わりと同時に くしゃみしちゃうのが
面白かったよ 泣きそうになったよ

出典: Gravity/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

夕方の道で冷えた体。

同時にくしゃみをするようなささいな一瞬の出来事。

思わず笑ってしまうようなふたりの出来事です。

けれど、そんな出来事さえ涙がこぼれそうになるほど愛しい。

今こうしていられる時間はきっと永遠のものではない

だからこそ今が愛おしくて大事なんだと感じるのです。

今この瞬間を大事に抱きしめて

この時を忘れない

今日が明日 昨日になって 誰かが忘れたって
今君がここにいる事を 僕は忘れないから

出典: Gravity/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

時間は過ぎ、明日になる。

今日という瞬間が終わってしまうこと。

どうなるかわからない未来がやってきてしまうこと。

僕が恐れているのは、そんな「明日」がやってくることです。

楽しかった時間は終わり、大切な君のことを忘れてしまう人もいる。

けれど僕は愛しい今を忘れない。

君が確かにここにいたこと。

一緒にいて笑い合えたこと。

そんな今の全てを大事に思い、忘れないと誓う。

僕はそう願うのです。

痛いほどにこの手に刻み付けて

見えない涙拭って 謝るように笑って
触ったら消えてしまいそうな 細い指の冷たさが
火傷みたいに残っている

出典: Gravity/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

きっとそう思っているのは君も同じなのでしょう。

笑っている姿がどこか泣いているように見えて。

楽しい時間を一緒に大切にしたいから、涙は見せない。

そんな君の姿が浮かんできます。

細くて冷たい君の指。

冷たいはずのそれは、触れた僕の指先と心に火傷のように残ります。

確かに君がいたという熱さ。

それを消えない傷のように自分の身に刻み付ける

今という消えてしまう宝物。

儚く愛しいものだからこそ、心に痛いほどに刻んで生きていくのです。

いつまでも君が幸せであれ

せーので全て飛び越えて 僕らのまま笑って
裸足のメロディー歌うから そして一緒に手を振るんだよ
笑顔のまま またねって

出典: Gravity/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

今を終わらせること、明日が来ることを恐れていた僕ら。

けれど、最後にはそれを二人で飛び越えていく姿が描かれます。

今という愛おしい瞬間。

それを大切に覚えていれば、どんなに変わっても僕らのままでいられる

今と同じ飾らない二人のまま。

一緒に笑顔で手を振って、またねと別れの合図を交わす勇気を出せる。

今日という一日の終わり。

それは暗示として、子供だった日々の終わりでもあるのでしょう。

変わりたくない「今」は子供でいられる時間のこと。

恐れている「明日」は大人になった後の日々を示しています。

またねと別れた後、「明日」のふたりは全く違う道を歩まなくてはならないかもしれない。

それはとても怖くて寂しいこと。

けれど愛しい今があるから大丈夫だと、笑顔で進むことができるのです。

雨でも晴れでも 空のない世界でも
また明日 明日が ちゃんときますように
一緒じゃなくても 一人だったとしても
また明日の中に 君がいますように

出典: Gravity/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

「また明日」。

怖かったはずの明日を僕は願います。

どんな明日が訪れるかはわからない。

君と僕が一緒にいられるかも定かではない。

今が終わり、明日が来るというのはそういうことなのです。

それでも、明日が来てほしいと願う。

そして、一緒にいられなくてもそこに君がいてほしいと願う。

それは、いつか一緒にいられなくなる未来を予見しているようです。

いつか魔法は終わる。

君といられる時間は過ぎ去ってしまう。

それでも、どうか君が明日を迎えていてほしいと願うのです。

生きていくことは幸せなことばかりではありません。

つらく切ない日が訪れることも、嬉しい日が訪れることもある。

けれど生きているからこそ明日を迎えることができるのも事実です。

どんなに苦しくても辛くても、離れていても。

君と一緒に生きていきたいと願う。

そして今という愛しい瞬間が、君の支えになっていてほしいと思う。

そんな祈りが込められているのです。

切ない青春の輝きを描いた作品。

その主題歌として瑞々しく輝くのが「Gravity」です。

「Gravity」は重力引力という意味。

それは惹かれあう僕と君が。

そして明日を生きる僕らにとっての「」が。

互いを繋ぎ止め引き寄せ合うかけがえのない存在。

そんな意味が込められているように感じられます。

愛しい今を見つめ、また明日を生きる。

そんな心の支えとして煌めく、愛おしいナンバーです。

進化を続けるBUMPの名曲をおさらい!

BUMP OF CHICKEN【Gravity】歌詞の意味解説!何を恐れる?今を大事に思う心情を読むの画像

2021年、バンド結成から25周年を迎えたBUMP OF CHICKEN

デビュー当時から時には輝きを変え、時には新しい音に挑戦しながら進んできた彼ら。

そんなBUMPの音楽は常に聴く人に寄り添い、そっと背中を押してくれる音楽でした。

「Gravity盤」に収録されたツアーaurora arc」。

その名を冠したアルバム全曲解説をご紹介します。

また、2019年時点での人気ランキングおすすめです。

初期の楽曲しか聴いたことがなかった方も、是非今のBUMPを聴いてみてください。

心に抱いたあたたかさは変わらぬまま、進歩し続けるBUMPの「明日」から一層目が離せません。