ねえ 描いていた 「日々の幸せ」とは
こうやって ただ 時が過ぎるのを待ってる事だっけ
ねえ あなたの言う「人並みの生活」とは
そうやって また 花を眺めては息をつく事だっけ
出典: Cambell/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
それでは、歌詞の中から読み取れる物語を書き起こしてみましょう。
この曲の主人公は、若い男女です。
ふたりは、愛し合い、結婚し暮らし始めました。
ひとつ屋根の下、その暮らしは楽しいものでした。
しかしいつ日か、その生活はふたりにとって苦痛なものへと変わっていきます。
日々の幸せや、普通の生活。
そんな呼び名に憧れ、暮らし始めた二人のリズムは、少しずつ崩れていたのです。
味気ないよ なあ 抱き合ったって 愛しいは触れられない
未だ この風景に彷徨っているんだ
何もないよ さあ 連れ去ってくれ この日々を抜け出したい
未だ この幽霊の様な毎日だ
出典: Cambell/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
たとえば片方が、酷く手荒な行為を働くわけじゃないし、別の相手を愛してしまったわけでもない。
だけどふたりの寝室は冷えていき、交わす会話も減っていったのです。
理由のない絶望は、恋の終わりを示唆していました。
それでもそんな生活から離れられないのはなぜでしょう?
離婚というレッテルが怖いからでしょうか?今更ひとりになることが辛いからでしょうか?
恐れが繋ぐ絆は、悲しいものです。
ねえ 今夜はさ 「愛の在り方」とか 考えて
夜を深く染めるのは やめておきたいな
ねえ あなたの言う 「迷の結末」とは
そうやって また 膝を抱えては微笑む事だっけ
出典: Cambell/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
彼女の思慮深いところが好きでした。
けれどいつしか、どんなことも深く考えすぎてしまう暗さに、嫌気がさすようになっていきました。
彼女はしばしばベッドで泣くようになります。
それはまるで、彼のふがいなさを責めているようで、心に細かい傷をつけるのです。
笑えないよ なあ 寄り添ったって 恋しいは埋められない
未だ この運命に逆らっているんだ
変わらないよ さあ 患ってくれ この日々を見届けたい
未だ この偶像の様な毎日だ
出典: Cambell/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
「行かないで」そう言ってすがってなく彼女を、あやすように抱きしめても、あの日のような愛おしさは戻ってきません。
やがて彼女の表情からは、少しずつ笑顔が消えていきました。
ああ、これが僕らの恋の結末なのか。
絶望に似た確信は、しかしまだ、少しの愛情と未練に足をとられたままです。
やるせないよ なあ じゃれ合ったって 苦しいは捨てられない
未だ この関係にくすぶっているんだ
奪えないよ さあ 間違ってくれ この日々を色付けたい
未だ この酔生の様な毎日だ
出典: Cambell/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
一層のこと、彼女に別の愛する相手ができたりしないだろうか、あるいは自分が道を間違ったりしないだろうか。
たまに、そんな妄想をします。
その時自分は、どう思うだろうか。
悔しいだろうか、相手の男を殺したいような怒りにとらわれるだろうか。
そうすればこの生活に、色はつくだろうか。
そうでもしなければ、この泥のような安寧の日々は、ずっと続いてしまいそうな気がするのです。
酔生夢死…酒に酔い、夢の中にいるような気持で過ごすこと。
転じて、一生を無為のまま終えること。
そんな一生は、情熱的に愛し合っていたころの2人の望むところではなかったはずなのです。
味気ないよ なあ 抱き合ったって 愛しいは触れられない
未だ この風景に彷徨っているんだ 何もないよ
さあ 連れ去ってくれ この日々を抜け出したい
未だ この幽霊の様な毎日だ
出典: Cambell/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
愛おしいという気持ちは、どこから湧いてくるものなのでしょうか。
当たり前のように生まれ、燃え上がり、気付くと何もなかったかのように姿を消している。
取り戻そうと願ったときにはもう遅く、どの姿は遠くに霞んでいるのです。
恋を失ったとき、二人をつなぐ絆は何でしょうか?
タイトルの意味
タイトルは「Cambell」。
英単語ではありません、もともとはスコットランドのほうの苗字だそうです。
では、この言葉を聞いて一般的に思い出すものといえばなんでしょう?
そう、「キャンベル・スープ」です。
アメリカでもっとも有名なインスタント・スープ缶であり、日常に当たり前に存在するものの象徴です。
ではなぜ、このタイトルなのでしょうか?
これは筆者の想像ですが、おそらくこれはふたりの「愛」をたとえたのではないでしょうか。
日常に埋没するインスタント食品のように、当たり前でつまらないものになってしまった愛。
しかし、そんなインスタント食品も、本当に気に入らなくなれば生活には入り込まなくなるものです。
ではなぜ、まだキッチンにあるのか?
当たり前でつまらないものだけど、ついつい買ってしまうなんだか懐かしい味。
愛って、そのくらいでちょうどいいのかもね。余談でした。
終わりに
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