クセになる脱力系ギターポップ
4ピースバンドDENIMS(デニムス)といえば…。
懐かしいオールドスタイルのサウンドをリスペクトしながらも、どこかイマドキ感があります。
アルバム「makuake」収録
一筋縄ではいかないデコボコ感がクセになると評判のDENIMS。今回ご紹介する楽曲は「さよなら、おまちかね」。
2019年6月にリリースされた2ndフルアルバム「makuake」のリード曲です。
前身バンドAWAYOKUBA(あわよくば)からじわじわと進化して、いよいよ幕開けというターム。
何かにお別れをして新しいお待ちかねの出来事が始まる…といったニュアンスなのでしょう。
MVにもクセがある?
「さよなら、おまちかね」は「タッタ・タッタ」という軽快なスウィングのリズムが特徴的。
楽しくドライブでもしながら聴きたくなる名曲ですが、MVに登場する車はどこか意味深です。
この「さよなら、おまちかね」のMVについてじっくり考察しましょう。
DENIMSの幕開け
「さよなら、おまちかね」以前のDENIMSのMVといえば、たとえば「ゆるりゆらり」。
ボーカル&ギターのカマチューさんがディレクション(監督)するなど自主制作感がありました。
演奏シーンのある「fools」やストーリー展開のある「DAME NA OTONA」のMVでも同じ。
監督はカマチューさん、編集はえやmaxさんが担当していました。
ところが今回の「さよなら、おまちかね」のMVはこれまでとちょっと様子が異なる雰囲気です。
何がどう違うのか、見てみましょう。
演奏シーン+α
基本的にバンドの演奏シーンがメインとなっている「さよなら、おまちかね」のMV。
薄暗い雰囲気で始まるので、最初はいったいメンバーがどこで演奏しているのかよくわかりません。
そのうちメンバー4人と対峙して、1台の車があることが徐々に明らかになってきます。
運転席には誰かが座っている様子。
どうやらどこかのガレージ、あるいは車を置くことができる作業場・物置のような場所なのでしょう。
とにかく薄暗いので、ぼんやり見ていると何かが起きているのか、何も起きていないのかさえ不明。
ところがラストにかけて「あれ?」と思わされる動きがあるという流れになっています。
この「+α」の部分が非常に謎めいているわけですね。
監督はISSEIさん
「さよなら、おまちかね」のMVは、外部の監督を迎えたところがそれ以前と大きく異なります。
カマチューさん自身がディレクションする自主制作っぽさは排除された作品ということですね。
こうした展開もDENIMSというバンドが新しいタームへと突き進む<幕開け>を表しているのでしょう。
ただ「仲間うちで活動しています!」的なゆる~い雰囲気がDENIMSならではの醍醐味でもあります。
従って「さよなら、おまちかね」のMV監督を務めたのはISSEIさんというのも納得。
映像やデザインのプロでありながら、韻シストBASIさんのプロデュースなども手がけています。
さらには「MANKITSU」という楽曲などでソロアーティストとしても活動。
ヒップホップ界隈のコアな音楽ファンにはぐっとくる人脈でしょう。
おかげで新たなDENIMSの幕開けなのに、なぜか全編薄暗いという実は深みのある作品に仕上がっています。
MVの構成をチェック
DENIMSというバンドそのもののように肩の力を抜きながらMVを見ていると、最後に訪れる違和感。
それは「あれ?どうして1人だけ置いてけぼりになったの?」というものでしょう。
ガレージでメンバーが演奏していて、その向かいに車があって…。「ん?最後に残った人は誰?」と不思議ですね。
とにかく薄暗いのでじっくり目を凝らさないとよくわからない「さよなら、おまちかね」のMV。
その登場人物を確認しましょう。