ロック・ミュージックのDNA
この頃は守られもしない約束に慣れた
「人生はこんなもんさ」なんて
どの口が言うの？知ったかぶってさ
クルクルと変わる
夢の見方さえ忘れた大人は溢れる
それを喰う街から逃れた足で
君を呼んでいたよ
出典: Lapis/作詞:チャム(.△) 作曲:渡辺壮亮
歌い出しから挑発的なチャム(.△)の歌詞。
大人と自身を相対させているラインに注目します。
チャム(.△)は等身大の自分よりも若い世代の「君」に希望を託して歌詞を紡ぐタイプの書き手です。
ロック・スターとしては正しいアチチュードでしょう。
いつまでもこうした若々しさを失わずにいて欲しいです。
またチャム(.△)の歌詞には毎回既存の社会への鬱憤が渦巻いています。
社会への不満を持つ若者は減りつつありますがロックの本来の姿勢として現状肯定は似合いません。
7位 JOHN DOE
2018年9月12日発表、嘘とカメレオンのメジャー・デビュー・アルバム「ヲトシアナ」収録曲「JOHN DOE」。
モダンな音作りが印象的です。
速いテンポでぐんぐん進んでいきます。
タイトルの「JOHN DOE」は英国で訴訟の際に相手方が不明な時に用いる名前。
そこから転じて「普通の人」という意味になります。
ボーカルまでにエフェクトを掛けて、コーラスというよりは怒号のようなメンバーの声。
嘘とカメレオンの楽曲の中でも激しいナンバーです。
歌詞を見ていきましょう。
凡庸さへの批判的視点
暗然たるジェーン・ドゥに口づけ
虎の威を借るなんとやら
完全たるジョン・ドゥが食べた
バナナナナナナナナナ
暗然たるジェーン・ドゥに口づけ
虎の威を借るなんとやら
完全たるジョン・ドゥを見ていた
猿も裸足で木から落ちた
出典: JOHN DOE/作詞:チャム(.△) 渡辺壮亮（ラップ詞） 作曲:渡辺壮亮
歌詞はナンセンスなのか難解なのか読解が難しいものです。
「JOHN DOE」というタイトルからは凡庸さへの批判的な視点を感じます。
虎の威というのは権威にすり寄る態度への批判でしょう。
何となく右へ倣えをしてしまう大人たちへのアンチテーゼが描かれているようです。
とはいえ意味を汲み尽くすことに汲々としてしまい楽曲のスピード感を忘れてしまっては損でしょう。
マシンガンが発射されるような速さへのこだわりを素直に感じて快感を得るのがいいと思います。
ライブではさぞかし盛り上がるでしょう。
6位 ルイユの螺旋
2019年5月29日発表、嘘とカメレオンの通算2作目のミニ・アルバム「ポストヒューマンNo.5」収録。
嘘とカメレオンによる初めてのドラマ主題歌「ルイユの螺旋」。
「絶対正義」というものなどあるのか？
正義とは何かを問う歌詞ですのでよく解きほぐしながら鑑賞したいものです。
チャム(.△)は「絶対正義」という言葉に抵抗を感じていたよう。
歌詞を見ていきましょう。
解けない問いを解く
壊した秘密、きっと
知らぬが仏
見て見ぬ振りにうんざりなの
ゆらゆらゆらゆらゆらゆらゆら
繰り返しじゃ何も変わらない
ああ ああ
何も変わらない
ああ
何も変わらない
着かない、月のない、未来
螺旋のように
出典: ルイユの螺旋/作詞:チャム(.△) 作曲:渡辺壮亮 チャム(.△) 青山拓心
クライマックスの歌詞です。
ルイユとは魚料理のことではありません。
トロンプ・ルイユ、シュルレアリスムが華やかな時期に描かれただまし絵のことです。
このだまし絵でよく無限回廊が描かれていました。
チャム(.△)は正義に関する論争は無限回廊のような螺旋を描いて果てのないものなのだと喩えます。
議論が繰り返しでは変わることがないし無限回廊はどこにも着かない。
これは虚無感というよりも焦りに近いものだと想います。
「ルイユの螺旋」の歌詞は掴みどころがないように感じますがタイトルの意味に思いを馳せてください。
チャム(.△)なりの正義への回答だと気付かされるはずです。
歌詞の内容を視覚化したMVが公開されています。
リンクを貼りましたのでぜひご覧ください。
5位 百鬼夜行
2018年9月12日発表、嘘とカメレオンのメジャー・デビュー・アルバム「ヲトシアナ」収録曲「百鬼夜行」。
ライブの1曲目やアンコール曲の定番です。
タイトル通り妖怪たちの「百鬼夜行」がモチーフ。
一方で恋も歌われるという不思議な曲です。
嘘とカメレオンの中でも速くて激しいナンバーになります。
HARDCORE PUNKの要素も持ち合わせているのが嘘とカメレオンの魅力です。
歌詞を見ていきましょう。
