ディミニッシュだったりオーギュメントだったり、それら不安定な和音は曲調を一旦は崩します。
しかしそれは必ず解決しないといけない和音です。
あるいは、6度、11度、13度といった音を積み重ねることでより広がりのある不思議な世界を生み出しています。
西洋音楽の規則性は決められた音楽理論の上に成り立っていますが、それを崩すこともまた独自の音楽文化です。
音楽は読んで字の如く音を楽しむことであって、それを実践しているのが須田景凪です。
4.Cambell
「Cambell」は、牧歌的シンセ音に乗ったミディアムテンポの曲。
曲調は牧歌的でも、変わらずに過ぎていく日々を憂う少し物悲しいメロディーです。
ノスタルジックなイメージを想起させる「Cambell」
「Cambell」というのは、スコットランド人に多い名前だそうです。
スコットランドといえば、美しい牧歌的な田舎、ノスタルジックな郷愁を肌で感じるようなイメージを抱きます。
この牧歌的なメロディーと相反する日常の不安定さを表現する歌詞が絶妙の組み合わせです。
5.ポリアンナ
つかむことのできない恋心の相手「ポリアンナ」。
再びアップテンポで畳み掛ける彼の叫びに、「ポリアンナ」の怪しいアラビック音階が響きます。
こだわりの音づくりと大胆な発想
ここで掴みどころのない「ポリアンナ」を、アラビックスケールを用いて表現しています。
こだわりの音作りとその発想は須田景凪の真骨頂です。
聴いていてこのままこの曲調で行くだろうなと安心して聴いている。
すると聴き手の予想を裏切るような大胆な音に驚くと同時に癖になります。
6.街灯劇
お互いにすれ違っていく心の葛藤を歌った「街灯劇」。
街の中に埋もれる自分、そして分かり合えるはずの相手、どこまで行っても満たされない心の叫びです。
魅力ある須田景凪の歌声
変幻自在な歌声が須田景凪の魅力のひとつです。
時にはMr.Childrenの桜井和寿のようでもあり、時にはスキマスイッチの大橋卓也のようです。
心の内側からシャウトし力強くもシャイな声は病みつきになります。
7.シックハウス
さよなら もう会えないね
いずれ壊れてしまうふたりだ
目を閉じるのはよくないな
それなら灰をまとって
やさしく頬をなぞって欲しいから
その細い指で
出典: シックハウス/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
「シックハウス」は、恋する相手と別れようとする気持ちをミディアムテンポで歌い上げるナンバー。
今はそうでなくても、いずれは必ず別れが来るもの。
そうした気持ちを癒される歌声で朗々と歌い上げます。