星のかがやきよ ずっと僕らを照らして
失くしたくない少年の日の夢よ...
いつかこの町が変わっていっても
君だけは変わらないでいて欲しい
出典: 星のかがやきよ/作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果
このパートの冒頭で書かれているのは、タイトルにもある「星のかがやきよ」というフレーズ。
この言葉が何を意味しているのかはその後の言葉を読むことで分かってきます。
これは前述までの相手とのやり取りとは切り離されたものであると考えるのが良いでしょう。
ここでは単純に、星に対しての主人公の想いが込められています。
星というのはいつまでも変わらずに私たちのことを見守っているものです。
それは自分が少年の時から変わらず、そこにあり続ける。
そして、その星と自分たちは何光年も離れているのです。
主人公にとって、自分が小さかった時の願いもそこに投影されているのかもしれません。
今ではもうあの星のように遠く叶わないものとなってしまった夢。
しかしそれでも、変わらずにそこにあってほしいというのはその夢に対しての憧れが主人公の胸にまだあるからでしょう。
若い頃だから見ることができた夢が、主人公にとっては今も心の支えになっているのかもしれません。
それは自分の根本を見つめることと同義ともいえるのではないでしょうか。
思い出を振り返る
記憶の美しさ
この瞬間 瞬間を 機械はメモリーできるけど
記憶は その時の気持ちまでも 一瞬にして 忘れるけど
出典: 星のかがやきよ/作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果
この2行では、思い出について言及しているようです。
正確に思い出せる「機械」と、人間の「記憶」を対比することでその良し悪しを語っているのでしょう。
正確であるということが必ずしも良いという訳ではありません。
思い出は色褪せていくからこそ、思い出した時にその輝きに気づけることもあります。
忘れてしまうからこそ思い出は輝きを保っていられるのではないでしょうか。
離ればなれの2人
あんなに 誰よりも近い存在だったのに
別れてしまうと他人より 遠い人になってしまうね
ちゃんと逢って 目を見て話したいね
低空飛行をやめ エンジン全開で
出典: 星のかがやきよ/作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果
ここでは男女の別れについて言及しているのではないでしょうか。
つまり主人公にとっては冒頭で出会った相手との別れを意味しています。
2行目で表されているのは、恋人同士であったという過去がその2人にもたらすその後の未来。
別れた後に友達に戻れるカップルというのは多くありません。
深く知り合っているからこそ、友人の距離に戻るということが難しいということが分かります。
3行目では、今では心の距離が遠くなってしまった相手とまた話をしたいという主人公の想いが描かれているようです。
友人関係に戻りたいと考えているのかもしれません。
4行目では前述のパートまでに出てきた「星」の比喩に関係しているのでしょう。
空を飛ぶ飛行機と、思いを伝える様子をリンクさせている表現です。
新たな始まり
恋と夢
星のかがやきよ ずっと僕らを照らして
失くしたくない少年の日の夢よ
何かが終われば また 何かが始まる
哀しんでいる ヒマはない スタートしよう
出典: 星のかがやきよ/作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果
ここまで歌詞を読んでくることで分かることがあります。
それは「星のかがやきよ」の歌詞が、男女の関係と星と夢の関係とを重ね合わせているということです。
この歌詞では、夢が終わるということと恋が終わるということに関連性があることを私たちに教えてくれます。
つまりこの楽曲は、男女の関係を歌っているように見えて、夢を追いかけることを描いているともいえるでしょう。
3、4行目は普通に読むと、失恋をして新たな恋を見つけようとする様子を描いているように見えます。
しかしこれは、少年の頃からの夢が潰えた主人公が新たな夢を見つけようとする始まりも意味しているのではないでしょうか。
以上のことから、冒頭に出てきた「僕」と「君」は「僕」と「夢」の関係を表しているとも考えることができます。
「ヒーロー」は何を指しているのか
星のかがやきよ 本気で世界を変えたいと
思ってる 私のヒーロー まぶしいね
いつか この町が変わっていっても
君だけは 変わらないでいて欲しい
出典: 星のかがやきよ/作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果
このパートで歌詞に出てくる「星」という言葉に関連して出てきた「ヒーロー」という言葉。
これは何を表しているのでしょうか。
「星」というのはもしかしたら、夢のみならず、その夢に向かって努力している人物のことも指しているのかもしれません。
そしてその人物がそうして目標に向かって努力している様子に、主人公は勇気を貰っている。
主人公も同じ道を志したけれど、自分ではその夢を叶えることができなかったのでしょう。
だからこそ、ここではその人物を「星」であり「ヒーロー」であると表しているのかもしれません。
冒頭の出会いというのも、この夢を追う人との出会いを表したと解釈することもできます。
同じ夢を追う人と恋に落ちた。
その恋人が離れていってしまったのも、夢が原因だったのかもしれません。
主人公にとってその別れというのは辛くもありながら、「君」を好きでいるのはその夢を応援したいからなのでしょう。
「星」に向かって進むその人のことを「ヒーロー」であると表していると考えられるのではないでしょうか。
4行目の歌詞には、夢に向かうその直向きさをいつまでも忘れないでほしいという主人公の気持ちが表されているのです。
恋愛ソングでありながら、夢を追うことへのエールも隠された「星のかがやきよ」。
坂井泉水らしい真っ直ぐな言葉で綴られている言葉が、私たちに元気を与えてくれる楽曲です。