「光の気配」は節目の楽曲
40歳という節目を迎えた、「KinKi Kids」。
今回は、41枚目のシングル「光の気配」をご紹介いたします。
アイドルから絶妙に脱皮した、これぞ大人のバラードを披露してくれるのです。
聴いているこちら側に対しての問いかけ。
生きるとは何か?
その答えを求められている心地になるようです。
KinKi Kids2人を象徴している?!
「光の気配」は、2019年12月に前作から約1年ぶりにリリースされました。
初回限定盤のCDは、A・B・通常盤に分かれています。
作詞を担当したのは、KinKi Kidsと同年代の坂本真綾。
声優や歌手など、幅広く活躍する人物です。
「長くひとつのことを続けるのは大変」だと語る、彼女。
KinKi Kidsの軌跡を、歌詞に投影させたのかもしれません。
光が導く先とは?「光の気配」余すところなく読み解きます!
誰もが聴いたことのある曲
この坂道の向こうに 朝焼けが待っているって
さっきラジオで聴いたんだ たぶん昔の歌だろう
出典: 光の気配/作詞:坂本真綾 作曲:川口進・Louise FrickSveen・Xisco
疑念を問いかけてくるような、イントロではないでしょうか。
どこか他人事で、淡白な歌詞とも感じてしまいます。
ですが、荘厳なストーリーが展開されることも匂わせてくれるのです。
平凡な毎日を想像させるシーン。
ありきたりともいえる、人間の浮き沈みを描写しています。
もっといえば、長い人生を「坂道」と重ね合わせているのかもしれません。
生きていくうえで、誰しも訪れるであろう逆境や苦難。
皆それを乗り越え、生きているのです。
そんな問題が待ち構えている反面、確かな未来も含まれているとも感じとれます。
なんとなく聴いていたラジオから流れる曲。
いつも耳だけでしか聴くことのない、知らない古い楽曲です。
唄う人物は知らずとも、「人生の教訓」をモチーフにした楽曲は数多い。
主人公は、そう揶揄しているのかもしれません。
欺瞞と疑念
今日まで僕が手に入れたものを数える
犠牲にしたもの 奪ったものはいくつ
出典: 光の気配/作詞:坂本真綾 作曲:川口進・Louise FrickSveen・Xisco
自身が歩んできた道のりを振り返る、主人公。
自分ではない誰かのことを想い起こしているのでしょうか。
ともすれば、自問自答を繰り返しているのかもしれません。
人生で、何かをなし得ることは皆それぞれでしょう。
人は誰しもある意味したたかで、世の中と駆け引きをしながら生きているといえます。
図らずも、そう生きていくしかないのかもしれません。
夢や目指すところ。
自分ではない誰かに代償を負わせ、身代わりへと追い込んでいる可能性もあるのです。
親兄弟や親しい友人、知人たちも...。
言い方をかえれば、誰かを踏み台にしてのし上がってきたともいえます。
自身で成し遂げたと思っていたモノ、所詮は自己満足にすぎなかったのです。
選ばれる者と、選ばれない者たち...。
誤魔化しながら日々を過ごしている者たちへ、訴えかけているのかもしれません。
そのなかで得られた軌跡など、僅かでほんの些細なモノなのだと。
気づかず時間が風化させている、おおよそ誰もがその工程を経て今を生きているのです。
「光の気配」を象徴する、凝縮された2行のフレーズ。
生きることの疑問や苦悩を、解き明かしてくれるともいえるでしょう。
人間が、一生かかっても解けない「人生哲学」なのかもしれません。
それぞれの役目
見てみぬふり...
どこまで行けば僕は満たされるだろう
彷徨いながら あきらめ方も知らない
ただ かすかな光の気配が
歌声のように
僕を捉えて離さないんだ
出典: 光の気配/作詞:坂本真綾 作曲:川口進・Louise FrickSveen・Xisco
満足感を追求し続ける、主人公。
欲求を満たすために生きるのか?生きていくためには「欲」が必要なのだろうか?
生きていくためには、ともに不可欠なのでしょう。
どれだけ進んでも出口の見えない、人生という名の長い道のりのような迷路。
一生を終えるまでに、答えは見つかると断定される方は少ないでしょう。
問題に立ち向かうことを放棄し、何事もなかったかのようにまた日常の生活に戻る者たち。
それは一時の回避でしかなく、負の連鎖のはじまりでしかありません。
無用で、虚しさがだけが残るともいえるでしょう。
模索という「人間に課せられた使命」を、逃げずに積み重ね生きていくしかないのです。
きっとその先には、各々が想い描く「未来」が待っているに違いありません。
先を目指さなければ、得られる「望み」も手にできないともいえます。
前を向き、決して立ち止まっていてはいけないのです。
あてもなく手探りで、ただ衝動に突き動かされるまま今日まで走ってきた。
少なくとも主人公は、自分ではない誰かに背中を押され生きてきたのでしょう。
今日まで音楽業界はもとより、エンターテイメント界の牽引者「KinKi Kids」。
どうしても、2人とオーバーラップしてしまう5行の歌詞ではないでしょうか?