このように「恋衣」は昭和の日本を代表するヒットメーカーがタッグを組んだ曲です。
しかも、あらかじめあった曲を林部智史さんが歌うことになったのではありません。
林部智史さんのために二人が書き下ろした曲なのです。
昭和の歌謡曲の良さを残しつつ、林部智史さんの歌声や表現力によって新しい歌謡曲になっています。
今まで林部智史さんというと泣ける歌というイメージでした。
今後は大人のラブソングというイメージも加わるかもしれません。
「恋衣」は林部智史さんのターニングポイントとなる曲になったといえるのではないでしょうか。
意味深な歌詞に注目
「恋衣」の一番の注目ポイントといえば、意味深で聴く者の想像をかきたてる歌詞ではないでしょうか。
歌詞の登場人物は両想いの二人なのですが、だからといって幸せでいっぱいというわけではありません。
また主人公は相手に対し不安を抱いているようです。
歌詞のところどころに現れる不穏な単語も気になります。
幼いという文字の斜めの一筆
ためらい傷のように隠せば幻
出典: 恋衣/作詞:阿木燿子 作曲:来生たかお
「幼い」という言葉は、主人公が相手に対して感じているひけ目のようなものでしょうか。
年上の女性との恋愛を歌っているのかもしれません。
また「ためらい傷」という、J-POPでは珍しい言葉のチョイスにも注目です。
実際に主人公もしくは相手の女性はためらい傷を持つような人ではないかもしれません。
しかし「ためらい傷」という言葉から連想するような不安定な精神状態ではありそうです。
「恋衣」では度々二人の関係がただならぬものであるという印象を与える単語が出てきます。
恋焦がれ やっと逢えても
大粒の砂時計
出典: 恋衣/作詞:阿木燿子 作曲:来生たかお
「やっと」ということは、しばらく会えなかったということですよね。
そして「大粒の砂時計」とは、時間が過ぎるのが速いということの比喩でしょうか。
ただ忙しかったり遠距離恋愛だったりで会う時間がないというわけでもなさそうな切迫感ですね。
もしかすると不倫のような関係なのかもしれません。
「恋衣」では、直接的な言葉で二人の関係を表す部分はほとんどありません。
いろいろな解釈ができる言葉を駆使して聴き手の想像力をかき立てます。
ファンからの評価も高いようです。
MVにはテラスハウスでおなじみモデルのNikiさんが出演
大人な雰囲気のNikiに注目
「恋衣」のMVには「テラスハウス」への出演でおなじみのモデル・Nikiさんが出演。
MVでは、普段のNikiさんより少し大人な雰囲気の女性を演じています。
今までのNikiさんのイメージとは違うので驚く方もいるかもしれません。
しかしNikiさんの美しさが曲の世界観を表していると思います。
MVは、男性に向けるNikiさんの笑顔から始まります。
湖のほとりを歩いたり、ベンチで寄り添ったりしている男女。
歌詞の切なさも相まってワケありカップルなのかな?と思わされます。
気になるのは男性もNikiさんも左手の薬指に指輪をしていること。
男性の方はサングラスをかけあまり映らないのもあり、余計にどのような関係なのか想像してしまいます。