雨のパレード「You」とは?

「You」は2016年7月20日に発売された雨のパレードのメジャーデビューシングルです。

2番のAメロの印象的なベースやフィンガースナップの音など、いい意味で耳に残るサウンドが詰め込まれた本作。

サウンドの面で新たな挑戦を多く取り入れた分、歌詞は多くの人に共感してもらえるような内容にしたそうです。

今回はそんな「You」の魅力に歌詞の解釈から迫りたいと思います。

最後にコード譜も紹介しますので、弾き語りしたいという人は参考にしてください。

歌詞は実体験を元に書かれているって本当!?

実は「You」の歌詞は、Vo.福永浩平さんが自分の実体験をもとに書いたそうです。

自分がもうダメだと思ったとき、それでもそばにいてくれた大切な人を思って書いたとか。

そうなったきっかけとしては幼少期に身近な人が病気になったことから起こった出来事の数々だそうですが、人の狂気を感じることがあったそうです。

これは推測でしかありませんが、筆者も祖母の姉が病気になり入院し、そのまま他界してしまった経験があります。

筆者自体は当事者ではないのですが、遺産の相続で身内が揉め、親戚たちの見たこともないような表情を知ることになりました。

祖母の疲弊しきった姿が今でも記憶に残っています。

人の狂気を感じたという話から、きっと、福永さんはそんな人間の汚い部分を目の当たりにすることとなったのではないでしょうか。

親しく接していた人が病気というだけでも悲しいのに、その後色々大変だったと語っていたことからも、その心中の苦しみが伺えます。

歌詞に自分の辛い経験を書くことで、誰かを救おうとしたのですね。

では、次は、雨のパレードの「You」の歌詞を解釈してみます。

雨のパレード「You」の歌詞を解釈!

大切なあなたの存在さえわからなくなるくらい不安に怯えていた

あの頃の僕は 霧の中のような場所にいて
遠くの方が見れなくなったから
近くにあるものだけを
必死に守ってたんだ
窓を揺らしている 風の言葉は
僕には分からない
先のことを考えるとなぜか
物凄く怖くなってきて
何もしたくなくなっていた

あなたがそばにいてくれたのに
1人と思っていた

出典: You/作詞:福永浩平 作曲:福永浩平

大切な人を失いそうになり、今まで見えていた視界が霧の中にいるかのようにぼやけていく、そんなかつての自分を思い返す歌詞。

ぼやけたのは涙のせいかもしれませんし、今までの景色が違うものに見えたりうまく見えなくなってしまうくらいショックだったという比喩かもしれませんね。

そんな中周りの大人たちの言葉は風がざわざわと言っているだけのように意味がわからず、先のことへの恐怖と心細さから何をするにも億劫になっていたという描写。

ここまでの描写から読み取れるのは、「僕」はもしかしたら、自分の親を病気で失おうとしているのではないかということです。

だとすると、「風の声」とは親がもしこのまま亡くなったら誰が「僕」のことを養うのかとなすりつけあいを行なっている親戚の大人たちの声。

もしかしたらと「風」の言う事だからわからない思い込むことで、大人たちの声を聞かないようにしていたのかもしれませんね。

そして、「僕」は自分がこれから1人になると漠然と理解していて、先のことを考えるのが不安になっているということです。

そんな、不安と孤独に怯え、もはや無気力にさえなっている「僕」のそばに唯一いてくれたのが、「あなた」だったということですね。

しかし、そんな「あなた」にすら心を開けないでいる「僕」の姿が悲しいですね。

本当に大切にすべきものは...今なら答えられる

抱えてた闇に襲われて
まるで自分じゃないみたいに
あなたのことを傷つけたことも
今でもまだ覚えている
理解出来ない状態で
おかしくなっていたみたいだ
本当に大切にすべきものは
今ならもう 答えられる

出典: You/作詞:福永浩平 作曲:福永浩平

ついに親を失い、1人になってしまった「僕」は孤独や不安から自分を見失って一番大切な「あなた」を傷つけててしまったこともあったのでした。

きっと「あなた」は「僕」の恋人だったのではないでしょうか。

「あなた」がいてくれたおかげで完全な孤独にならずに済んだにも関わらず、「僕」は傷つけてしまった時期があったことをとても後悔しているのでしょう。

そんな自分を、両親を失うという理解出来ない状態でおかしくなっていたと振り返るのでした。

もしかしたら心構えもできないまま亡くなってしまったのかもしれませんね。

そして、本当に大切にすべきものは「あなた」だったと今はわかるという歌詞です。

もしも「あなた」がいなかったらと考えると恐ろしくなるくらい「あなた」が「僕」にとって大切な人だとわかりますね。

心が病んでいる時ほど、本当は救いの手を求めているはずなのに、一番掴まなければいけない手を振り払ってしまうときもあります。

そうやって正常な判断を失うこともあると、人間の弱さを認めているこの歌詞はすごいですよね。

もしもあなたが、かつての僕のように闇の中にいるときは

例えば僕らの
これから過ごす日々の中で
もしあなたの方に闇が訪れて
視界が狭くなってしまい
言葉も届かなくなったら

あなたが僕にしてくれたように
寄り添うことは 出来るだろうか

出典: You/作詞:福永浩平 作曲:福永浩平

「あなた」に支えてもらったことを素直に認められる今は「あなた」が孤独や不安に押しつぶされそうな時は、今度は「僕」が「寄り添うことは出来るだろうか」と考える歌詞。

「僕」自身が自分のことも周りのことも見えなくなって言葉も届かなくなり「あなた」に対してもひどい態度を取っていた時でも一緒にいてくれた「あなた」はすごいと思っているのでしょう。

だからこそ、自分にもそんなことが出来るだろうかと思ったのです。

今度は僕があなたを闇の向こう側へ連れて行く