生まれ落ちたのは…

黒い衣装の京さんはぎこちないロボットのような動きをしていました。

そして、病院の患者がつけるような経鼻チューブと青白い顔色。

肉体的に限界が来ているのではないでしょうか。

京さんの衣装は後半、女性と似た白い衣装に変わります。

以上のことから、京さんは女性の体を借りて生まれ変わったのでは?と感じました。

そして、そばにいるサーカス団員は京さんの腰に繋がれたリードを持っています。

まるで逃げないように見張っているようです。

出し物の一つとして飼われているんでしょうか。

サーカスでいうところのライオンやトラのような猛獣なのかもしれません。

見世物にされるために生み出された存在。

そんな彼が歌う内容とは?

歌詞をご紹介!

自分を押さえ付けて生きてきた主人公

嫌いな詩流れているもの
気にもした事のない
詩が嘘の様に言葉を殺す
その時気が付く
私の心を

初めから気付かないフリで
自分自身を押さえ付けて生きてきたのは
上手く生きる為なんかじゃない
春よ、夢うつつ

出典: Ranunculus/作詞:京 作曲:DIR EN GREY

主人公はある時、自分の嫌いな曲が流れていることに気づきます。

薄っぺらいリアリティの無い歌詞

どうしてこの曲が嫌いなんだろう?と、ふと考えます。

それは言葉に意味がなく、死んでいるような歌詞だから。

そして、気が付きます。

今の自分の状態と似ている、と。 

自分もそうだ。自分を偽り、生きながら死んだような状態だ。

そのことに薄々気づいていたからこの曲が嫌いだったんだ。

でも、自分を押さえ込んで偽っていたのは周りに溶け込むためではありません。

主人公が自分を偽ったのはどんな理由からでしょうか?

自分の姿を偽っていることに気づいた主人公には春が訪れようとしています。

しかし、まだ夢とも現実とも区別がつかない状態です。

はっきりとはしていません。

『Ranunculus』の意味

【DIR EN GREY/Ranunculus】MVを解説!美しさとグロさが混在する異世界の意味とはの画像

人を失う怖さから
いつの間にか自分を
誰かの様に嘘で騙した
その時気が付く
私の心を

Ranunculus
艶やかなこの道を
Ranunculus

出典: Ranunculus/作詞:京 作曲:DIR EN GREY

自分を押さえつけたのは、もう大事な人を失いたくないから。

気づかない内に、過去に自分を騙した「誰か」と同じように自分にも嘘をついていた。

「私」はやっとそのことに気づいて、新たに「艶やかな道」を歩み始めます。

ラナンキュラスとはキンポウゲ科の花の名前です。

花言葉は色によって違います。

MVでは赤いラナンキュラスが登場していました。

赤いラナンキュラスの花言葉は「あなたは魅力に満ちている」。

本当の自分に自信を持ってほしいというメッセージかもしれません。

想像に過ぎませんが、「誰か」は「私」に対して自由を奪うような言葉を言っていたのでは?

「お前はダメな人間だ」「何をしてもダメなんだ」「一人では何もできない」

そんな言葉を毎日言われて、いつの間にか信じるようになってしまっていた「私」。

「誰か」は「私」が自分の思い通りの人間ではないことを知り離れて行ってしまいました。

それがトラウマになって「私」は自分を押さえつけていたのかもしれません。 

生きることへのメッセージ

初めから気付かないフリで
自分自身を押さえ付けて生きてきたのは
上手く生きる為なんかじゃない
春よ、夢うつつ

憎む為じゃないだろ?誰かの為に今日も笑うの?
叫び生きろ 私は生きてる
Ranunculus

出典: Ranunculus/作詞:京 作曲:DIR EN GREY

最後のこの歌詞に伝えたいことがまとまっています。

「どうして生きているのか?」

シンプルですが、とても難しい問題ではないでしょうか。

誰かのために生きるんじゃない。

ましてや誰かを憎むためじゃない。

自分のために生きるべきだとこの歌詞は伝えているんです。

ここで思い出したのが『Withering to death.』収録の楽曲『C』の歌詞です。

dead freedom oh dead freedom
叫ぶ事を忘れたのならばここで叫び ここに生きろ
dead freedom oh dead freedom
何度死んでも叫び向かうさ声を壊し 心で叫べばいい
We can dive We can dive

出典: C/作詞:京 作曲:DIR EN GREY

著者は『C』という楽曲ライブに来るファンに向けた曲だと思っています。

普段は自分を押し殺しているのなら、ライブで叫んで生きろ!

そう手を差し伸べるかのような歌詞には当時、救われたものでした。

2005年の楽曲ですが、13年経っても京さんのメッセージには変わりが無いということが分かります。

よりストレートに分かりやすく表現されたのがこの『Ranunculus』かもしれませんね。

最後に

「生きる」ことを問う楽曲!