ごみの袋開けて 捨てよう
はみだしている思い出 入りきらず
出典: キッチン/作詞:星野源 作曲:星野源
目が覚めてからしばらくの間は、キッチンでぼんやりとしていた主人公。
しかし、いつまでも感傷に浸っているわけにはいきません。
彼女が作ってくれたおかずをごみ袋の中に入れて、現実と向き合おうとしている姿が描かれています。
でも、彼女と別れたのはつい昨日の出来事。
すぐに気持ちを切り替えることはできず、彼女との思い出を振り返って、切なさをかみしめているようです。
彼女との楽しかった思い出を綺麗さっぱり忘れることはまだできない…ということなのでしょう。
いつかは全て綺麗になくなってしまう
いつかなにも 覚えていなくなるように
今の気持ちも 忘れてしまうのかな きっと
腐った体だけを残して
出典: キッチン/作詞:星野源 作曲:星野源
今はまだ辛い気持ちを引きずっている主人公。
しかし、いつかは辛い気持ちも薄れていき、そのうち彼女との思い出も色あせていくのでしょう。
どんなに苦しくて辛い失恋も、時間が経てば乗り越えることができるのです。
でも、彼女との別れを振り返っても何とも思わなくなるって、ちょっぴり寂しいようにも思えます。
腐った体とは、主人公の死を意味しているのでしょう。
いつかは主人公にも死が訪れ、何もかも綺麗になくなってしまう日がくる…。
そんな遠い未来について歌っているのだと思われます。
今は食事の時間が辛いけど…
いつかなにも なかったかのような顔で
飯を食べて 幸せだなどとほざくだろう
出典: キッチン/作詞:星野源 作曲:星野源
彼女の手料理を捨てることをためらっていた主人公。
今日からは彼女の手料理ではなく、自分で用意した料理をひとりぼっちで食べなくてはいけません。
でも、失恋の傷を乗り越えてしまえば、ひとりでごはんを食べることも平気になっていくのでしょう。
いつか新しい恋人ができたり、大事な家族ができたりしたら、食事の時間もさらに楽しくなっていく…。
ごはんの時間を幸せだと感じる日がやってくる…。
その頃には別れた彼女との思い出なんて、頭の中にこれっぽっちもなくなっている…。
切ないですが、いつかはそんな日が主人公にも訪れるのです。
現実と向き合う主人公
つないだ右手 深く沈めて
笑った記憶 川に流して
出典: キッチン/作詞:星野源 作曲:星野源
右手を繋いで彼女と歩いていた楽しい記憶。
笑い合いながら過ごしていた日々。
今の主人公にとっては大事な思い出ですが、前を向いて歩いていくためには気持ちを切り替えないといけません。
だから、彼女との思い出を忘れようと必死に頑張っているのでしょう。
失恋の傷は大きいですが、この主人公は現実と向き合おうという気持ちを強く感じているようですね。
いつまでも落ち込んでいるだけでは、何も変えることはできません。
傷を乗り越えるためには、少しずつ気持ちを切り替えていく必要があるのでしょう。
思い出を「安い」と表現している理由は?
安い思い出 静かに消えて
おかずの匂いだけを残して
出典: キッチン/作詞:星野源 作曲:星野源
贅沢な暮らしではなく、質素な暮らしをしながら彼女と思い出を作っていた主人公。
だから、安い思い出といっているのでしょう。
彼女との思い出を美化することなく「早く忘れるべきチープなもの」として扱っている様子が読み取れます。
それでも、心のどこかでまだ未練を感じているのでしょう。
部屋に戻ったら、彼女が作ってくれたあのおかずの匂いがまだ残っていそうな気がしてしまうのです。
主人公が失恋の傷を完全に乗り越えるには、まだまだ時間が必要なのでしょう。
少しずつ気持ちを切り替えながら、これからの未来を築いていこうとしています。
なぜ「キッチン」という曲名にしたのか?
この主人公にとってキッチンとは、彼女が料理を作ってくれていた場所です。
だからキッチンにいると、どうしても彼女の面影を探してしまうのだと思います。
彼女がいたという証を最も感じられる場所がキッチンだから、曲名も「キッチン」になっているのでしょう。
早く忘れたいけど、部屋の中に戻ると彼女の面影がまだ残っていそうな気がしてしまう…。
そんな切ない気持ちが込められた曲名なのだと思います。
別れた恋人と同棲していたり、自分の部屋で過ごした経験がある人はかなり共感できる曲名なのではないでしょうか。