典: Gravity/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
ふたりの間に会話はないまま。
鼻をすする音が聞こえ、言葉も出てこなくて。
話したいことは話し尽くした後の時間なのかもしれません。
もう一緒にいる用事はなくても、なんだか君と一緒にいたい。
ただ君がそこにいて、君の影が揺れている。
それだけのことが泣きそうになるほど愛おしくあたたかい時間だと感じられるのです。