造花が意味するもの
そこに心はあるの?
味気ない花の色に染められた
あの人の眼には何が映るだろう
出典: 造花が笑う/作詞:オオキノブオ 作曲:ACIDMAN
勢いのあるバンドサウンドとは裏腹に、歌詞は黒や灰色が似合う、やや暗い雰囲気をまとっています。
冒頭「味気ない~」というのは、まさに楽曲タイトルにある「造花」の言い換えでしょう。
ここから想像すると、タイトルの「造花」にあまり良いイメージがないことがわかります。
この楽曲の主人公にとって、造花は作り物≒感情がない物のように見えているのでしょう。
だからこそ2行目で触れているように、「あの人」のことを心配しているのです。
そのような感情のないあなたの目は、この世界を一体どのように見ているの…?
相手のことを心配する気持ちも見え隠れする、そんな疑問が綴られています。
誰にも気が付いてもらえない
変わり始めてる青い鳥の声
音が揺れたとて誰が気付くか
出典: 造花が笑う/作詞:オオキノブオ 作曲:ACIDMAN
あなたは「青い鳥」という童話をご存知でしょうか?
幼い2人の子どもが、幸せを呼ぶという青い鳥を探して旅をする物語ですね。
本当の幸せは案外身近なところにあるのだと教えてくれています。
さて、何故この童話を持ち出したかというと、歌詞に登場している青い鳥もこの物語にリンクするから。
童話の中で2人が捕まえた青い鳥は、時間が経つと死んでしまったり色が黒く変わってしまったり…。
美しい姿を保ち続けてはくれませんでした。
この楽曲中での青い鳥は、見た目こそ変わらないものの美しい声を失いつつあります。
そんな変わり果てた声でさえずったところで、誰にも気がついてもらえません。
これらの比喩が意味すること
先ほど造花が、感情のない人間を表現していると説明しましたね。
この青い鳥という表現も同じではないでしょうか。
美しい声を失ってしまった…。
それは「あの人」に元気がないこと、「あの人」から活気が失われたことを表しています。
そんな濁った声で何かを表現したところで、それが伝わることなどありません。
どうせ口先だけで、本気ではないだろう…そんな風に見えてしまうのです。
きっと主人公はそんな「あの人」のことを心配しつつも、心のどこかで馬鹿にしているのでしょう。
笑っているのは夢か現か
遥か丘で 花が笑う
月明かり背にうつむく様を
おぼろげ夢夜 覚えているか?
出典: 造花が笑う/作詞:オオキノブオ 作曲:ACIDMAN
引用部分1文目で笑っている花。それは先ほどまで無感情だった「あの人」。
一体何を見て笑っているのでしょうか…。引用部分2行目で綴られています。
ですがこれまでの歌詞では、「あの人」がすでに感情を失っているとされていましたね。
この矛盾はいったいどこから生じているのでしょうか…。
それは続けて引用部分3行目を見てみると明らかになります。
そうです。「あの人」が笑っているこの光景は、現在の話ではない可能性があるのです。
実際にそんな過去があったのか…はたまたそんな夢を見ただけなのか…記憶を辿っていますね。
いつまでも続くネガティブな表現
スッキリしない思考回路
絡み出す絹のリボンの様だと
深く眼をつむり君は何を知る
出典: 造花が笑う/作詞:オオキノブオ 作曲:ACIDMAN