「悲劇」の始まり
ルールは徹底
No wish, no smile, only despair
The curtain will open
出典: theater D/作詞:MYTH & ROID 作曲:MYTH & ROID
「願いも笑顔も禁止です。唯一許可するのは絶望だけ」
迷惑行為を告げた後は禁止事項のアナウンスのようです。
とにかくポジティブな要素は持ち込むことも、作り出すことも厳禁ということでしょう。
先程の歌詞で「希望は雑音」だと歌っていました。雑音は他者への迷惑に繋がります。
こちらの歌詞では例え音を発しなくても、誰にも迷惑をかけなくてもNGなのです。
ただ絶望していなさい、という強制感がありますね。
「さあ、幕が開きますよ」
いよいよ演目「悲劇」が始まろうとしています。
願いや笑顔を欠片でも残しているのであれば、劇場の外にあるゴミ箱に捨ててきてくださいね、という感じでしょうか。
アニメでこの曲が流れたときの主人公は笑顔とは程遠い、この世の終わりのような表情をしていました。
笑いたくても笑えない状況こそ絶望であり、悲劇です。
つまりアニメの主人公は絶望の真っ只中であり、それを画面越しに見ている私たちは悲劇を見ていたといえます。
「絶望」に終わりはない
Welcome to the party
暗闇で舞う無数の影よ
出典: theater D/作詞:MYTH & ROID 作曲:MYTH & ROID
「パーティへようこそ」
観劇する主人公を歓迎している言葉です。
「パーティ」ですから、この劇の主催者は「悲劇」を楽しいものとして表現しているのが読み取れますね。
しかしパーティに同席している人たちからは楽しげな雰囲気は少しも感じません。
スポットライトが当たるステージの上から客席を見ると、顔の判別ができないくらい暗く見えるはずです。
ここではそうした事実を述べているのではないのでしょう。
光が当たらなければ「影」ができないはずですが、光のない場所でそれがうごめいています。
光=希望だとすれば、もう二度と希望が抱けないほどの絶望を味わっている人々が、そこにいるのです。
This show will never end
何人も逃れられはしない
出典: theater D/作詞:MYTH & ROID 作曲:MYTH & ROID
「このショーが終わることはないでしょう」
この和訳からひとつの疑問が生まれます。「ショー」とは何を指しているのでしょうか。
主人公は劇=ショーを観に来たはずなのに、気付けばステージ側から「見られる」対象になっているのです。
「帰れない・出られない」ではないところを見ると、主催者側の策略だったと考えられます。
女性が歌ったものとは
Singing a song for my memories
記憶のすべて嘲笑して
出典: theater D/作詞:MYTH & ROID 作曲:MYTH & ROID
「思い出のために歌を歌う」
誰かがステージに立って歌っている様子が浮かびます。
MYTH & ROIDのTom-H@ckさんのインタビューによると、ステージにいるのは女性なのだとか。
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女性が歌っている思い出は、あまり良いものではないのでしょう。
まるで自虐のように、彼女自身の人生を歌い上げます。
観客には「笑い厳禁」が伝えられていますので、観客が笑っているわけではないはずです。
So please give me a big applause
喝采で更に堕として
出典: theater D/作詞:MYTH & ROID 作曲:MYTH & ROID
「それでは大きな拍手をお願いします」
自らの経験を自虐的に歌にして披露した彼女が観客にかけた言葉なのでしょう。
観客は口の端ひとつ動かさず真顔で、ただ拍手を送っているわけです。薄ら寒くなりますね。
多くの人から拍手をもらえるのは、ごく限られた人ではないでしょうか。
友だちの隣で自虐ネタを歌にして披露しても、拍手はもらえません。
女性は「ステージ」に立ったからこそ大きな拍手を受けているのです。
ステージに立つことは地位・名声の証。
常人よりも更に脚光を浴びた女性が自らの経験を語り、同情ひとつされず真顔で拍手を受ける光景を想像してください。
人生の絶頂から奈落の底へと、垂直落下のアトラクションで一気に落ちるようなものではないでしょうか。