「誰もが私に訊ねるの ねえ、どうして口を大きく開けて笑っているのって?

(愛は傷つくものだって皆がいうわ)でも、そんなことは承知よ

(ちょっとだけ努力することが大事よ)オー!」

素顔のビヨンセは天真爛漫に笑うのでしょう。

安心できる愛に恵まれているのですからいつでも笑顔でいられるのは当たり前です。

この曲「Love On Top」は愛の讃歌と書きましたが、そのために壮大なノロケの告白にもなっています。

私が享受している愛はどんなものよりも素晴らしいと特権化させないと歌にはできません。

この世で一番素晴らしい愛(私が調べた限りでは)を描いているのです。

1970年代、’80年代のアッパーな黒人音楽は一様に愛の素晴らしさを歌い上げました。

ビヨンセはこうした伝統に感謝しながら、この幸せな愛を表現します。

一方で彼女は泣く女をあまり書かない傾向があるのです。

不安のない愛に笑顔を魅せる女性の姿。

その他、別れ際に元パートナーに罵倒を飛ばす泣かない女性の姿。

どちらにしても彼女の物事にくよくよしないメンタリティが覗けます。

危険を恐れないで愛を

ビヨンセ【Love On Top】歌詞を和訳して解釈!陶酔してるだけじゃない?涙の先に見える価値とはの画像

現実では愛はときにひとを傷つけるのです。

ニール・ヤングは失恋した友人のために「Only Love Can Break Your Heart」を書きます。

愛だけが君の心を壊すことがあるというサビの歌詞が有名です。

そうした愛にまつわる悲しい出来事やトラウマに引きずられて恋することに臆病になってしまう。

こうした人々が男女問わず一定数いるのです。

愛はうらやましいけれど傷つくこともあるから恋愛はちょっとね。

ビヨンセの周囲の友人がそういっているのです。

しかし彼女はそんなことは当たり前。

そのことで怖気付いて愛の悦びを獲ることをためらうのはあまりにももったいないことです。

草食系」なんて言葉も生まれましたが愛について危険を顧みずに平穏だけを求めるなんて不幸。

愛についてはそれぞれの自由であり、失恋はトラウマが絡む事柄でもありますので一般化は危険です。

しかしビヨンセは危険を恐れずに愛を歌って、現に今、多幸感にあふれていると歌います。

少しの努力をすれば愛の悦びに触れられるのに怖気付くのはもったいない。

ビヨンセの愛のレッスンのようなラインになっています。

価値ある愛を育てて

ビヨンセ【Love On Top】歌詞を和訳して解釈!陶酔してるだけじゃない?涙の先に見える価値とはの画像

Nothing's perfect, but it's worth it
After fighting through my tears
And finally you put me first

出典: Love On Top/作詞:The-Dream, Shea Taylor & Beyoncé 作曲:The-Dream, Shea Taylor & Beyoncé

「完璧なものなんてないわ だけど愛は価値のあるものよ

自分の涙と闘ってきた後に

とうとうあなたが私を最愛の女性にしてくれたわ」

愛は誰しもを幸福にするものではないです。

ときに愛のために不幸のどん底に突き落とされます。

そんな危険があったとしても、愛による悦び以上の幸福は人間にはありません。

ビヨンセ自身もこの愛を掴むために幾度となく涙を流したことを告白します。

そうした葛藤を超えた先にあなたが私のことを最優先に考えてくれるようになったと歌うのです。

ビヨンセのような女性にここまでさせる男性とはどんな人なのか気になってしまいます。

それでもビヨンセのような人でも愛を獲得するために最大限の努力をしている事実に感じ入るでしょう。

涙の先には最高の愛が待っていてくれました。

そしてその愛を実際に手に入れられたという奇跡を自分で祝福する歌が「Love On Top」の正体です。

この先、彼女がまた涙に暮れることがないように祈ります。

女性優位時代が到来

新しい愛の讃歌

ビヨンセ【Love On Top】歌詞を和訳して解釈!陶酔してるだけじゃない?涙の先に見える価値とはの画像

Baby, it's you, you're the one I love
You're the one I need, you're the only one I see
Come on, baby, it's you

出典: Love On Top/作詞:The-Dream, Shea Taylor & Beyoncé 作曲:The-Dream, Shea Taylor & Beyoncé

「ベイビー、あなたよ 私が愛しているのはあなただけよ

あなたは私が必要とする唯一の人 私に見えるのはあなた唯一人なの

そうよ ベイビー あなたなのよ」

これからずっとノロケ大会が続きますので覚悟してください。

「Love On Top」は愛の讃歌ですからまずは自分のパートナーを自慢します。

ビヨンセには浮気症の男を罵倒するヒット曲があるのです。

メガヒット曲「Irreplaceable」が代表的でしょう。

またアルバム「4」からのシングルBest Thing I Never Had」なども不実な男を捨て去る歌です。

このラインを読むとビヨンセ自身が一途な愛こそ本来の恋愛の姿と考えているのが分かります。

一回の浮気くらいならなんて甘い考えは彼女の前では通用しません。

束縛系の女性なのかなとか心配になるくらいの溺愛ぶりです。

おそらくビヨンセ自身の理想を投影したフィクション。

1970年代の黒人音楽の愛の讃歌に倣ってみた歌詞だと思われます。

私たちは一生をひとりのパートナーと添い遂げるような愛に憧れますが叶いません。

ビヨンセにしたってその点は同じで様々な恋愛を経験してきたでしょう。

だからこそ今度の男性とは一生をともにしたいと思うのです。

あなたはどこまでも献身的

ビヨンセ【Love On Top】歌詞を和訳して解釈!陶酔してるだけじゃない?涙の先に見える価値とはの画像

You're the one that gives your all
You're the one I can always call
When I need you, make everything stop
Finally, you put my love on top

出典: Love On Top/作詞:The-Dream, Shea Taylor & Beyoncé 作曲:The-Dream, Shea Taylor & Beyoncé

「私に自分のすべてを捧げてくれるのはあなただけなの

私がいつでも呼び出すことができるのはあなただけね

私があなたを必要とすると すべてを投げ出してくれる

最後にはあなたが私の愛を最優先事項にしてくれるの」

随分、献身的なあなたの姿が描かれているでしょう。

ビヨンセの頼みごとは何でも聴いてくれます。

彼女のようなスーパースターでないと歌えない歌詞でしょう。

これほどまでに献身的に扱われて不思議ではない特別な女性だけにしか歌うことは許されません。

旧い価値観による男女の主従関係を何気なく転倒させる辺りがビヨンセらしいです。

女性が男性に尽くす時代なんて終わったの。

もう時代は女性優位時代に変わってしまったのという主張を隠しているのかもしれません。

もしくはビヨンセはじめ新しい時代のSSW(シンガー・ソング・ライター)には当然のことかも。

日本社会でも女性の社会進出が進みましたが、まだまだ女性の地位向上の努力が足らないといわれます。

こうした社会からビヨンセの歌詞を見つめると本当に価値観が進んだ社会がうらやましいです。

私があなたを呼ぶと仕事まで放り出して駆けつけてくれる。

必要なときにそばにいてもらえることほど嬉しくて愛を感じることはありません。

愛に優しい社会を

ビヨンセ【Love On Top】歌詞を和訳して解釈!陶酔してるだけじゃない?涙の先に見える価値とはの画像

Ooh, baby!
You put my love on top, top, top, top, top
You put my love on top
Ooh, come on, baby!
You put my love on top, top, top, top, top
You put my love on top

出典: Love On Top/作詞:The-Dream, Shea Taylor & Beyoncé 作曲:The-Dream, Shea Taylor & Beyoncé