君が追いかけた夢なら
傷つくことにおそれないで
ふるえる夜には君を抱きしめてあげよう
だから
悲しそうな顔はやめて
君の笑顔を見せておくれ
誰より素敵な僕の大切なその笑顔を

出典: 君が追いかけた夢/作詞:Gackt.C 作曲:Gackt.C

しかしここは夢の中。

思いのほか、素直な感情が口をついて出てきました。

「君」は当時、何か自分の大きな夢に対して進もうか進まないべきか迷っていたのでしょう。

そんな「君」に、主人公は気持ちのこもったたくさんの言葉を投げかけていきます。

今、主人公にとって最も「大切なもの」。

それは「君」の笑顔に他ならないのですから。

「ブレーキもない車」とは

ミステリアスな「君」

今でも覚えてるよ
永遠はここにはないと
消えてく者を悲しい目で見つめ続けてた

出典: 君が追いかけた夢/作詞:Gackt.C 作曲:Gackt.C

ここの部分の1行目で覚えているのは「君」の笑顔です。

少しややこしいのですが、前の部分の歌詞につながっています。

夢の中の「君」は、意味深な言葉を発しながら遠くを眺めていました。

おそらくは、当時から少しミステリアスな部分があったのでしょう。

現実でも意味深なことを口にしていた「君」でしたが、夢の中においてはそれが現実になり始めました。

何が起こっているのかを表しているのが3行目の部分です。

「君」が言葉を発しながら見つめた人たちが、次第に消滅していきました。

「ブレーキもない車」が意味することとは

ブレーキもない車に乗るやつはいない
そう呟いて
うつむいて強がる君をただ引き寄せ強く抱きしめた

出典: 君が追いかけた夢/作詞:Gackt.C 作曲:Gackt.C

消滅していく人々を悲しい表情で見送っていた「君」でしたが、最後に言った言葉が1行目です。

これはいったいどういう意味なのでしょうか。

2行目の様子から、「君」がどういうテンションで発した言葉なのかを感じとることができます。

ここからわかる感情として、ネガティブなものであることが伺える表現です。

そしてこの時点での「君」は、何かに挑もうとして進退を迷っている状況であることは上述の通り。

その状況で、ネガティブに発した1行目の言葉が意味することはひとつしかありません。

進もうとしている自分のことを卑下して、戻ろうとしている自分を肯定しているのです。

進んでも何も得るものがないということが一般的な常識として浸透している結果なのでしょう。

そこをあえて進むかどうかを迷っている「君」

強がりにも似た発言に対して、主人公は3行目のような行動しか取れませんでした。

いつまでも見守っているよ

「君」を苦しめる呪縛

君が叶えたい夢なら
うつむいて泣いたりしないで
眠れぬ夜には夢が見れるまでそばにいてあげる

そんなに恥ずかしがらないで
君の笑顔を見せておくれ
誰より素敵な僕の大切なその笑顔を

出典: 君が追いかけた夢/作詞:Gackt.C 作曲:Gackt.C

「君」は夢に向かって行動したいけれど、周りからバカにされたくなくて動けない。

そんな呪縛を解くように、まっすぐな言葉で励ます主人公の様子が描かれます。

こんなことが言えるのも夢の中だからこそ…。

夢の中だからこそ主人公は強気で、包み隠さず素直な発言ができています。

迷える年代

数え切れない夢を語り合ったあの頃には
もう、戻ることはないけれど

出典: 君が追いかけた夢/作詞:Gackt.C 作曲:Gackt.C

この部分の歌詞から主人公たちの年代がわかります。

この夢に出てくる「君」やその他の人たちと一緒にいたのはおそらく学生時代なのでしょう。

就職先を探しながら人生の岐路で迷う大学生といったところだと思われます。

何事に対しても無根拠に挑戦できた高校生を過ぎて、理想と現実の狭間で揺れ動く微妙な年代。

気持ちは攻めていても、現実を見てしまってどうにも踏み出せないのです。