須田景凪の音ワールドが広がる1stアルバム「Quote」

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「Quote」、引用するという意味深なタイトルがついた須田景凪の1stアルバム「Quote」

このシンプルなタイトルとなぜかアップルと観覧車のイラスト。

これだけでこれから始まる須田景凪の音ワールドへの期待が高まります。

「Quote」で引用した須田景凪のすべて

ドラマーとしてミュージシャンを目指すも挫折。

ボカロPによる曲作りで人気を博し、須田景凪として活動を開始。

今回の1stアルバム「Quote」には、それまでの彼自身の足跡の全てが詰まっています。

良かったことや辛かったこと、彼が経験したもの全てを引用して表現したもの、それが「Quote」です。

それでは、さっそくファン目線で「Quote」の収録曲を解説して行きましょう。

1.morph

降りしきる雨音のような静かな機械音の中を、時折車が走り去っていく。

虚無的で何処かうら悲しい音が突然と心の叫びで切り裂かれる。

静寂の中に突如として響き渡る衝撃的な1曲目です。

「Quote」のプロローグとなる「morph」

冒頭1曲目の「morph」は、これから始まるQuoteのプロローグです。

映像の中では観覧車がゆっくりと回っています。

煩わしいことがいろいろとある毎日。

でも今を生きている瞬間を大事にしたいという思いを切々と歌い上げます。

最後に流れる「蜜」を暗示する「Quote」全体のテーマとなっています。

2.レド

「morph」で歌われた心の叫びを受けて、次の「レド」では一転アップテンポに変わります。

何も変わらない日常、そしてその中に埋もれていく自分。

心の中の葛藤を朱色の赤、それを「レッド」ではなく「レド」と表現する彼の造語の旨さが随所に光ります。

削ぎ落とされたシンプルさ

須田景凪の曲の特徴のひとつが、タイトル曲のシンプルさです。

須田景凪の場合は、初めからこのシンプルなタイトルで一貫しています。

余計な修飾語はなく潔いワンフレーズで、ポエムのように考えさせてくれます。

「レッド」ではない「レド」である自分自身の苦悩の前には、何事もない日々を暮らす人々がいる。

その人たちもその人たちなりに苦悩を抱えて生きているけれど、そのギャップにいろんな思いが交差する。

短いタイトルによって、聴き手側にも自由な発想が生まれるのが須田景凪の魅力です。

3.idid

さらに日々の不安定な気持ちは次の「idid」に続きます。

「I did」を直訳すれば、何かを「した」でしょうが、「idid」は何も成しえてない自分なのか。

ギターが奏でるテンション音が合わさった不安定な響き、微妙に和音に乗っからない歌が心に残ります。

テンションコードを用いた不安定さ