夕凪が水面に
並べた羊雲のように
斑の心じゃ君の 声にも気付かない
出典: 君という名の翼/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎
1番は親友を失った主人公が「僕」でしたが、2番のサビ前までは主人公を残していくことになった親友の心情を歌っており、親友が「僕」、主人公が「君」にあたるのだと思います。
ここからの解釈は1人称が入れ替わるのでご注意ください。
「斑の心」とは、邪な気持ちを含んだ心のことで、自分のことも大切に思っている「君」の声にも気づかないまま、命を失うことになってしまったことを言っているのではないでしょうか。
永遠と思えた日々が沈む
秋風がまだ遠く 夏の終わりを
待ちわびている頃
僕等の瞳に 最後の陽が落ちる
出典: 君という名の翼/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎
日の長い夏の盛りに「最後の陽が落ち」たというのは、「僕」が死んだことを歌っているのでしょう。
いつまでも太陽が昇っていると思えるくらい、永遠に続くと思っていた「僕」たちの夢を追いかけた日々が唐突に終わりを告げたのでした。
「振り払えはしない残像」
追いかけてもすれ違う感情
振り払えはしない残像
選べない道を目の前に
立ち尽くした
青春の影で
出典: 君という名の翼/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎
この部分は1番では主人公を導く光を、2番では親友を飲み込んだ影を歌っているパートです。
同じパートに青春の光と影を詰め込んだすごい構成ですね。
主人公と心を一つにしなければならない競技で主人公を「追いかけて」絆を保とうとしても「すれ違う感情」と、「ふり払えはしない」主人公と同じ人を好きになったという事実が「残像」のように焼き付いて、「立ち尽くした」結果、親友は主人公に好きな人を巡る競争を挑んだという動機が描かれている歌詞。
そして、二人が争い、「僕」が人生からおりることになったのは「選べない道」つまり、運命だったと言っているのです。
親友の夢を背負っているから立ち止まれない
諦めても 背を向けても
誤魔化せない心の舵は今も 君の両手に
叶わぬ夢を浮かべても
沈まない勇気の煌めき
この一瞬にかけてみたい
最後まで離さずに 握り続けた願いが
導く場所を目指せ
出典: 君という名の翼/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎
ここでまた主人公が「僕」視点に戻ります。
何回諦めて背を向けようとしても夢を追い続けるのは、「心の舵」を親友だった「君」が握っているから、裏切ることはできないと言っているのです。
ここでは失った親友のことを歌っていますが、夢を追うきっかけとなった人や出来事がずっと心の中に残り続けて、くじけそうになった時の支えとなるということは、夢を追い続ける人なら共感できるのではないでしょうか。
「切なくて」もあの頃には戻れない
知らず知らずに背中で聴いてた声が
今もまだ 僕を振り向かせる度 切なくて
出典: 君という名の翼/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎
親友がいつも背中からかけてくれていた、自分を励まし、支える声に、生きていた頃は気づけていなかったという主人公の後悔が伺える歌詞です。
「斑の心じゃ君の声にも気付かない」という親友の心情を歌った歌詞と似ていますね。
一緒に居られる間はお互いを理解し合えていなかったと、もう二度と会えなくなってから気づいたのです。
「君という名の翼で僕らがいたあの空へ」
あきれる程真っ直ぐに 走り抜けた季節を
探してまだ 僕は生きてる
間違いだらけのあの日々に落とした涙と答えを
胸いっぱいにかき集めてはぐれない様にと抱きしめた
もう一度あの夏空あの風の向こう側へ
君という名の翼で
僕等がいたあの空へ
出典: 君という名の翼/作詞:小渕健太郎 作曲:小渕健太郎
もう戻ってこない、周りも見えなくなるくらい真っ直ぐに、「君」と一緒に夢に向かって「走り抜けた季節」を探して、「僕」はまた走り出します。
今度は過去の過ちや涙を無駄にしないと決意しながら。
そして、「君」の意志という翼とともに、「僕」は夢に向かって飛び立つのでした。