台所に立って
あなたの大好きな料理
私がはじめて覚えた料理
たったそれだけだよ
今の私はそれが全て
東京に来てからの全て
出典: カレーライスの女/作詞:つんく 作曲:つんく
サビのメロディやコード進行は切なさを強調したもの。
しかし、歌詞だけはAメロとBメロの雰囲気からガラッと変わっているところが興味深いです。
歌詞も切ないといえば切ないですが、タイトルから察するに一生懸命カレーを作っているのでしょう。
切なさとギャップがあるようなカレーのシーンを敢えてサビでぶつけることで、絶大なインパクトに。
さすがつんくですね。
発想が常人のそれとは違います。
彼がヒット曲を連発した秘密がわかるようです。
彼女のパーソナリティがありありとわかる
サビを聴くと、彼女が上京してきたことがわかります。
きっと、今まで料理などしたこともなかったのでしょう。
恋人がカレーを好きだと知って、それを一生懸命覚えたのです。
当初は、上京してきたばかりで、知り合いや友だちが少なかったのだと思います。
そんな中でその恋人と出会ったなら、相手の存在がすべてになってしまってもおかしくはありません。
恋人との結びつきの象徴であるカレー。
ひとりきりでは、作っているときも食べているときも、相手のことが頭に浮かんでしまうでしょう。
それでも彼女がカレーを作る理由はなんなのか?
探っていきたいと思います。
サビ終わりのCメロ
わかってます わかってます
わかってます わかってます
いつまでも逃げたままでいないから
わかってます わかってます
わかってます わかってます
だから今は何も 聞かないで
出典: カレーライスの女/作詞:つんく 作曲:つんく
Cメロを聴くと、なぜ彼女がカレーを作っているのかがわかるような気がします。
一生懸命、自分を傷つけた恋人のことを忘れようとしているのでしょう。
想い出であるカレーを作ることで、自分がひとりだと実感して立ち直りたいのだと思います。
それと同時に、最後にもう1度だけ想い出に浸りたいのかもしれません。
そして彼女は、Cメロで誰に向かって語りかけているのでしょうか。
おそらく、周囲の人間やリスナー自体。
AメロBメロの内省的な歌詞から打って変わって、歌詞のベクトルがリスナーへと変化しているのです。
この切り替えも興味深く感じられます。
彼女の、もう忘れたい、次に進みたいという気迫が伝わってくるようです。
寂しさを具体的に歌う2番
2番Aメロ 東京に振り回されていた主人公
ブランドバックとか 意味も無いほど
お部屋のそこらじゅうに転がってる
終わっちゃってから あえて思うわ
ほとんど友達もいなかった 今の私に何も無い
出典: カレーライスの女/作詞:つんく 作曲:つんく
バッグは自分で買ったのでしょうか。
恋人に買ってもらったのでしょうか。
答えは書いてありませんが、1番の歌詞を考えると主人公が恋人に尽くされていた感じはしません。
なので、おそらく自分で買ったのでしょう。
上京した頃は、お金もそれほど貯まっていないはずです。
それでも、周囲の女性と同じようにブランド物を持ちたかったのだと思います。
外見的なステータスに執着してしまい、結果人付き合いが疎かになってしまったのかもしれません。
恋人と離れてからその事実に気づき、自暴自棄のようになっているのでしょう。
出口が見つからない2番Bメロ
TVの中のあの子みたく
うまくいきそうな気がしてた
根拠なんて無いけど
英会話も続かないし
なんかやんなきゃいけないと
思っているような そうじゃないような感じ
出典: カレーライスの女/作詞:つんく 作曲:つんく
主人公は女優やアイドルを目指していたのでしょうか。
そうかもしれないですし、そうじゃなくても、とんとん拍子に上手くいくことを願っていたのでしょう。
英語も、必要に迫られて勉強したような感じがしません。
何となく将来の役に立つからといわれてはじめ、結局やめてしまったのでしょう。
頭ではこのままではダメだと理解しながらも、やる気は起きない。
そんな出口の見つからない状態なのです。