愛しい日常と心の痛み、その葛藤を歌う「アマドール」。
ミディアムテンポに乗せて歌うメロディーがいつまでも心に残る名曲です。
ここでも途中の不安な気持ちを、調子を外していく和音展開で見事な緊張感を持たせています。
ギミックを用いた緊張感
心地良い観覧車が不意にガクンと下がるような感覚。
突然、目の前の情景がぐんにゃりと歪んでいくような感覚。
須田景凪の曲のもうひとつの特徴がこのギミック感です。
不意打ちを喰らうようなキーから突然外れる不協和音。
リズムの間に挟みこむ不規則なシンコペーション。
これら違和感のあるギミックを用いることで曲により一層の磨きをかけています。
9.鳥曇り
ふらり 街の渦を泳いでは
落ちる灯を逆さに映した
いずれ 誰も居なくなって
まるで烏有に帰す様に雲に混ざって
出典: 鳥曇り/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
「鳥曇り」は、別れを口にしてお互い消えてしまうことを、雲の中へ鳥有に帰すと表現しています。
アップテンポの曲調に乗せて軽やかに歌います。
しかし須田景凪の歌はタイトルがシンプルな反面、歌詞は中々難解です。
微妙な心の表現を聴く人なりに感じ取れるのが須田景凪の魅力のひとつです。
言葉の広がりを感じるポエムの世界
須田景凪とは全く何の関係もないですが、このアルバムを聴きながらふと頭に浮かんだ詩人がいます。
それは、今から遡ること1933年に37歳の若さで亡くなった童話作家の宮沢賢治です。
大正時代から昭和のはじめに活躍し、没後その作品の多くが認められました。
宮沢賢治が描いていたのは、全てのものを愛するという不変のテーマです。
人が持つ心の優しさであったり、自然の素晴らしさであったりといったことでしょうか。
須田景凪の描く言葉の世界に、なぜかこの宮沢賢治の童話が連想されました。
10.蜜
今日のことを教えておくれ
なにも言わず また目を伏せる
日々の隙間に潜り込んで
僕ら、さよならを誓った 今日も
出典: 蜜/作詞:須田景凪 作曲:須田景凪
アルバムの最後を締めくくるのは、お互い別れを告げ前を向いて行こうと歌う「蜜」。
「Quote」のエピローグとなる曲です。
ゆったりとしたテンポで日々の気持ちを描きつつも語りかけるように歌い上げています。
morphで始まった須田景凪の音ワールドは、悩みを抱えながらも「蜜」で締めくくられます。
「Quote」の終わりでもあり、須田景凪自身の序章なのかも知れません。
今後の須田景凪の活躍に期待
自分と世界とのズレ、何をやっても満たされない心、表現できない心の葛藤。
全編聴き終わりいろんな心のざわめきが聞こえてきます。
そして聴くほどに癖になる五感の中枢を刺激するサウンドと彼の歌声。
じっくりと心に響き渡るポエムのような音絵巻の世界が頭に残ります。
今後の活躍がますます楽しみなひとりで、早くも次の新作を期待してしまいます。
須田景凪ボカロPのflowerとしての名曲シャルル
須田景凪のボカロPとしての名曲「シャルル」は、再生数ダブルミリオンを達成しています。
「シャルル」と須田景凪の「Quote」を比較すると、素材の使い方に違いを感じます。
いろんな感情や思いが詰まったものとそれぞれが素材として残っているものという違いです。
聴き分けてみると、より須田景凪の魅力が広がります。
「シャルル」のことを詳しく知りたい方は、下記のサイトを参考にしてみてください。
【シャルル/flower】中毒性が話題の歌詞の意味を徹底解釈!コード譜&動画情報もチェック♪ - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
ボカロP・バルーンの代表作とも言えるダブルミリオンを達成しまだまだ注目を集める「シャルル」。楽曲シャルルとPVに込められた意味やコード譜について紹介していきます!
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