見ざる聞かざる言わざるってどういう曲?

今回紹介する水曜日のカンパネラの「見ざる聞かざる言わざる」は、2018年6月27日にリリースのEP「ガラパゴス」に収録されている楽曲です。

リリースに先んじて6月2日にYouTubePVが発表されています。

伸びやかな歌声が印象的なEDMに仕上がっていますので、まずはPVを見てみましょう。

初出は「BeatsX イヤフォン」のCM!

ん?このフレーズどこかで聞いたことがあるという方は鋭い!

リリースの数カ月前の2018年2月ごろから、ベッキーが出演するCMに起用されていましたので、そこで耳にした方も多いと思います。

しばらくメディア出演を控えていたベッキーが、徐々に復帰し始めた段階で出演したCMとしても話題になりました。

そこで使われているのは、こんな歌詞の部分です。

最近用はない 最近用はないという
最近用はない 最近

出典: 見ざる聞かざる言わざる/作詞:ケンモチヒデフミ 作曲:ケンモチヒデフミ

自宅から撮影なのかイベントなのかの仕事に向かうベッキー。

その、背後で連呼される歌詞が「最近用はない」という部分なのは何かひっかかりますが…。

通話にも使えるワイヤレスイヤフォンで、しかもお洒落!という演出には、大人びた印象になったベッキーがぴったりですね。

最後に外したイヤフォンを「ステキなネックレス」と褒められたのに対して「これホントはイヤフォンなんだよ」というセリフが印象的です。

なお、このイヤフォンは、平昌オリンピックのスノーボード男子ハーフパイプで銀メダルを獲った平野歩夢が愛用していることでも有名です。 

PVは「桃太郎」以来のアニメ仕立て!

水曜日のカンパネラの場合、フロントのコムアイのパート(役割)を「主演・歌唱」としていることから、コムアイのヴィジュアルを前面に出したPVが多くを占めています。

その中で、今回のPVは「桃太郎」以来のアニメーションの起用となりました。

PVを手掛けたのはぬQ!

チャットモンチーの「こころとあたま」PVやCM、テレビ番組のオープニングアニメなどで活躍中の映像作家のぬQがPVを手掛けています。

ぬQと書いて「ぬきゅう(Nukyu)」と読み、多摩美術大学大学院修士課程修了という学歴を持つアーティストで、アニメーション制作を中心に活動しています。

大学でグラフィックデザインを専攻する中で取り組んだ絵本から、漫画、アニメーションへと活動の幅を広げてきました。

凄いのは、その発展のさせ方です。

絵本の1ページにたくさんの絵を載せたら漫画になってしまった。色のない漫画に色をつけたいと思ったらアニメーションになってしまった。

そのような流れで、自然にアニメーションに行き着いたとのことですので、もはや、漫画やアニメを再発明したといっても過言ではないですよね!

PVのストーリーは、平成最後の”とめどない戸惑いファンタジー”

PVのストーリーは歌詞とは別な世界観で繰り広げられるファンタジーとなっています。

映像が始まって、まず登場するのは3匹の幻の子猿です。

中華服に身を包む青年ユーゴはセクシー消防士のよしのぶの協力を得て、なんでも知っている子猿を捕まえて、行方不明のを探そうとします。

黄金のバナナを使って国会議事堂の森にいる幻の子猿を捕らえた二人は、改札を潜り抜け、渋谷駅から電車に乗り込み横浜に向かいます。

現実の2018年の渋谷駅は大工事中でまるでダンジョンのようになっています。

横浜へ行く東横線の渋谷駅ホームに向かうには、このアニメーションさながらに工事中の囲いの間にある通路を見つけないといけません

お近くの方はぜひ見に行ってみてください。

この世界の東京は平面状になっていて、同じく平面状の横浜は東京の下方に存在しています。

電車は横浜を目指し宇宙空間に飛び出しますが、その途中、都市を動かす巨大な心臓が見えてきました。

脈打つ巨大な心臓に空いた穴の中を覗くと、そこには「東照宮」と書かれた改札が。

日光東照宮の陽明門よりもむしろ横浜の関帝廟に近いデザインですが、門が開くと捕らわれた妹とともに幻の子猿の姿があります。

妹は都市の心臓に捕らえられ、都市の鼓動の中にあったのでした。

 

PVは1:54のショートバージョンとなっていますので、ストーリーもここまでです。

クセになる繰り返しフレーズの中で繰り広げられる「平成最後の”とめどない戸惑いファンタジー”」のインパクトは絶大ですよね。

また、PVを最後まで見ると伏線に気づきます。

0:20にハート形のペンダントが登場し、ペンダントが開くと中には歌手を夢見ている妹役のコムアイの写真が入っています。

ハート形のペンダントの中の妹は都市の心臓に捕らえられていたという伏線になっているんですね。