ではここから『曇天』の歌詞とギターコードを解説していきます。
DOESの曲はテンポの速い曲が多いですが、こちらもテンポは速めです。
最初のイントロのコードはDm。
ただし、ローポジションのそれではなくハイポジションになります。
また、ギターカッティングを歯切れよく行うのがうまく弾くコツです。
使用しているコードの数も、あまり多くありません。
4つか5つ位です。
歌詞を見ると、映画や写真のように街の情景を切り取っています。
抒情的ですね。
「鉛の空」ということは、もうすぐ雨が降ってくる前触れということでしょうか?
雷も鳴りそうですね。
人物はまだ登場していません。
Aメロ(2回目)
Dm
ひゅるりひゅるり低いツバメが
B♭
8の字なぞってビルの谷を翔る
C Dm F
もうじきに夕立が来る
出典: 曇天/作詞:Wataru Ujihara 作曲:Wataru Ujihara
「ツバメ」が日本に滞在する時期は、おおよそ3月から7月。
「夕立」という言葉があるように、この曲の季節は夏だと思います。
面白いのは「8の字なぞって」という表現。
一般的には「弧を描いて」あたりの表現に落ち着くでしょう。
それを少しひねって上記のような例えにしたんですね。
とても詩的な表現です。
サビ
Dm B♭ F C
曇天の道を傘を忘れて
Dm B♭ F C Dm
歩く彼女は雨に怯えてるので
B♭ F C Dm B♭ C Dm B♭ C
僕も弱虫ぶら下げて空を仰ぐ
出典: 曇天/作詞:Wataru Ujihara 作曲:Wataru Ujihara
サビのコード進行もシンプルです。
歌詞はユニークな箇所が多いですね。
例えば最初。
「道を」と「傘を」というところ。
助動詞の「を」が重複しているかのようです。
しかしここの主語は「彼女」。
さきほどの二つの単語はここにかかります。
文法的にまったく問題ありませんね。
むしろ筆者は、とても面白い文章だなと思いました。
この歌詞に登場する「彼女」とは、いったい誰なのでしょうか?
そのあとに「僕」が登場します。
「僕」というのは、この曲の主人公ですね。
そうすると「彼女」は主人公の「彼女」なのか。
はたまた、主人公に全く関係ない、街中で出会った知らない「女性」のことなのか......。
2番Aメロ
Dm
あちらこちらあんよは上手
B♭
珈琲屋に寄って一休み極めたら
C Dm
帰れない帰らない
出典:
「あんよ」とは子どもが歩くこと。
それに「上手」が付くと、「子供が上手に歩くさまを見て」あやす、という風になるでしょう。
自嘲気味に、散歩している主人公が自分に向かって言ったセリフなのでしょうか?
それとも少し前を歩く「彼女」の姿を見て、想像した主人公の幻想なのでしょうか?
次の「珈琲屋(こーひーや)」という、少し古風な表現も良いですね。
カフェに寄って一服したら、夏のけだるさも相まって、そこにずっと居たくなりますよね......。
特に、最近の夏は暑いですし(笑)
二人の気持ちも「曇天」
2番サビ
Dm B♭ F C
曇天の道をぶらりぶらぶら
Dm B♭ F C
歩く二人は足軽のごとく
Dm B♭ F C Dm B♭ C Dm
危険好きの誰かのふりをする小心物共
出典: 曇天/作詞:Wataru Ujihara 作曲:Wataru Uj
さきほど、「彼女」はいったい誰なのかということを書きました。
ここの歌詞で「歩く二人は」と出てきますから、おそらく彼女は主人公の恋人なのでしょう。
散歩途中で喧嘩でもしたのでしょうか?
「曇天」の空の下、二人の気持ちも「曇天」のようです。
タイトルはそういったことも暗示しているんですね!!
「傘を忘れて」というフレーズが通奏低音のように繰り返されます。
筆者は、ここの部分がこの曲のキーワードになっているような気がしてなりません。
「夕立」は突然やってきますから、出かけるときうっかり忘れたのでしょうね。
夏はそういうことが多いです。
間奏~最後のサビ
Dm F C B♭
Dm F Fsus4 C B♭ C
Dm B♭ F C
曇天の道を傘を忘れて
Dm B♭ F C
歩く彼女は雨に怯えてる
Dm B♭ F C Dm B♭ C Dm B♭ C Dm B♭ C Dm
ので僕も弱虫ぶら下げて空を仰ぐ
出典: 曇天/作詞:Wataru Ujihara 作曲:Wataru Ujihara