普通に付き合っている時なら、今朝あったことも会話のひとつとして盛り上がることができました。
しかし今は別れ話の真っ最中です。
これまで当たり前だった、そんな日常すら戻ってこないんだということを、まさに今実感しています。
これから毎日、こんな状態が続くのだという苦しみを感じているのです。
謝り続ける「君」、普通に話せない主人公、戻らない幸せな時間。
それぞれが絡み合い、今のこの時間が主人公にとって辛い時間になってしまっています。
涙は言葉以上に残るから
釈明されればされるほど辛くなる
言わないで 言わないで
その彼を憎んじゃうから
最後くらい男らしく
かっこつけさせてよ
出典: 泣かないで/作詞:鬼龍院翔 作曲:鬼龍院翔
「君」の謝罪は続きます。
「あなたが嫌いになった」などと嘘をつくこともできたでしょう。
しかし「君」はそうしなかったのです。
「あなたのことは好きだけれど、もっと好きな人が他にできてしまった。」
そんなことを正直に話す「君」の姿に、憎み切れない主人公がいます。
そしてさらに、新しい相手がどんな人なのかを説明していく「君」。
素直に受け入れるつもりだったけれど、そんな説明が続けば続くほど主人公の心は乱れていきます。
せめて綺麗に優しく別れたかったのに…。
苦悶する主人公の様子が伺えます。
これだけはわかっていてほしい
最後なら ねえ聞いて
大好きでした何よりも
思い出すと胸の辺り
苦く締め付けるよ
さよなら
出典: 泣かないで/作詞:鬼龍院翔 作曲:鬼龍院翔
苦悩する主人公は、「君」の話を遮って話し始めました。
どうしても伝えておきたかった最後の言葉。
それが上記、2行目の内容です。
辛い決断でした。
最後まで「君」の話を聞いてあげたい。
でもこれ以上聞いていたら、どうにかなってしまいそうだったのです。
だから、遮ってでも伝えることにしたのでしょう。
今も、そしてこれからも続く激しい後悔と、失意に満ちた時間が主人公を待っています。
それをわかっているからこそ、強気に出た主人公なのでした。
せめて笑顔で別れたい
泣かないで 泣かないで
忘れられなくなるから
この先の道のりで
きっと恋しくなるから
泣かないで 泣かないで
君しか見えないんだから
どんなに目を逸らしても
やっぱり好きだから
出典: 泣かないで/作詞:鬼龍院翔 作曲:鬼龍院翔
その言葉を聞いて、さらに大粒の涙を流す「君」。
主人公は、自分の発言でさらに「君」を苦しめたことを気に病んでしまいます。
だから泣いて欲しくなかった…。
無理なことはわかっています。
今の「君」も、主人公と同じように辛い気持ちでいっぱいであることは手に取るようにわかるから…。
自分ではない誰かを好きになって、涙を流してそのことを伝える「君」に怒りすら覚えていたはずでした。
しかし、実際こうして向かい合って「君」を見ていると、まだまだ気持ちが冷めていない自分に気づきます。
だからせめて、最後は笑顔で別れたかったのです。
綺麗な思い出にするために…。
まだ未練は残ってる?頑張って別れを受け入れたけど…
どうか忘れないでいて
少しだけ想わせて
きっとすぐ立ち直るから
一人で居ることには慣れた
そう慣れたけど
叶うならそばにいて
君無しの明日がこわい
稀にでいい、思い出して
こんな餓鬼が居たこと
さよなら、さよなら、さよなら
出典: 泣かないで/作詞:鬼龍院翔 作曲:鬼龍院翔
最後のサビの部分です。
ここの歌詞からわかることは、この別れ話の少し前から「君」とは会えていなかったということ。
自分の気持ちに気付いて少しずつ距離を取り始めた「君」は、主人公と会っていなかったのです。
その間、主人公は色々と考えていました。
きっとこうなることも予測していたのでしょう。
当たり前のように一緒にいた時間が嘘のように寂しいひとりの時間。
距離を置いていたのは少しの期間だったはずですが、それもでその寂しさを痛感したのです。
それがこれから毎日続くことが、この別れ話によって確定してしまった…。
だからこそ今後、せめて少しでも自分のことを思い出して欲しいと願っています。
でもそのことは口には出しません。
というより、出したくても出せないのです。
それによって自分が惨めになることを理解しているから。
「君」からの提案を受け入れた主人公はまだまだ気持ちの整理がついていないのです。
この先、どれだけの時間をかけて整理できるのかはわかりません。
未練、後悔、そして嫉妬に苛まれ続ける主人公はこれからどのような人生を歩むのでしょうか。
「君」がいない、ひとりの人生をどのように受け入れていくのか…。
そこから先は描かれていませんが、「君」が思い出になるにはまだまだ時間がかかりそうです。
これで、この歌詞の解釈を終わります。