無常にも終わっていく夏
「さよならしてから 呼び止めて」 「くちづけした後 抱きしめて」
なんて言えるハズもないよね あなたの居ない街に流れる夏のメロディ
出典: メロンソーダ/作詞:ムツムロ アキラ 作曲:ムツムロ アキラ
ここでは、幸せな恋人同士に憧れる主人公の素直な気持ちが描かれています。
別れを決意したのに、やっぱり離れがたいからといってやり直そうと言われたい。
キスをしたら、抑えきれない感情とともに抱き寄せられたい。
そんな少女漫画のようなシチュエーションに憧れるけれど、結局それを口に出すことはできません。
過ぎ去っていく夏を思わせる蝉の声や風鈴の音が、主人公には寂しく切ないメロディに思えるのでしょう。
思春期だからこその葛藤
こんなに こんなに愛しいのに どうして 涙ばっかり出るの?
優しい言葉に触れるたびに 心が張り裂けそうだよ
出典: メロンソーダ/作詞:ムツムロ アキラ 作曲:ムツムロ アキラ
どんなに優しくされても、恋人同士ではないから。
もしかしたら、好きな人にはもう気になっている人がいるかもしれないから。
自分の気持ちを伝えられないからこそ、不安になってしまい、相手の優しさも辛くなってしまう。
どうしようもない気持ちはまさに「胸が張り裂けそう」なほどです。
恋愛は楽しいだけではなく、思いが伝わらない苦しさで悲しくなってしまうこともあります。
このように揺れ動く女の子の気持ちは、グループ名にも含まれている「アドレセンス(思春期)」を経験した人なら誰もが共感できます。
サビのフレーズ「アイドルだって…」
この曲の中でも特に耳に残るのはサビの部分です。
自信はあるのに伝えられない
わたしが いちばん可愛いのに どうして あの子ばっかり見るの?
出典: メロンソーダ/作詞:ムツムロ アキラ 作曲:ムツムロ アキラ
これは、アイドル活動をしている主人公だからこそいえる台詞です。
普通の女の子は自分が一番可愛いとはなかなかいえないものです。
ライバルに対して「私の方が可愛いのに」と断言できるほどの自信を、彼女は持っています。
実は「夢アド」の他の楽曲にも「可愛いだけじゃダメですか?」というフレーズが登場します。
「夢アド」におけるアイドルというのは、アイドルとして自分の可愛さには絶対的な自信がある女の子です。
『メロンソーダ』の主人公も同じく、まさに「可愛いだけじゃダメですか?」と言えてしまえそうな雰囲気を持っています。
「可愛いのになんで他の子を見るの?」と不満げな表情が浮かんでくるようです。
あなたから「好き」と言われたなら アイドルだって辞めちゃうから!
出典: メロンソーダ/作詞:ムツムロ アキラ 作曲:ムツムロ アキラ
活動をしている以上、表立って恋愛をすることはできません。
だからこそ主人公は、もし片思いの相手が振り向いてくれたら、恋人になるためにアイドルを辞めるという選択もできてしまう。
主人公にとってアイドル活動というのはとても大切なもののはずですが、それすら捨ててしまえるといっているわけです。
このワンフレーズで、主人公の思いの強さと真剣さ、10代特有の恋愛に対する盲目さが伝わってきます。
逆にいえば、「恋愛禁止のルールを破ってまで活動はしない」ということになります。
アイドルとしてのプライドも感じられますね。
思いとは裏腹な期待
おねがい 名前で呼ばないで これ以上 夢中にさせないで
出典: メロンソーダ/作詞:ムツムロ アキラ 作曲:ムツムロ アキラ
相手が自分の名前を口にするたびに、相手のことが更に好きになってしまう、という女の子らしい歌詞です。
本当に「名前を呼ばないでほしい」と思っているわけではなく、その実は正反対なのでしょう。
呼ばれるのをひそかに喜んでいる、期待しているというきゅんとする場面です。