いま生きているストーリーが
決して本当かは解んない
夢から目覚めるまでは
出典: ストーリーの先に/作詞:松尾レミ 作曲:GLIM SPANKY
そしてその真偽を疑う主人公の気持ちは、自分自身にまで向かい始めています。
自分が生きているのは現実なのだろうか。
そんな疑問を持ちながら、現実味が欠如している日常を暮らしているのでしょう。
主人公の心にこのような疑問が生じている理由は何なのでしょうか。
これは恐らく主人公にとって何かが原因となって人生における生きがいを見失っているのかもしれません。
3行目の歌詞からは、日常を夢見心地で過ごしていることが分かります。
冒頭の歌詞パートにおける、「亡霊」という現実離れした存在。
それも主人公にとって、日常を夢のように感じていることと関連性があるのでしょう。
地に足がつかないような感覚に襲われている主人公。
それはきっと主人公にとって現状を受け入れられていないことを意味しているのでしょう。
夜を歩く
靄が去った夜は 細い野道へ歩いた
今ここにいるのは 私と影だけでした
肩を叩く亡霊
惑わされないわ
月が見守っているよ
出典: ストーリーの先に/作詞:松尾レミ 作曲:GLIM SPANKY
冒頭の歌詞パートで主人公の周りを漂っていた「靄」。
それが晴れたため、外へと出たのでしょう。
3行目では再び「亡霊」の存在に言及されています。
主人公の後を追いかけ、惑わそうとする「亡霊」。
これは主人公に関係のある、既に亡くなってしまった人のことを指しているのではないでしょうか。
主人公はその存在が頭から離れずに、苦しんでいるのでしょう。
その人なしで生きていく自分の人生が果たして正しいものなのかどうか。
罪悪感や悲しみから逃げようとしている様子を表しているのではないでしょうか。
つまりこの「亡霊」は、自分を苛む後悔や苦悩を意味していると考えられます。
そんな苦しみの中でも主人公を見守っている存在。
それが5行目に書かれている「月」です。
それは孤独な夜をやり過ごそうとする主人公にとって救いといって差し支えない存在です。
孤独を振り払う
主人公にとっての救い
嘘ばかりのストーリーの途中
優しい声がして気付いたよ
出典: ストーリーの先に/作詞:松尾レミ 作曲:GLIM SPANKY
今生きている自分の日常はまるで嘘のように感じていた主人公。
それは自分自身の人生を懸命に生きることが出来なくなったことを意味していたのでしょう。
しかしその中でもがいている中で、誰かが自分を見守ってくれていることに気がつけた。
それを2行目の歌詞によって表しているのでしょう。
孤独に感じられていた日常の中にも救いがあることを認識したこと。
それをこのパートで表しているのでしょう。
孤独じゃない
いま生きているストーリーは
決して孤独では無いって
夢から目覚める時だわ
出典: ストーリーの先に/作詞:松尾レミ 作曲:GLIM SPANKY
恐らく主人公は身近な人の死を経験したことによって、人生に孤独を感じていたのでしょう。
しかし本当は決して孤独ではないということに気がつきました。
3行目の「夢」は今までの現実から目を逸らしてきた自分を意味しているのではないでしょうか。
現実を直視できないほどの悲嘆に暮れていた主人公。
しかしいつも自分を見守る存在がいるということに気がついて、その苦しみから抜け出そうとしているのでしょう。
自分自身を見守る人がいるということで、夢見心地のまま生きていた日常に光が戻ってくるのを感じています。
「声」の主の正体
優しさの方へ
嘘ばかりのストーリーを抜けて
優しいあの声が呼ぶ方へ
出典: ストーリーの先に/作詞:松尾レミ 作曲:GLIM SPANKY
何度もこの楽曲の歌詞に登場する「嘘」という言葉。
主人公の嘘とは、単純に周囲へつく嘘の他に自分自身へ不誠実であることも意味しているのでしょう。
そんな中でようやく自分を取り戻したことでこれから前進していこうとしているのでしょう。
ここでいう「声」の主は一体誰なのでしょうか。
もしかしたら、自分を見守ってくれている存在というのは死者なのではないでしょうか。
冒頭のパートなどに出てきた「亡霊」というのは、自分自身を苛む存在。
それは自分が作り出した罪の意識や苦悩を具現化した存在だと考えられます。
それに対してここでいう「声」の主はそんな自分を許してくれる存在なのでしょう。
離れていてもいつも見守ってくれる、主人公が自分の人生を終えた時に行き着いた先にいるその存在。
その存在と再会するために、今の人生を頑張ろうと考えているのではないでしょうか。