切ない男心とは

山本譲二【みちのくひとり旅】歌詞解説!こんなに愛しているのに…それでも別れなければならないこともあるの画像

日本人の心を歌う演歌。

数々の演歌の名曲の中には、悲しくも切ない「女心」「男心」が歌われています。

今回ご紹介する「みちのくひとり旅」には、どんな男心が歌われているのでしょうか。

みちのくを旅して

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演歌の舞台としてよく登場する「みちのく」

そこはどんな場所で、どんな人生が行き来しているのでしょうか。

みちのくとは

「みちのく」は東北地方の一部もしくは全部地域を指す名称です。

公共交通機関や、金融機関の名称にも用いられ、親しみをもって使われています

旅番組や、歌のタイトル、歌詞の内容にもよく使用される「みちのく」。

「東北」というよりも「みちのく」という方がどこか風情があるせいかもしれません。

「みちのく」という言葉には、単なる一地方というよりも町の雰囲気まで伝える温かさがあります。

雪国「みちのく」を一人で旅する男の物語

「みちのくひとり旅」について歌詞を読み解いていきます。

一緒にいるための方法は

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ここでいっしょに 死ねたらいいと
すがる涙の いじらしさ
その場しのぎの なぐさめ云って
みちのくひとり旅
うしろ髪ひく かなしい声を
背(せな)でたちきる 道しるべ
生きていたなら いつかは逢える
夢でも逢えるだろう

出典: みちのくひとり旅/作詞:市場馨 作曲:三島大輔

愛し合った二人の心はひとつ。

しかしながら、一緒にいるために探る道は異なるようです。

それぞれの思いをみていきます。

普通の幸せがないのなら

男と女が出会い、惹かれ合い、愛し合う。

その先に願うのはどんなことでしょうか。

ずっと一緒に離れずにいたい。傍にいたい。そんな思いでしょう。

そして、思い描くのは二人で築く幸せな生活。

贅沢はできなくとも二人で力を合わせながら生きていくことを夢見ます。

どんなに愛し合っていたとしても、それが叶わないということも残念ながら、人生ではあり得ること。

一緒にいることで相手を不幸にしてしまうかもしれない場合。

自分といるよりも、違う道を選んだ方が明らかに相手が幸せになれると考えられる場合など。

二人が生涯を共に過ごすためにはただ「好き」というだけではどうにもならないこともあります。

抗えぬ「運命」を前に、愛し合った男と女はそれぞれに違う決断を下そうとしています。

離れたくないから

お互いに心から愛しあっているのに、どうしても一緒には生きられないとしたら。

どのようなことを考えるでしょうか。

この歌の主人公の恋人である女性は、一緒になれないならいっそ一緒に命を終えることを望みます。

「来世」で一緒に、と考えたどうかはわかりません。

しかし、彼女にとって彼のいない人生は「死」と同じ

そうなのであれば、いっそここで一緒に人生を終わりにしたいと願います。

その一方、主人公である男性の方は。

一緒になれないなら、ここから先は別に生きることを考えたよう。

思い合っていたなら、またいつか二人巡り合う日がくるかもしれない。

いや、生きてさえいれば彼女はこれから先、幸せをつかめるかもしれない

愛しあう、男女の思いは平行線のまま交わることがないようです。

男と女ちがい

愛し合う二人の前に何かしら大きな壁が出現したとき。

男と女では根本的に違う思考回路で物事をとらえます。

女性は、「愛する人と二人で力を合わせて乗り越える」ことを望む傾向に。

たとえとんでもない苦労が待ち受けていたとしても、愛する人を支えたいと考えることが多いよう。

一方、男性は「自分の力」にこだわることに注力することがあります。

自分のせいで愛する女性が苦労することを望まないということ。

男性は、本能的に女性を守り幸せにしたいという欲求があります。

それ故に、見通しのたたない苦労を強いるくらいなら、愛する人を手離したい

自分より相応しい男性と出会って幸せになって欲しいと考えることがあるようです。

この歌の主人公の男女は、愛し合いながら同じ道を歩けない

そんなもどかしさから、半ば意地になりつつ別れの苦しさにもがいています。

ゆっくりと離れていく