あの日と違うものは?

この手は 振れない 大事なモノを落とし過ぎた
この眼は 余りに 夢の見過ぎで悪くなった

あの日と違うのは 僕だけ

出典: 続・くだらない唄/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

昔描いた夢とは違い過ぎる自分に焦りを感じているようです。

あの頃に怖れていた大人になりかけている自分がいる。

自分の眼が信じられなくなっている自分もいる。

今は大切なものが少ししかないから手を振ることもできないのかもしれません。

目の前にはあの日と同じ景色がある。

でも自分は変わってしまった。

そのことにどうしようもない焦燥感を感じているようです。

夢と現実のギャップに悩む

電車に乗って 2時間ちょっとの都会に出て来た
小さなそのプライドを 見せてやろうとした
電車に乗って 2時間ちょっと いつでも帰れると
軽く考えていたのが そもそもの間違いだった

出典: 続・くだらない唄/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

上京した人は、都会に出てきても何か違和感を感じることが多いでしょう。

特に地元が都会とかけ離れていればいるほど、その想いは大きくなります。

秋田と全く違う世界に、驚きを隠せない主人公がいます。

何もかも思っていたようにはいかない自分。

地元は違うなと感じているのでしょう。

本当に大切なものは何なのか考える

ここで手にした"輝かしいどうのこうの"に
それよりも輝かしい あの日が
見事に壊されていくようで 怖くって
何度も確かめてみる

出典: 続・くだらない唄/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

求めているのは栄光でしょうか。

”有名になること”が目標になってしまった今。

本当にそれが大事なことなのか、分からなくなっているのかもしれません。

実は地元で栄光など求めていなかった青春時代の方がもっと素晴らしかったのではないか?

そんな想いが頭をよぎっているのではないでしょうか。

少し大人になった今でも、青春時代が壊れてしまうことにとてつもない怖れを感じているようです。

その部分は変わっていないのですが、主人公はまだそのことに気付いていないようです。

悩み抜く主人公の姿が浮き彫りになる

この手に 今まで 掴ませた願いのカケラも
この眼に 今まで 睨ませた明日の行方も

壊されちまうのか?
間違っていたのか?

出典: 続・くだらない唄/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

「くだらない唄」を書いた頃と同じ主人公の姿があります。

大人になり、子供時代を忘れることを、ものすごく怖れているのです。

そして何もかもが疑わしい気持ちになり、自分の存在さえも不確かになっているのでしょう。

自然の少ない都会で暮らしていると、精神状態が危うくなることはよくあるもの。

この曲の主人公(おそらく藤原自身)も、かなり悩んでいるようです。

話題の首吊り部分

湖の見える タンポポ丘の 桜の木の下で
手頃なヒモと 手頃な台を 都合良く見つけた
半分ジョークでセッティングして そこに立ってみた時
マンガみたいな量の 涙が 溢れてきた

出典: 続・くだらない唄/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

話題になっている歌詞部分です。

これはおそらく首吊りの真似をしてみたという意味でしょう。

本当に自殺したいというワケではなく、自殺したらどうなるのかという好奇心でやってみたのだと思います。

青春時代に別れを告げ、スケジュールに追われる生活。

自殺したくなるような心境だったのかもしれません。

それでも感情は死んではいないようです。

涙をガンガン流している主人公。

つまらない大人になることを怖れている主人公ですが、ここまで感情が溢れ出すことは大人になるとそうそうないもの。

これもまた、青春の1シーンのように感じます。

と、また数年後に冷静に考えられる日がやってくるかもしれませんね。

大切なことに気が付く

原因不明の涙を流しながら あの日の気持ちで 朝日を待つ
また手を振れるかな 夢が見えるかな
景色に色が付く

出典: 続・くだらない唄/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

自分がなんで泣いているのか分からなくなることはあるもの。

この主人公もどうしてこれほどまでに涙が出てくるのか分からないのでしょう。

しかし思い切って自殺のマネをすることで主人公に大切な気付きがあったようです。

自分は変わってないんじゃないか?と。

青春時代の死