作詞作曲は中島みゆき
アンニュイな世界観
1978年にリリースされた研ナオコ16枚目のシングル【かもめはかもめ】。
中島みゆきによる作詞作曲で、後に中島自身も本曲をアルバムでカバーしています。
研ナオコと中島みゆきがタッグを組むのはこれが3曲目。
中島みゆきが描き出す独特の世界観が、研ナオコのアンニュイな雰囲気と見事に調和したのでしょう。
日本レコード大賞金賞、日本歌謡大賞放送音楽賞など、名だたる音楽賞を受賞しました。
キーワードはかもめ
歌詞に何度も登場するかもめは、本曲において重要なキーワードです。
歌の中で主人公は、自分をかもめに擬えています。
かもめというと、大海原を悠々と自由に飛び回る姿を思い浮かべる人が大半でしょう。
集団で飛んでいるというより、どちらかというと1羽でいる印象が強い鳥ではないでしょうか。
そこら辺にどうやらこの歌のメッセージがあるようですね。
孔雀と鳩 そしてかもめ
なぜ諦めなければならなかったのか
あきらめました あなたのことは
出典: かもめはかもめ/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
いきなり諦めたと始まるかなりインパクトのある歌い出し。
何を諦めたのかと思えばあなたのことです。
人が諦めるという心境に至るには、2つの経緯が考えれらます。
1つ目は初めから見込みはなかったが、それでもトライしてみてやはりダメだった場合。
2つ目はある程度の希望があったので努力はしてみたが、結局達成できなかった場合。
本曲の主人公である彼女には、どちらのケースが当てはまるのでしょうか。
歌を読み解いていくと、状況が段々わかってきます。
リリース当時の電話事情を考えてみると...
もう電話もかけない
出典: かもめはかもめ/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
この歌を考察するにあたり、時代背景を頭に入れておきましょう。
本曲がリリースされた1978年には、まだ携帯電話もメールもありませんでした。
なので電話をかけるとすると、相手の家にかけるしかありません。
つまり、そんなに気楽に連絡を取り合える状況ではなかったということです。
それなのに、彼女は、もう電話はしないといっています。
これが意味するのは、連絡手段をきっぱり断つということ。
このことから、だいぶ彼女が追い込まれている様子がわかりますね。
あなたの側には違う誰かが
あなたの側に 誰がいても
うらやむだけ悲しい
出典: かもめはかもめ/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき
ここでさらに雲行きが怪しくなってきました。
想い人である"あなた"の側に、誰かがいるかもしれないのです。
ただここで注目したいのが"誰がいても"といっているところ。
これはつまり具体的な人物に対して、ライバル心や嫉妬心を抱いているわけではないのです。
とはいえ、あなたの側に寄り添う誰かがいることを、薄々感じてもいます。
なので、その人のことを羨むのは、余りに惨めで悲しいと思っているのでしょう。