玄人衆素人衆皆の衆賛否両論頂戴
置きに行こうなんぞ野暮
新しい技毎度練り出したいです
苦しくとも僕には判っている貴方も同じ様に
ひとり生きている
出典: 浪漫と算盤/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
より難解な歌詞になってきました。
「玄人衆素人衆」は社会的地位や立場ということです。「新しい技」とは挑戦や野心を意味しています。
平々凡々とした安全な生き方をするなんてつまらないでしょ。言いたいことがあるならご自由にどうぞ。
どんな立場であれ人は皆平等。野心を持つ以上、代償はつきものじゃありませんか?
私と同じ境遇で挑戦し続ける貴方なら分かるでしょう、人は誰しも孤独なことは。
どうせなら笑って暮らしたい
権力者をあざ笑う
宇宙を因数分解したとこで自由と
孤独だけが待っているんでしょう
玄人で素人で労働者で生活者の侭
面白可笑しく居させて煩わしい役
毎度請け負いたいです虚しくとも
出典: 浪漫と算盤/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
この楽曲でいう「宇宙」は、夢や浪漫の対照ではないかと考えます。
宇宙の実態はまだまだ果てしなく、その謎を究明することは並大抵ではありません。
数学における「因数分解」とは、足し算や引き算の数式をかけ算へ変形させることです。
面白きこともない世
歌詞に落とし込むと、夢や浪漫を追い続けたところで最期にはなにも残らない。
あげくの果ては「自由」と「孤独」が待ち構えているのでしょう。
突きつめても仕方がない、ということになります。
ならばわたしは「労働者」と「生活者」両者の立場を請け負い、「面白きこともない世」を可笑しく生きていきたい。
地位や名誉だけにしか興味がない人間を、可哀想だとあざ笑っているのかもしれません。
そう、「算盤弾いて」まで生きたくないと。
算盤を弾く?
貴方を思うたび僕は赦されていく
夢と現を結わえて
屹度そう浪漫抱えたら算盤弾いて
両極のど真ん中狙い撃ってお願い
勇気をおくれ・・
出典: 浪漫と算盤/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
「赦され」は解き放たれることです。「現」うつつ、夢心地のような気持ちのことをいいいます。
「算盤」とは皆さんご存知、計算器具のことです。
「そろばんを弾く」弾く=はじく、こちらが不利益にならないよう損得勘定を考えることを意味します。
昔の方が商売上や、仕事の駆け引きなどで頻繁に使われていました。
良くも悪くも使う場面が限られているので、特に若い方はあまり聞き慣れない言葉かもしれません。
「夢と現実の狭間を往き交い、ふわふわしながら生きている私に見えたときは...。
損得勘定抜きで貴方に如何にしても軌道修正してほしい」といったところでしょう。
手探りで生きている
疑わしい相手ならいつだって自分
ずっと進化したいよね答え合わせ
貴方を知るほど僕は正されていく
捨てた物じゃないただ生きようと
出典: 浪漫と算盤/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
ここまでの歌詞では、どちらかというと「算盤を弾く」ことに対し否定をしている流れでした。
ですが終盤4行の歌詞では、「夢」と「現」を肯定してほしいと思わせるような内容に落ち着いているのです。
「進化」と「答え合わせ」がそれに当てはまります。
もっと掘り下げれば、前述で「両極のど真ん中狙い撃って」と哀願していたにも関わらず腑に落ちません。
夢と現実を彷徨っているように見えるのなら、その時々で「誰」かによって正してほしいと感じるのです。