2ndアルバム「YANKEE」の収録曲
「百鬼夜行」の意味
百鬼夜行というのは、その名の通り「百」の「鬼」が「夜」に「行」くということです。
たくさんの妖怪たちが夜中のパレードをしているところを思い浮かべればそれで間違いありません。
ではなぜ、このようなタイトルを付けたのか。今回はそれを紐解いていこうと思います。
「YANKEE」とは「移り住む人」
もともと「YANKEE(ヤンキー)」という言葉が好きだったという米津。
私たち日本人的な感覚だと「ヤンキー」=「不良」というイメージがあります。
おそらく米津もそう考えていて、その響きが好きなのでしょう。
実際のところ「YANKEE」という言葉には「アメリカの移民」という意味があります。
米津は「移民」という言葉にも思い入れがあると語ります。
彼自身がインターネットの中で活動をしてきて、そこからJ-POPへと進出を果たしています。
そういう点から、「YANKEE」という言葉は、自分をよく表していると思い、アルバムタイトルとしたようです。
世界に対する「居心地の悪さ」
アルバム「YANKEE」は一貫して「自分と馴染まない環境での居心地の悪さ」を歌った曲が多く収録されています。
その代表曲となるのが、「百鬼夜行」なのではないでしょうか。この曲は、1stシングル「サンタマリア」にも収録されています。
もともとボカロPとして活躍していた米津が、J-POP界へとやってきて少なからず感じた「居心地の悪さ」。
その中で「サンタマリア」という1stシングルを出すにあたり、ある種の「諦め」を感じざるを得なかった。
それは誰でもが感じるもので、新しい環境、新しい友人、新しい挑戦などに対して、どうしてもつきまとうネガティブな気持ち。
そういった経験から作られた曲であるように感じます。
歌詞を徹底解釈!
つまらん顔して街をゆく
ちゃんちゃらおかしな出で立ちで
また酒呑み呷れど日は暮れず
つまらん顔して街を行く
ほらあれこれ言うては酔い散らす
いやどだいもどだいに面倒で
おかしな飲ん兵衛だ
出典: 百鬼夜行/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
どうにもおかしな恰好をして、お酒をひたすら飲んでいる、そんな妖怪。
お酒というのは楽しむために飲む人もいれば、現実から逃げたくて飲む人もいます。
この妖怪はどれだけ飲んでも楽しむことができずに、日暮れを待ち遠しいと思っているようです。
ひどく酔っぱらっているのに、つまらなそうな顔をしている。
そんな人、皆さんの周りにはいるでしょうか。
「私さみしいの」
オンボロ錦の更紗模様
その洒落たお顔には金魚の絵
腰やら股やら働かせ
またお手軽欲望貪れば
今どこへも聞こえる声出した
「私さみしいの」
出典: 百鬼夜行/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
綺麗な更紗模様も、ぼろきれのようになってしまっている妖怪。
「その洒落たお顔には金魚の絵」というのは厚化粧の意味でしょうか。
寂しさを紛らわせるために、手軽な欲望に手を出してしまう。
けれども寂しさはつのるばかり。そんな悲しい妖怪の姿がここにあります。