心をさらけ出す勇気
涙を流した君にしか 浮かべられない笑顔がある
そのままの君で大丈夫 こぼれおちた分だけ 強くなる
出典: 大丈夫/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
辛いな、悲しいなと思い、溢れてしまいそうな涙をぐっとこらえる。
人前で涙を見せるのは恥ずかしいことだと学んだ大人たちは、我慢し、笑顔で取り繕います。
では、我慢せずに涙を流したらどうなるでしょうか。笑う人がいるのでしょうか。
あなたが泣いていたら、皆が支えてくれるでしょう。声をかけてくれるでしょう。
そして涙が乾くとき、力がみなぎっていることでしょう。
その力はあなたの力であり、皆が与えてくれた力でもあります。
涙を流さなかったらその力は得られなかったはずです。
その力はあなたの強さになり、自信になり、笑顔を生みます。自分だけでは生み出せなかった表情です。
だから、悲しいときは我慢せずに涙を流しても大丈夫。
涙が落ちて隙間が空いたら、自分の力で、皆の力で埋めていけばいいのです。
このフレーズが曲の核となり、曲中で繰り返されます。
特に今の自分を肯定してくれるメッセージから、作詞された橋口洋平さんの優しさが伝わります。
「頑張れ」と言われるよりも、今の自分でいいと肯定してくれた方が心が楽になる人が多いのではないでしょうか。
自分が他人に合わせようとして無理に変わろうとしなくてもいい…。
それが他人にはできない素晴らしい部分であるかもしれません。
自分が補えない部分は周りの人が自然と補ってくれるのです。
変わりたいのに 変われない日々 本当の気持ちから 毎日少しずつ逃げた
見えないフリや 聞こえないフリで
綺麗事ならべても 自分は騙しきれなくて
出典: 大丈夫/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
自分の気持ちに素直でいること。
多くの人が理想とするのではないでしょうか。
理想は理想のまま、近づこうとアクションを起こさなければ現状は変わりません。
胸の中に芽生えた感情を表に出して、誰かにぶつけたい!
そう思っても、何かしらの理由をつけて感情を否定する。それは自分を否定することに他なりません。
沸き起こった感情と向き合わず、目を逸らして逃げてしまいます。
目を逸らすどころか「そんな感情なんて元々存在しない」と思い込む始末。
波風を立てないように、思いとは真逆の言葉でやり過ごします。
しかし、目を逸らしても存在を無視しても、感情は消えません。
「他の人も頑張っている」「辛いのは自分だけじゃない」こんな綺麗事を並べても、そう長くはモチベーションを維持できません。
自分でちゃんと処理したと思っている感情も、それは心に蓋をかぶせただけだったりします。
そうやって溜まっていった感情に蓋ができなくなる日が来るのを恐れる毎日。
いつ感情が爆発するか分からない日々にストレスを感じるでしょう。
負けそうな心 抱えても 僕らは笑う 無理して笑うけど
出典: 大丈夫/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
失敗をしたり、諍いを起こしたりして、今にも泣いてしまいそうな気分。
それを「負けそうな心」と表現しているようです。
何に負けそうなのでしょうか。おそらくは「感情を表に出す力」に負けそうなのでしょう。
大人の世界では、感情を爆発させるのはご法度。泣くのは恥ずかしいこと。
だから見て見ぬふりをして、思いとは裏腹な笑顔を無理やり作ります。
子供の時の自分は「早く大人になりたい」と願うけど、大人になった自分は「子供の時のように自由に感情を表現したい」と願います。
そして大人になるにつれて、社会で自分の感情を示すシーンは大幅に減っていくのです。
それが世間では「世渡り上手」とも言われますが、それは果たして本当の自分なのでしょうか。
強がらなくても強いから大丈夫
きっと
涙を流した君にしか 浮かべられない笑顔がある
たまには泣いても大丈夫 素直になっても大丈夫
生きていくだけで人は皆 数えきれぬほど乗り越える
強がらなくても大丈夫 こぼれおちた分だけ
強くなる 強くなる 強くなれる 大丈夫
出典: 大丈夫/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
「泣いてもいいんだよ」と無責任に言い放たないのが「社会人バンドwacci」らしい部分ですね。
「たまには」泣いても大丈夫だと歌います。
思ったことを全て口に出して、思うがまま泣いて怒るような人は信用されません。
相手の言葉に理不尽さを感じても「ま、いいか」と軽く流せれば、あえて感情を表に出す必要はありません。
きっと無意識のうちにこうしたスルースキルを獲得して、辛い局面を乗り越えてきたはずです。
しかし感情を持つ人間ですから、ぽろっと愚痴を吐いたり、我慢できず涙を浮かべることもあるでしょう。
どうにもならないときは、無理して笑わなくていいのです。
強い心を持つ自分でいたいからといって、強いふりをしなくても大丈夫。
弱い自分を受け入れて涙を流せば、涙が乾く頃には強い自分へと成長しているのですから。
そうやって自分の感情に素直になることが時には必要なのでしょう。
「泣く」という行為は、子供にとってはただの感情表現ですが、大人にとっては感情のリセットなのです。
抑えられてきた感情が何かの拍子で一気に引き出され、涙となって現れます。
皆さんも、ふと自分に語りかけられた何気ない言葉で涙が出そうになったことがあるかたもいるのではないでしょうか。
そんな時はその感情に素直になって向き合えば、心がスッキリするものです。
褒められたいだけの自分は強くなれるのか
感情を隠す理由はいくつも考えられます。
表に出すと恥ずかしいから?情けないから?
「良く思われたいから」という理由もあるのでしょう。
人から良く思われたいという感情が、自分の様々な感情を抑えこんでいるのかもしれません。
もちろん他人を傷つけるようなネガティブな感情は抑えて自分で昇華させる必要があります。
しかしそれと同時に「本当はこうした方がいいのではないか?」といった自分が前に進む材料となる感情まで抑えていませんか。
本当の感情を抑えて偽りの自分が手に入れた「良い人」は自分の中で強く生きています。
他人からの評価のために感情を閉じ込めてはいけない
誰かの理想になろうとしすぎて 越えられないボーダーライン
気がつけば 引いてしまってる
自分で選んだ道なんだからって 誰にも頼れずに 一人ぼっちで戦ってる
出典: 大丈夫/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
例えば自分を慕ってくれる後輩がいる場合、後輩のいいお手本であろうとします。
尊敬されるような先輩は、こんな行動をしない。こんな考えをしない。こんなことを言わない。
「泣く」「弱音を吐く」なんて先輩としてのプライドが許さないでしょう。
無意識のうちに、プライドが許す範囲と許さない範囲を線引しているのです。
例えば周囲の反対を押し切って、幼い頃からの夢を追いかけると決めた場合。
困ったことが起きても誰にも相談できません。
「だから反対したんだ」「こうなることが目に見えていた」と周囲からの冷たい声を浴びることになります。
「夢なんて諦めろ」と言われないように、1人で解決策を探します。
これはとても孤独な道です。中にはこんな逆境の中から成功を手に入れる人もいるでしょう。
しかしこれは運や環境などが左右する部分も大きいです。
自分を守れるのは自分だけだと思って進んでいけたとしても、孤独の先にあるのはまた孤独です。
自分が作り上げてしまった理想の自分はいつまでも自分を苦しめているのです。
プライドや夢を守るため 僕らは笑う 無理して笑うけど
出典: 大丈夫/作詞:橋口洋平 作曲:橋口洋平
笑われないように、失望されないように、お小言を言われないように笑顔を取り繕います。
「他人からよく思われたい」という心理が見えてきます。
周囲から褒められる自分でいられるなら、本当の自分を閉じ込めてしまってもいいのでしょうか。
感情を閉じ込めて強くなれるのでしょうか。
人間は動物で唯一非合理的な行動を取る生き物です。
多くの人は、「よく思われたい」という感情が足枷となっている事を理解しています。
そしてその足枷を外すカギはずっと自分が持っているのです。
自分の周りの人がそんな自分の感情に気づいてくれるケースは少ないかもしれません。
プライドや夢で支えられている自分は決して長くはもたないのです。