スピッツのシングル「スカーレット」とは?

スピッツのシングル「スカーレット」の歌詞に迫る!【CYCLE HIT】収録♪の画像

「スカーレット」はスピッツの通算15作目のシングルであり、ドラマ「メロディ」の主題歌としても起用されました。

一つの到達点とボーカルの草野さんが言ったというこの曲は、スピッツの代表曲の一曲といえるでしょう。

「CYCLE HIT 1991-1997 Spitz」に収録

スピッツといえば、2017年7月に2006年から2017年の最新シングルまでを収録した「CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection」がリリースされ、それ以前のシングルが入った「CYCLE HIT」も一緒に入れられたCD3枚組の30周年記念ボックスが発売されたことでも話題になりました。

「スカーレット」はその中でも1枚目の「CYCLE HIT 1991-1997 Spitz」の最後に収録されています。

1997年を境に、1997年1月にリリースされた「スカーレット」は1枚目に、同じ年でも1997年4月発売の「夢じゃない」は2枚目に入ったということですね。

ちなみに、スピッツのシングル曲がすべて入った「CYCLE HIT」は3枚とも、最新曲も含めてすべて名曲揃いなのでオススメです。

曲名が「スカーレット」である理由

スピッツの曲には「ロビンソン」のように曲名と曲の内容を結びつけるのが難しい曲もあるのですが、「スカーレット」は割と結びつけやすい曲名だと思います。

というのも、スカーレットとはやや黄味の赤のことであり、伝統的に炎の色とされています。

つまり「スカーレット」は、曲の歌詞に出てくる、「赤い灯」の色ということですね。

そんな「赤い灯」が何を指しているのかはこの後の歌詞解釈で考えていきますよ。

スピッツ「スカーレット」の歌詞解釈

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「CYCLE HIT」の発売によってまた改めて「スカーレット」を聴き、歌詞が気になったという方もいるのではないでしょうか。

スピッツの曲は解釈をリスナーに任せるというバンドの方針なので、解釈の仕方は様々となっていますが、今回は、スピッツの他の楽曲も参考にしながら解釈をしていこうと思います。

「赤い灯」って何のこと?

離さない このまま 時が流れても
ひとつだけ 小さな 赤い灯を
守り続けていくよ
喜び 悲しみ 心ゆがめても
寒がりな 二人を 暖めて
無邪気なままの熱で

出典: スカーレット/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

「離さない このまま 時が流れても」の歌い出しが印象的な「スカーレット」のサビですが、一番の謎は「離さない」と「守り続ける」の二つの動詞の目的語となる「赤い灯」は一体何のことなのかということですよね。

まずはそこを解明しないと、後の歌詞の解釈もできないのですが、あまりにも歌詞の中に手がかりがないので、スピッツの他の曲に出て来る「灯」のモチーフから考えていきたいと思います。

スピッツにとって「灯」は何の象徴?

「灯」というキーワードで筆者が連想したスピッツの3曲から、解釈の手がかりを探してみます。

今回引用した3曲もいい曲ばかりなので、筆者の考察にしばしお付き合いください。

1曲目は、27thシングル「水色の街」のカップリング曲「孫悟空」です。

胸に火を灯そう
もがき続けてよう
初めてを探してる

出典: 孫悟空/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

「孫悟空」には、「胸に火を灯そう」という歌詞が出てきます。

「もがき続け」る探究心と、「初めてを探」す好奇心に「火を灯そう」と言っているので、ここでは心に火を灯すということを歌っているのですね。

では、「スカーレット」の「赤い灯」も心に灯った「灯」なのでしょうか。

続けて見ていきます。

2曲目は、2013年発売のアルバム「小さな生き物」から「ランプ」の歌詞です。

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あなたに会いたいから どれほど 遠くまででも
歩いていくよ 命が 灯ってる限り

出典: ランプ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

ここでは死んでしまった「あなた」に会うために、「命が灯ってる限り」自分の人生を歩き続けるという歌詞があるように、ここ出てくる「灯」は「命」の「灯」ですね。

この曲には「ただ信じてたんだ無邪気にランプの下で」という歌詞も出てきており、曲名にもなっている「ランプ」自体が「灯」とも言えます。

無邪気に信じるというところから、穢れなき「灯」というイメージが浮かび上がってきますね。

穢れのないイメージは「孫悟空」でも純粋な心が描かれているので、共通点を感じますね。

3曲目は、「灯」は「あかり」とも読めるというところから連想した、知る人ぞ知る、未発売の曲の「あかりちゃん」です。