上手くなっていく愛想笑いなんです
出典: バームクーヘンエンド/作詞:Eve 作曲:Eve
愛想笑いとは、どういう時にするでしょう。
おそらく「本心から笑っていない時」ではないでしょうか。
この主人公とその相手の間には、いい雰囲気があるのだと思います。
しかし、主人公の方は弱くて何も言えません。
いつだって本当に怖いのは「沈黙」です。
女性の「言うの?言わないの?」という空気。
モジモジする主人公。
そんな沈黙を打ち破るために主人公は笑うしかなかったのだと思います。
そして、そんな愛想笑いが上手になっていっている。
これは、何度もそのにらめっこの状況になってきたということでしょう。
その度沈黙を愛想笑いでとりもち、それが当たり前になってきている。
だからこそ、冒頭の方で「愛想が尽きただろう」といっていたのですね。
自分に卑屈になっているようです。
自分に対する笑い?
ああそんなもんか まだ何も伝えていないんだ
このどうしようもないくらいの目眩に襲われて 夜も
越せないと僕ら 後悔などないと思うんだ
ほらまた愛想笑いなんです
出典: バームクーヘンエンド/作詞:Eve 作曲:Eve
主人公はきっと相手のことを思ってばかりいるのでしょう。
ボーッとした時はいつも考えてるでしょうし、夢にも出てくるのだと思います。
すると、夢では関係が進展したりするわけですね。
そうです、現実と妄想がわからなくなってくるのです。
思いを巡らして、ずっとその人のことを考えている。
でも、よく考えてみたら、何も言っていない。
だから「そんなもんなのか」と落胆するのです。
夢の方が進んでいたわけです。
悲しいような切ないような、「しっかりしろよ」と言いたくなるような。
ここで、再び登場する「愛想笑い」。
しかし、先ほどと少し違った印象を受けませんか?
なんだか諦めというか、自分への笑いが入っているように思えます。
その場を取り持つための愛想笑いに加え、自分のやるせなさに苦笑しているのではないでしょうか。
明日こそはという想い
リセットしたい
思いを伝えたくて 思いを伝えたくて僕は
過去を変えることなどできないけど
明日に期待したいから まだ終わらないで 大事にするから
出典: バームクーヘンエンド/作詞:Eve 作曲:Eve
なんだか、前向きなように思えるこの部分の歌詞。
しかし、読み解いていくとやはり女々しさ全開です。
思いを伝えたい、思いを伝えたいのだけれど伝えられていないのです。
上手になってしまった愛想笑いからも分かるように、これは非常に問題。
一度沈黙を破って「好きだ」と言えなかったわけです。
すると今度はもっと言うのが難しくなります。
だからこそ曖昧な関係は長く続きやすいのでしょう。
「にらめっこ」が長く続くと、変にプライドが出てきて告白を邪魔するのです。
「過去を変えられない」とはそういうことですね。
言えなかった過去は付き纏うのです。
まだ愛想を尽かさないで…
そんな変えられない過去を変えるつもりはないようです。
しかし、明日に望みを託したいといっています。
具体的にはどうしたいのか?
これは次の言葉で明らかになります。
「終わらないで」といっていますね。
これは、言い換えれば「まだ捨てないで」ということでしょう。
強引に解釈すれば、もうちょっとで言うから待っていて。
まだ愛想は尽かさないで、ということです、
そのもうちょっとはいつになることやら、ですが。
自分の中に偶然起こる勇気に懸けているわけですからね。
主人公の気持ちはわかると思います。
言いたいけど、喉まで来てるけどどうしても言えない。
でも相手との進展を期待したい。
しかし、「それなら言って〜」と言いたくなってきますね。
主人公は何から救われたいのか?!
ここまで、この女々しくも共感できる歌詞を読み解いてきました。
では結論に迫ります。
嘘でもいいから その言葉で救って
出典: バームクーヘンエンド/作詞:Eve 作曲:Eve
主人公は何から救われたいのでしょうか。
その答えは明白。
「バームクーヘンエンド」です。
上で書いたように、仲良し男女の片割れが結婚してしまうことですね。
主人公は、未来がわかってしまったのだと思います。
到底弱い自分が変えられないこと。
だから、結局相手に思いを伝えられないであろうこと。
進展させてあげられないだろうと悟ったのです、悲しいかな。
でも、相手の女性は諦められなかった。
どうしてもバームクーヘンエンドだけは嫌だった。
だから、相手に「その言葉」を委ねたのです。
「僕」を救う言葉。
それは、「相手からの告白」ですね。
なんだそれは!という話ですが、それが現実。
主人公は相手に「好きって言いなよ」と委ねているわけです。