andymoriの「すごい速さ」を解釈!

2014年に惜しまれつつ解散したバンドandymori(アンディモリ)。
そのうち初期メンバー3人はAL(アル)として音楽活動を続けています。
ただやはりandymori時代の曲が懐かしい方もいるのではないでしょうか。
「すごい速さ」もそんな1曲。
タイトルを見るだけでもどんなナンバーかわかるくらい、スピード感に満ちたサウンドが特徴的です。
しかし歌詞にじっくり耳を澄ますと、単純に曲のテンポが速いだけではないことがわかります。
どのような歌物語になっているのでしょうか。この曲の歌詞を解釈します。
1番の歌詞はこちら!
世界の終わり?
きっと世界の終わりもこんな風に
味気ない感じなんだろうな
あのバンドの新譜と牛乳を買いに
部屋をでたけれど
5分前に出会ったふたりも
今じゃベッドでささやきあって
くだらないTV消して
出典: すごい速さ/作詞:小山田壮平 作曲:小山田壮平
歌詞は冒頭から謎に満ちた内容になっています。具体的な行動としては、主人公が買い物に出かけたということ。
どうやら音楽が好きで健康にも気を配っている人物が想像されます。
もしかしたら作詞作曲、ボーカル&ギターを担当する小山田壮平さん自身が反映されているのかもしれません。
部屋を後にしてレコード店やコンビニなどに向かったと考えられます。
その道中に誰かと出会い、それまではひとりでいた主人公がふたり連れになったという展開。
ざっくりいうと5分前に知り合った誰かと、今はもうベッドの上に一緒にいるわけですね。
そのとき主人公は味気なさを感じ、不思議な考えを頭の中で繰り広げたことになります。
問題は、主人公が想像した内容です。
何と、世界の終わりという壮大なテーマについて思いを巡らせていました。
もしかしたら自らの行動を振り返って世も末だと感じたのでしょうか。
思春期にありがちなとんでもない終末思想を連想した可能性もあります。
はじまりが終わるの?
はじまりのおわりの
はじまりのおわりの話をする
出典: すごい速さ/作詞:小山田壮平 作曲:小山田壮平
もちろんどのような大惨事に見舞われたとしても、この世が崩壊するというのは妄想にすぎません。
主人公も大それたことを真剣に考えているわけではないと思われます。
しかも今、目の前で起きている新展開が終わることについて語り合うという流れです。
きっと、とてつもなく速いスピードでつき合い始めたふたりなので、もう別れ話をする。
そういう意味ではないでしょうか。
あまりにも大きなテーマが掲げられたかのような出だしでしたが、実は身近な男女の恋物語になっていました。
このスケール感の対比と、実際に展開の早いラブストーリーになっているところがおもしろいですね。
サビの歌詞はこちら!
時間が速く過ぎる理由
すごい速さで夏は過ぎたが
ラララララララ
熱が胸に騒ぐ
出典: すごい速さ/作詞:小山田壮平 作曲:小山田壮平
さて、どのようなラブソングになっているのかが明らかになったところでもうサビです。
曲の構成そのものが「Aメロ→Bメロ→サビ」という一般的なJ-POPのような段階を踏んでいません。
つなぎの役割を果たすBメロを飛ばして、サビに直結しています。
この曲はテンポと併せて、構成自体も早い展開になっているわけですね。
さらに歌詞の内容としても、スピード展開の恋愛は夏の出来事として本当に終わってしまったことがわかります。
この流れで鼻歌のようなフレーズ。
何が何やら訳のわからないまま、とりたてて理由もなく突っ走る青春がイメージされます。
とにかく叫びたい気分。
鼻歌を歌っていれば何とかなる。
そう思える若い年頃は一瞬の夢のように駆け抜けるものかもしれません。
常に、今この瞬間にすべてのエネルギーを注いでいる為、あっというまに時間が過ぎる感覚を覚えるのでしょう。
日常で感じる熱とは
また、サビの部分で登場する「熱」という言葉も注目ポイント。
ひと夏の恋は既に終わっているので、その状態で沸き起こる熱は「恋の炎」という恋愛感情ではなさそうです。
もちろん風邪を引いたときに上昇する体温のことでもないと考えられます。
実際の火や電気などによる物理的な熱でもない感じです。
では具体的に何かというと、主人公が抱く情熱のことではないでしょうか。
恋愛でもなく他に熱中している何か。
煮えたぎるような熱い想いを抱いているから、毎日が充実していて時間が過ぎるのが早いのかもしれません。
むしろスピード展開の恋は味気なく感じたものの、それ以外のことのほうが重要と解釈することもできます。
ただ、一体何に情熱を注いでいるのかまではまだわかりません。