健やかに育ったあなたの真っ白なうなじに
いつぞや誰かがキスをする
胸を体を引き裂くような別れの日も
いつかは必ず訪れる
そんな時にもきっとあたしがあなたのそばにいる
出典: 瞳/作詞:AIKO 作曲:AIKO
「健やかに育った」という言葉から想像できるのは「子供」ではないでしょうか。
なので、「あなた」は「子供」を表していると考えられます。
その「子供」と最初の「Happy Birthday to You」という言葉を掛け合わせて考えると、この曲は子供の誕生を祝う曲なのではないでしょうか。
ということは、先ほどの「小さくて大きな生きる喜び」とは生まれてくる「あなた」を育てていく日々とその幸せのことだと解釈することができます。
そんな「あなた」が大人になっていく中には出会いや別れがいくつもあるはずです。
しかし、どんなにつらい時でもそばにいるという締めくくりから親目線のサビになっていることが分かります。
いくつになっても子は子で親は親なのです。大切な子供を守り続けていく温かい気持ちが感じ取れます。
子供だから今はまだ小さい身体。
しかしそこから受け取る喜びは、その身体の小ささからは比べ物にならないほど大きいのでしょう。
これが相反するように思える2つの形容詞をくっ付けた表現の答えだと考えられます。
冒頭の歌詞で歌われていた「光」というのも、子供のことを指していたのではないでしょうか。
生まれようとしてくる我が子に対しての想い。
それを「光」のような希望だと表現していたのでしょう。
ここには親の愛情が込められています。
いつか自分の元を去ってしまうとしても、いつまでもその喜びは続いていく。
子供が悲しんでいても自分はずっと寄り添っていたいと思うのは、それだけ喜びを与えてもらったからなのでしょう。
我が子の未来
どんな大人になっていくのだろう
明日最後を遂げるもの明日始まり築くもの
時が過ぎて花を付けたあなたの小さな心の中に
一体何を残すだろう?
“Happy Birthday to You"
出典: 瞳/作詞:AIKO 作曲:AIKO
生まれてくる新しい命があれば、散りゆく命があるのも人間です。
健やかに育っていく過程を花が咲いていく様に重ねています。
命の芽が蕾になり、それが花開いてあなたが大人になった時、何を感じ、何をしているのだろうと大人になったあなたを想像する2番の入りになっています。
大人になっていくにつれて、様々な出来事を経験し「あなた」の中でいろいろな変化が生じることでしょう。
その思い出の数々が大人になった「あなた」を形成する一部となる。
1つ1つの出来事が花となって、「あなた」の心を特別な色に染め上げていくのです。
将来どんな大人になっているのか。
それを考えて楽しみにしながら、主人公は「あなた」の誕生日を祝っています。
ここでは子供が生まれてきてくれたことへの感謝と、未来への希望が描かれているのでしょう。
これからの我が子と共に過ごす生活への楽しみな気持ちも表れています。
愛を大切に
しっかりと立って歩いてね よろめき掴んだ手こそが
あなたを助けてあなたが愛する人
出典: 瞳/作詞:AIKO 作曲:AIKO
自分の足で歩いていけるような自立した人間になってねという願いが込められています。
しかし、人生は上手くいくことばかりではありません。この先には挫折や苦難も待っているでしょう。
そんな時に手を差し伸べてくれる人を大切にするようにとアドバイスがなされています。
自分1人では乗り越えられないことも、愛する存在がいれば乗り越えられるかもしれません。
自分を助けてくれる人のことを蔑ろにしてはいけない。
それは主人公がこれまでの人生から学んだことなのではないでしょうか。
自分のことばかりを考えてしまうのではなく、周りに支えてくれる人がいることもちゃんと思い出して欲しい。
そんな親心が描かれていると考えられます。
きっと大丈夫
瞳に捉えた光が眩しい日は静かにそっと目を閉じて
昔を紐解いてみればいい確かなあの日
小さな手のひらに無限の愛を強く握って笑った
あなたがいるから大丈夫
出典: 瞳/作詞:AIKO 作曲:AIKO
「光」とは理想や願望を象徴しています。それが眩しいということは自分が望む理想に手が届かないのではないでしょうか。
しかし、そんな時こそ無理せずに今まで自分が積み重ねてきたものを振り返ってみなさい、
そこには笑顔で進んでこれた自分がいるから大丈夫、という教訓が示されています。
主人公は、子供が「夢」を追い求める道の中で挫折してしまう日のことを想像しているのでしょう。
そんな時に考えてほしい過去というのは、その「夢」を志した日のことを指しているとも考えられるのではないでしょうか。
初心を思い返すことで、また1からスタートしていこうという気持ちになれることでしょう。
子供が悲しんでいる時に励ましたいという親の気持ちがここにも表れていると考えられます。
親にとって、子供が成長していくということは奇跡の連続です。
もし挫折する日があっても、そんな奇跡を積み重ねてきた「あなた」なら大丈夫だといいたいのではないでしょうか。
我が子が歩んでいく未来を想像しながら、いつまでも見守っていたいという気持ちが表現されているのでしょう。
愛する存在と共に
健やかに育ったあなたの真っ白なうなじに
いつぞや誰かがキスをする
そしていつかは必ず訪れる
胸を体を頭を心をもがれるような
別れの日も来る
そんな時にもきっと愛する人がそばにいるでしょう
出典: 瞳/作詞:AIKO 作曲:AIKO
そして、1番のサビを繰り返しますが、言葉に変化があります。
苦しい時、つらい時でも今度はあなたを愛してくれる、そして、あなたが愛する人がそばにいるはずだと歌っています。
1番のサビではここは親目線の「あたし」でした。大人になっていくことは大切な人が周りに増えていくことです。
人を好きになって、結婚をして、家庭を持つことも考えられます。
そう考えると、ここの「別れの日」は親である「あたし」との別れを想像させます。
親も人間なのでいつまでもそばにいるわけではありません。
親がこの世を旅立ったとしても、守りたい人、守ってくれる人がちゃんとあなたのそばにいてくれますように。
という願いが込められている締めくくりになっています。
自分との別れによって、子供が悲しみに暮れてしまうかもしれない。
そんな悲しい未来を想像しながらも、主人公は決して悲観的ではありません。
そんな時、隣には必ず愛する誰かがいてくれる。
そんな存在がいてくれさえすれば、我が子は大丈夫だと思っているのでしょう。
親から子供へと注がれた愛情は、子供の家族へとまた受け継がれていくのです。
この「瞳」という楽曲には、我が子への愛情と未来への希望が歌われていました。
恋愛とはまた違う種類の、全てを包み込むような深い愛情。
子供目線で聴いても親目線で聴いても、心が温かくなる楽曲です。