エメラルドに彩られた君を夢見る

エメラルドに込めた意味

エメラルドのシャツの奥できらめく
生身の君の正体を 夢見る僕の切なさよ

出典: エメラルド/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏

楽曲タイトルともなっている「エメラルド」。

エメラルドは古代ローマでは愛と美の女神「ヴィーナス」と深い関わりを持ちます。

かつて「ヴィーナスに捧げる石」と呼ばれたエメラルド。

まさにドラマのタイトルにも冠された「ビーナス」とリンクしています。

またエメラルドを語る上で有名なのが、古代エジプトの女王クレオパトラが愛した宝石だという逸話。

美女として有名で、一方では悪女だったとも、聡明な女王だったとも語られた謎めいた女性です。

愛と美の女神ヴィーナス。

謎めいた美しい女王クレオパトラ。

美しくも正体の掴めない女を象徴するのが「エメラルド」という宝石なのです。

美と謎に満ちた女性。

その奥に隠された生身の姿に僕はまだ触れることができません。

謎ではなく真実の君に触れたい。

そう願うも僕の願いはまだ叶うことはありません。

僕は切なさを抱えたまま、君の正体を夢見ることしかできないのです。

君の正体はどこに

恋しいのさ 今君の未来は 誰のものなの

出典: エメラルド/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏

切ない歌声でサビは続きます。

真実の君に触れることができない僕。

君の未来を想像するのは、同時に自分と共に過ごす未来を夢見るということ。

ですが君の正体に触れることができない僕は君と共に未来を過ごすことも難しいのでしょう。

ドラマ「危険なビーナス」のヒロイン・は主人公・伯郎の「弟の妻」を名乗る人。

その言葉を信じれば手に入らない人だからこそ、一層謎めいて魅力的に見える人なのかもしれません。

君の謎に心惹かれて

明かされない姿に魅せられる

はだけるより大胆に
それでいて見たいとこを隠す
もはや芸術的なフォルムで

出典: エメラルド/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏

セクシーな印象の歌詞から始まる2番。

衣服をまとっているのにはだけているよりも大胆な姿。

しかし本当に見たいところは隠されています。

その姿さえも芸術作品のように美しい。

それは君の容貌にいえるのはもちろん、内面にもいえることなのでしょう。

心の内を明かしてくれたようで、本当に知りたいことは隠したまま。

そんな君のかけひきもまた芸術的なのです。

そして、もうひとつ思い起こされるものがあります。

大胆に真相を見せたようで、本当に見たいところは隠されたまま

そんな姿は、まさにミステリー小説の謎のありようにも似ています。

ひとつ謎が解けたと思うと、さらに奥に隠されている謎に気が付く…。

そういったドラマ作りもまた芸術的。

魅力的な人はまさにミステリーに似ているのかもしれません。

首輪という従属の印

シビれるくらい堪能したい
毒入りの君でも
お好みなら這いつくばって
首輪も付けるぜ

出典: エメラルド/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏

謎と冷酷さに満ちた君。

そんな君はまさに毒入りの果実のような存在です。

口にしたら毒に侵されてしまうとしても、魅了されてやまない。

君が望むなら犬のように地に這いつくばり、首輪さえも付ける。

これはまさに君への降伏宣言です。

「エメラルド」のジャケットにはが描かれています。

まさに犬のように君に服従し、従順に飼いならされても構わない。

むしろそれさえ幸福に感じるような、倒錯した恋愛観が顔を見せます。

弱気な男性の恋心を描くのはback numberのお家芸。

そんな弱気な男性と、ミステリアスで女神のように美しい女性。

ふたりが出会い恋に落ちたなら、身も心も彼女に服従してしまう。

服従してでも君の心を掴みたい僕の感情が伝わってくる、back numberだからこその一節です。

身も心も君に捧げる