1番の歌詞が男性目線だったのに対し、2番は女性目線の歌詞に変わります。
終わってしまった関係に、気持ちが追い付かない。
もうやり直せないと分かっているのに、どうしても君のことばかり考えてしまう。
そんな頭では理解できていても、どうしようもできない心情が歌われています。
バカな考えだと分かっている
愛はまだ 君を輝かせているかい
『私はバカ』 そんなことは分かっているんだい
Oh baby だけど あなたの口から言われないとなんか
しっくりこないの
出典: 泣き出しそうだよ feat.あいみょん/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
この曲の「私」もまた「僕」と同じように、君が愛と共に生きていることを願っています。
「輝かせる」の言葉には、きっと「幸せになってほしい」という意味も込められているのでしょう。
別れたあとも、相手の幸せを願う。
「私」は随分と一途で純粋な想いを抱いている様子です。
しかし続く歌詞では『私はバカ』と歌われています。
それはきっと、君の幸せを心から願っておきながら、いまだに未練を捨てきれずにいるためでしょう。
もしかしたらまだ、2人で幸せになれる道があるのではないか?
そんなことを考えてしまう自分は、本当に「バカ」だと自嘲しています。
けれど「あなたの口から言われないと」未練を断ち切ることができない。
もう遅い。まだ間に合う。
「私」はその2つの想いを抱えて、自分の愚かさを嘆いているのかもしれません。
眠り方も分からない
Oh
風に吹かれりゃ流れちゃいそうな 私の勇気に 泣き出しそうだよ
声が枯れるまで愛を叫ぶような 真似ができたなら楽だったのかな
昔好きだった歌が今は 悲しく聞こえてもう泣き出しそうだよ
どうやって 眠るんだっけかな
出典: 泣き出しそうだよ feat.あいみょん/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
君を引きとめる「勇気」に泣き出しそうなのは、「私」も同じこと。
引きとめたい。でも、それが間違いであることを「私」は知っています。
君のためを思うなら、ここで君の手を手放してあげなくてはならない。
そうやって自分を納得させようとしても、未練は強くなるばかりです。
いっそどこまでも自分の気持ちに素直になることができたら、未来は変わっていたでしょうか?
そう思っても、「私」はけっきょく君を見送るしかなかった様子。
好きだったはずの歌を悲しい気持ちで聞きながら、「私」はまた夜を迎えます。
しかし、君がいないと「私」は眠り方も分からない。
夜が更けていく様をただ呆然と眺めている「私」の姿が目に浮かびます。
響き渡る想いの正体
泣き出しそうという言葉に乗せて、ずっと響き渡っていた想い。
その想いの正体に迫ります。
君にふさわしい相手
君の横で 甘える人は僕よりもうまく やれているの?
君の横で 笑う人は 私より君を うまく笑わせてるかい?
出典: 泣き出しそうだよ feat.あいみょん/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
自分よりも君にふさわしい相手がいたこと。
そのことを良かったと思えるほど、「僕」も「私」も心の傷が癒えていません。
だからこそ、ここの歌詞は疑問形になっているのではないでしょうか?
「あなたといたときの方が幸せだった」。
心のどこかでは、君にそう言ってもらいたいのかも。
君の幸せを願う気持ちと、君に愛されたいと思う気持ち。
その2つが「僕」と「私」を苦しめています。
喪失感が大きすぎる
Oh
雨に打たれりゃ流れちゃいそうな 僕のこの勇気に 泣き出しそうだよ
愛でもlieでもなんでもいいから 無様になれたら楽だったのかな
昔好きだった歌が今は 悲しく聞こえてもう泣き出しそうだよ
そろそろ 眠らないと
出典: 泣き出しそうだよ feat.あいみょん/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
「愛でもlieでも~」の歌詞には、「僕」や「私」の後悔が滲み出ています。
君と一緒にいるために、もっと必死になっていればよかった。
愛に縋って、lie(嘘)を信じて……。
無様でも素直に君を求めることができていたら、今でも君の隣にいられたかもしれないのに。
そんな後悔から、また泣き出しそうになっています。
ここまでずっと歌われてきた泣き出しそうな想い。
その裏には、「僕」や「私」の喪失感が隠されているように思います。
泣き出しそう。それはつまり、まだ泣いていない状態です。
喪失感が大きすぎるせいで、泣きたくても涙が出てこない。
だから余計に苦しい。
そんな不安定な想いが、この曲のなかでずっと響き渡っているのではないでしょうか?