境界線を壊す
鳥かごを意味する「ゲージ」。
【Laughter】では、境界線を表す言葉として使われているのではないでしょうか。
ダー子とその仲間たちは、詐欺師ですが、決して悪者ではありません。
義賊的な行動が多く、もっぱら弱者を陥れようとする悪人が標的です。
その手口は、実に鮮やか。
暴力を振るわず、口八丁手八丁で富をくすねます。
緻密に罠を作り、相手から信頼を獲得する…。
ダー子をはじめとする詐欺師の中では、嘘と真実の境界線が明確ではありません。
境界線を壊す。
この作業が彼女たちのミッション成功につながっているのでしょう。
詐欺師の歩む道
まだ見ぬ世界へ
籠の中で飼育されていた鳥にとって、外の世界は未知なるものです。
まだ見ぬ世界を思い描く時。
不安感が募る一方では、ドキドキワクワク感も高まるのではないでしょうか。
メインキャラのダー子たちは、強い好奇心と行動力を持っていました。
「コンフィデンスマンJP プリンセス編」では、命の危機にさらされながらも、巨額の遺産の奪取を画策します。
最強にして最悪と呼ばれる刺客と対峙する…。
歌詞に登場する鳥も籠を破壊したことによって、外敵に襲われやすい状況になっています。
しかし、危険の向こう側には、真の幸せを手に入れられる場所があるはず。
そのような期待を抱き、籠の外に出たのでしょう。
まさにハイリスクハイリターン。
詐欺師の歩む道を鳥の姿で表現しています。
本能のままに
籠を壊した鳥は、ただ純粋に喜びます。
籠の中の限られたスペースでは、羽根を広げて飛ぶことが難しいです。
しかし、籠という場所から解放された時、思い切り羽ばたいて飛び回れるようになります。
曲中では、そのような状況を「イエス~」「~はしゃいで」と表現しているようです。
無理難題を解き明かした時の爽快感や満足感は、言葉にしがたいものがあります。
コンゲームにおいても同様のことが言えるでしょう。
手強い相手となると、攻略した際の喜びが一入です。
だからこそ、ダー子たちは、より強大な敵を求めて前進します。
風向きに逆らわず飛ぶ鳥のごとく。
自身の感覚と本能に基づき、獲物を釣り上げているのです。
映画の魅力を体現
過去のダー子の姿を重ね
頭脳明晰なダー子。
詐欺師として天性の才能を持つ人物です。
しかし、彼女も人間。
いつでも思い通りに物事を進められる訳ではありません。
過去に辛い経験を味わっていました。
歌詞に記された「ひざ~」「~自分」。
人知れず闇を抱える彼女自身が示されているのではないでしょうか。
「~抱えた」というフレーズは、トラウマの存在を匂わせています。
曲中の鳥は、かつて「ゲージ」という自分の殻に閉じこもっていたダー子ではないか。
そのように推測できます。
鳥と詐欺師の共通項
鳥も詐欺師も自由な生き方を愛しています。
おとなしく規定の場所に居続けられません。
そして、過去を振り返らず、今を懸命に生きる性分です。
歌詞の「昨日~」「乗り越え~」からは、両者の逞しさや潔さを感じ取れます。
昨日までの弱かった自分を越えてやる。明日に向かって踏み出そう。
そのような意気込みが伝わってきます。
同時に、「何者にもなれる」というダー子の名セリフが想起されるでしょう。
詐欺師イコール偽者。
だからこそ、無限の可能性を秘めています。
どのような色にも美しく染まり、自身の才能を発揮できる。
それが、ダー子たちが目指す詐欺師の姿です。
誰もが越えられないと思っている壁でも、彼女らは突破するのではないでしょうか。
鳥のごとく華麗に、壁の上に立っているかもしれません。
【Laughter】で描かれている鳥の姿。
未知の領域に勇敢に向かわんとする様相は、「コンフィデンスマンJP」の物語にリンクしています。
映画の魅力を実感させてくれるでしょう。
最後に笑う者は
タイトルと歌詞に登場する【Laughter】。
laughは、日本語に訳すと「笑う」です。
声を出して面白がっている状況を表す時に使われています。
terが付けられたLaughterは、「笑う」という一連の動作を指し示している名詞です。
大きな笑いが起きた場面を説明する際に多用されています。
巨額の遺産を手にするべく詐欺師が大集合する「コンフィデンスマンJP プリンセス編」。
豪華キャストによる駆け引きは、見どころ満載です。
他者を出し抜けるのは如何なる人物か。最後に高笑いするのは誰か。
巧妙な心理戦を制したものだけがLaughterになれるのです。