スカパラとモンパチのコラボ!
東京スカパラダイスオーケストラのバンドコラボシリーズの一環として、MONGOL800との共演が実現しました。
日本が世界に誇るスカバンドと、日本一マイペースと呼ばれるパンクロックの融合です。
大切な人と過ごすかけがえのない時間、そして切ない別れをテーマにした「流れゆく世界の中で」の奥深い世界観について解説します!
沁みるMV
シンプルな赤の世界
歌詞解釈
柔らかな陽射しの中で時間を忘れて
迷ったことも気づかずに歩き続けた
言葉も邪魔しない場所で二人は静かに
誰にも見えない絆をつくりだした
春も夏も秋も冬も
花が咲いて枯れたあとも
雪が頬で溶けるときも
ずっと一緒に
出典: 流れゆく世界の中で/作詞:谷中敦 作曲:沖祐市
MVの冒頭、背景には大量のスナップ写真が飾られています。
そこには特別なアクシデントなどない、ただ穏やかな日常が感じられます。
そしてキヨサクの心に直接語りかけてくるような肉厚のハスキーボイスが乗ります。
場面はうららかな日差しが降り注ぐ散歩道でしょうか。
手元にある些細な日常の幸せをかみ締めている情景が広がっています。
言葉も邪魔しない場所とは
あまりにも穏やかすぎて二人は周りを気にすることもなく歩いています。
「言葉も邪魔しない場所」とは、もはや言葉を交わす必要もないくらい深いところで通じ合っているということなのでしょう。
だから一緒に歩いているだけで、その歩みの数だけ絆は深まっていくのです。
幸せの絶頂のように見えますが、歌にはどこか寂しげな雰囲気が漂います。
歌詞に出てくる「迷ったことにも」は単なる迷子というわけではなさそうです。
吊り橋効果という言葉があるくらいですから、ちょっとしたアクシンデントがある方が二人の感情は盛り上がるものです。
道に迷った状態というのは二人の絆を深める絶好の機会ですが、そんな様子ではないようです。
これはただ道に迷ったのではなく、どこに行くのか分かっていない。
あるいは同じ方向へ進むに決まってると思い込んでいるだけなのかもしれません。
二人が別々の道を選ぼうとしている予感がします。
流れゆく世界の中で
言葉さえいらないくらい
ただそばにいて寄り添うことが
こんなに強く優しいなんて
出典: 流れゆく世界の中で/作詞:谷中敦 作曲:沖祐市
二人きりの世界はまるで一時停止したように永遠に続くよう感じられます。
二人の世界は終わらないのではなく、あまりにゆっくり時が進むから終わりに近づいていない気がするだけなのです。
それでも知らない顔をして「世界」はいつものペースで回り続けます。
誰もが人生の主人公は自分だと思ってしまいがちですが、世界の側から見たら全員がモブの一人に過ぎません。
それを忘れていたらいつの間にか世界に取り残されてしまいます。
でも愛する人がいれば、モブ的な人生だって怖くはなくなります。
世界の中心らしき場所に「あなた」がいることが重要なのです。
今でもそこにいるような気がしてあなたを
つい探してしまっている愉しいときも
いつまでも一緒にいられるなんて思って
流れるままに過ごしていた今はわかるよ
春も夏も秋も冬も
同じ場所で過ごしてきた
世界中を旅するよりも
幸せだった
出典: 流れゆく世界の中で/作詞:谷中敦 作曲:沖祐市
二番では状況が一変します。
永遠に寄り添っているはずの二人はもうそばにいません。
やはり二人は別々の道へ進んでしまったようです。
本当の孤独とは
一人になっても世界は回るし、一人きりの生活だってそれとなくこなせます。
恋人と別れたって、次の日には平気なフリをしながら学校や仕事に向かうのが日常です。
その瞬間は友だちも仕事仲間もいますから単独で過ごすわけではありません。
でもそんな孤独で悲しみに浸っているわけでない瞬間ですら「そこにいないあなた」を探してしまう。
孤独とは一人きりの時だけに感じるものではありません。
実は楽しい時にこそ、最も一緒にいたい人がそこにいない現実に晒されるものなのです。
愛する人と楽しみを共有している時間が一番幸せです。
その一番を共有できない苦しみが、ぬるく重たくのし掛かってくるようです。