2番Aメロ(2回目)
ああ、都合が悪くなるなら直ぐに話しを逸らすのだから
劣悪な頭の中にこびり付く苔どうにかしなよ
強情だ強情だ強情だそうやってなんだって証明と論法がないな
くだらないな、自分のことだけ処理しきれたならそれでいいんだろう?
出典: caribou/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
また「議論好きな男性」が頭をもたげます(笑)
男性も議論で女性に負けてはいません(笑)
ここで男性は、女性の頭の回転の遅さを「劣悪な頭の中にこびり付く苔(こけ)」と表します。
いうまでもなく「苔」は歯止めがきかないほど増殖します(笑)
「劣悪な頭脳が更に増える」という意味なのでしょう...。
要するに、女性も男性もお互い言い分はあるようですね。
お互い維持を張り合っていると、本当に「滑稽」でしかなくなることは明らかです。
それを米津玄師は言い表したかったのだと思います。
2番Bメロ
打算だ打算だ険悪だ
甲乙齟齬するアドバルーン
要因の相乗で重みに耐えきれず
二人はいよいよ落ちていく
言葉の弾丸が宙に浮く
ラララ
出典: caribou/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
サビでは、本曲で登場する「男女」以外の「何者か」が、男女の喧嘩を冷静に見ています。
いわゆる「第3者の目」ですね。
「齟齬(そご)」とは「(話が)かみ合わないこと」。
この状況がまさにそうです。
二人の撃った弾丸(お互いを罵る言葉)は、無残にも宙に浮いてその効力を発揮しません...。
「後は野となれ山となれ(ケ・セラ・セラ)」です(笑)
ああ、カリブー!
どこへ行く?どこにある?
そこから何が見える?
見えるのはお互いの
醜いまでの銃口だけ
出典: caribou/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
ここではじめて「カリブー」が実体化して登場します。
「カリブー」は密漁が原因で、個体数が減っています。
人間のエゴで生物が淘汰されていくという現実。
「カリブー」は人間にとって実害はありません。
また、「カリブー」が人間にとって必要不可欠なわけでもありません。
それなのに人間は「カリブー」を狩る。
情けない限りですね...。
更に、そんな「カリブー」を差し置いて人間は「お互いを糾弾し合う」。
「カリブー」にとってみたら「人間」の方が滑稽極まる生き物ですね。
最後のサビ
ああ、カリブー!
お化けは言う 「メメント・モリ」
楔外して歩きだせ
そんな口論 馬鹿みたい
不思議な銃痕が残っていく
出典: caribou/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
「メメント・モリ」はラテン語です。
日本語に訳すと「死を忘れるなかれ」。
「どんな時でも死が待ち構えている」といった意味でしょうか。
「楔(くさび)」といってすぐ思い浮かぶのが「ドアストッパー」。
三角形の道具のことです。
「銃痕」だけしか残らない、空虚な会話をし続ける男女(オス・メス)。
彼らは水かけ論をいつまで続けるのでしょうか?
絵本『かいじゅうずかん』とのつながり
イラストレーターでもある米津玄師のデッサンが見れる
歌手であると同時にイラストレーターでもある米津玄師。
この記事のトップ画像に据えたものが、彼の絵本『かいじゅうずかん』です。
『caribou』が収録されているアルバム「diorama」のイラストも手がけた彼。
緻密なデッサンが素晴らしいです。
この絵本では「現実には存在しない"かいじゅう"」のイラストが掲載されています。
「かいじゅう」とは「人間そのもの」。
人間が今まで成し遂げてきた偉大なこと。
そのために失った大切なもの。
今回紹介した『caribou』にも出てくる、愚かしい人々。
身勝手で傲慢な人。
ありとあらゆる「にんげん」が、この絵本には描かれています。
この絵本は、「擬人化」ならぬ「人間」の「かいじゅう化」といったところですね。
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【抄本/米津玄師】タイトルの読み方は?!アルバム「diorama」の最後にふさわしい曲を徹底解釈!! - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
独特の世界感で聞く人を魅了し続ける注目のシンガーソングライター・米津玄師さん。インディーズ時代にリリースされたアルバムから、「抄本」の魅力をたっぷりとご紹介します。
上の記事は、読書好きな米津玄師が付けそうなタイトルの意味をライターが解説しています。
アルバム「diorama」の解説も掲載していますよ!