キャッチフレーズは『100万ドルの微笑』

気持ちが和むホンワカした雰囲気

石野真子【狼なんか怖くない】歌詞の意味を独自解説!かわいすぎる真子ちゃん…アレコレ思い悩んでいます…の画像

当時のアイドルには必ずと言っていいほどキャッチフレーズが付けられており、石野に付けられたものは「100万ドルの微笑」。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/石野真子

「狼なんか怖くない」でデビューした石野真子のキャッチフレーズは、『100万ドルの微笑』でした。

美しい夜景を売り込むための宣伝文句、『100万ドルの夜景』にあやかったのでしょうね。

ちなみに“キョンキョン”こと小泉今日子のキャッチフレーズは『微笑少女(びしょうじょ)』です。

ソロのアイドルが活躍していた時代に、売り出すために事務所が知恵を絞っていたのが分かります。

石野真子の最大の魅力は、見る人の気持ちを和ませるホンワカした雰囲気です。

素直さを感じる彼女の優しい微笑みに癒やされた男の子が、きっとたくさんいたでしょう。

トレンドは垂れ目だった?

石野真子【狼なんか怖くない】歌詞の意味を独自解説!かわいすぎる真子ちゃん…アレコレ思い悩んでいます…の画像

その微笑みを生む、愛らしい垂れ目と八重歯も彼女のセールスポイントです。

当時の芸能界には垂れ目のアイドルが結構いて、麻丘めぐみや浅田美代子もそうでした。

意志の強さを感じるキリッとした目よりも、癒やしを感じる垂れ目がいわばトレンドのひとつだったのです。

歌番組に出演した彼女の垂れ目と微笑みは確かに魅力的でした。

鏡に向かう幸せなひと時

少女の想いを表現する阿久悠のセンス

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あなたも狼に変わりますか

はじめてのルージュの色は
紅過ぎてはいけない
大人の匂いがするだけでいい
唇をすぼめたままで
くちづけは出来ない
鏡に向かってあれこれ思う

出典: 狼なんか怖くない/作詞:阿久悠 作曲:吉田拓郎

昭和の大作詞家、阿久悠が書いた歌詞は少女から大人へと変わっていく頃を上手く表現しています。

“紅”は「あか」と読ませていますが、なるほど色が濃すぎては少女らしさが失われてしまうでしょう。

それでも恋をする少女は少し背伸びをしてみたいのです。

口紅は女性にとって、もう大人だと自己主張する最初の手段なのでしょうか。

彼とのキスシーンを想像しながら鏡を見る少女には、控えめな色のルージュを選ぶ純真さが見えています。

それでいて大人の雰囲気も少し出したいという、可愛らしいところもあるのです。

キスをする時に唇の形はどうすればいいのか、そんなことまで想像する彼女はまだまだ子供なのでしょう。

色々なことを考えるのも、恋をする少女には幸せなひと時です。

「狼なんか怖くない」を書いた時の阿久悠は既に40代。

“おじさん”と呼んで差し支えない男が書いたとは思えない歌詞には、彼の豊かな想像力と感性が表れています。

短い歌詞の中で恋する少女の想いを上手く表現できるのが、作詞家としてのセンスです。

“誰か”はイングリッド・バーグマン

映画の名場面に登場する台詞

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鼻が邪魔だと誰かがいってたわ
古い映画の台詞だったかしら

あなたも狼に変わりますか
あなたが狼なら怖くない

出典: 狼なんか怖くない/作詞:阿久悠 作曲:吉田拓郎

キスする時に唇の形はどうすればいいのか考えていた彼女には、もうひとつ気になることがありました。

鼻が邪魔になったらどうしよう…!

そんな心配をしていたのは、彼女だけではなかったのです。

“誰か”とは、映画『誰が為に鐘は鳴る』のヒロイン、イングリッド・バーグマンのことです。

歌詞にもあるようにかなり古い映画なので、見たことがある人はかなりの映画通だと思います。

『老人と海』のヘミングウェイ原作で、スペインの内戦を舞台にした名作の中に有名なシーンがあるのです。

主演のゲーリー・クーパーとキスをする時に、彼女は『鼻(の位置)はどうなるの?』と彼に尋ねます。

悲劇のヒロインでもあるバーグマンが、とてつもなく可愛く見える名場面です。

石野真子はデビューする前にこの映画を見ていて、歌詞の意味が分かったのだそうです。

自分の知っていることが歌詞に書かれているのを見た彼女は、きっと嬉しかっただろうなと思います。

続いて入るサビの部分は、「男はみんな狼」という古典的な表現を歌詞の中に取り入れたものです。

油断ならない男という生き物を狼に例えているのですが、彼女はそれでも構わないのでしょう。

恋愛という未知の世界へ飛び込んでいこうとする、夢見る少女の危なっかしい好奇心を上手く表現しています。

阿久悠は作詞家としてだけではなく、映画化された「瀬戸内少年野球団」など小説でも才能を発揮した人です。

歌詞の中にさりげなく映画の名場面を忍び込ませたのも、売れっ子の作詞家らしくお洒落だなと思います。

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