『きゅるきゅる』について
大森靖子のメジャーデビューシングル
過激な行動や発言で注目を集め、衝撃的なライブパフォーマンスが見るものを虜にする魅力的なシンガーソングライター「大森靖子」。
インパクトのある活動に目を向けがちですが、作詞・作曲といった音楽性の高さが彼女の本当の魅力と言えるでしょう。
圧倒的な歌詞の世界観を生かす抜群のソングライティングのセンスは、聴けば聴くほど引きこまれてしまう深みがあります。
そんな彼女の2014年月にリリースされた記念すべきメジャーデビューシングルが『きゅるきゅる』です。
まず、このオノマトペなタイトルが気になった方も多いでしょう。どのような意味が込められているのか考えてしまいますよね。
しかし、このタイトルには「深みがゼロ」なのだと大森靖子は語っています。とても意外な気がしますよね。
メジャーで活動することが決まり、1人で「大森靖子」を背負う必要がなくなったことがその大きな理由なのだそうです。
できるだけイメージを限定せずに、聴く人の感性に委ねたいと考えたのではないでしょうか。
サウンドはポップでキャッチー。歌詞はわかりやすそうで謎めいているところが面白いですね。さまざまな捉え方ができます。
アルバム『洗脳』収録
『きゅるきゅる』は2014年12月にリリースされたメジャー1stアルバム『洗脳』にも収録されています。
タイトルから攻めていますが、内容はもっと攻めています。大森靖子のミュージシャンとしての成長が感じられる楽曲ばかりです。
弾き語りが中心となっていたインディーズ時代とは違った印象を受けるでしょう。
まず、1曲目の『絶対絶望絶好調』の疾走感と独特な歌詞でガツンとやられます。
そこからダンサブルな『イミテーションガール』から『きゅるきゅる』へと続くので、あっという間にアルバムの世界に連れて行かれます。
『きゅるきゅる』が気に入った方は、ぜひ『洗脳』も聴いてみてくださいね。
歌詞の意味を解釈
大森靖子が聴く人によってさまざまな捉え方ができるように意識したと語る『きゅるきゅる』の歌詞。その気になる歌詞の意味を解釈していきます。
「かわいい人」と前向き
食べかけの愛にラップをかけて あなたはいつまでとっておく気よ
腐っちゃうのを試してるんでしょ かわいい人ね
愛してるからできることなんて そんなに多くはないのよ
欲しがらないならあげてもいいわ かわいくしててね
出典: きゅるきゅる/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子
付き合い始めたら女性に冷たくなる男性がいるという話はよく耳にしますよね。
そのような男性は「釣った魚に餌をやらない」などと、非難されることもあります。
「腐っちゃうのを試してるんでしょ」という歌詞には、「本当は好きなくせに」という意味があるでしょう。
そのため、「かわいい人」と言っています。前向きな女の子という印象です。
愛しているからといって、他の人以上にできることなどそんなに多くはありません。まめに連絡を取ったり、「愛してる」と口にしたりとその程度でしょう。
「あげてもいい」と言っているのは、自分の好きという気持ちのことだと思います。
秘密の花園とは?
きゅるきゅる私似合わないけど 着てみたいワンピ歌いたいうた
きゅるきゅる私守れないけど 秘密にするような花園 知らないよ
連れてってよ ググってでてくるとこなら どこへだっていけるよね!
出典: きゅるきゅる/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子
「きゅるきゅる」が何かと深く考えてみましたが、よくわかりませんでした。
感情や何かしらの行為をあらわしているのではないかと思います。ここは考えるよりも、感じた方が良いでしょう。
好きな人ができると、自分に似合わないとわかっているワンピースが着てみたくなることもありますよね。
できないと思っていたことが今ならできるというポジティブな気持ちになるものです。
秘密の花園はここでは性的な意味で使われていると思います。そのような貞操観念はないという意味でしょうか。
Googleで出てくる場所は、時間とお金さえあれば行けます。
しかし、現実的には行けない場合も多いです。それでも、「どこへだっていけるよね!」と言われたら、押し切られてしまいそうですね。
私を捨ててしまう
食べかけの愛にラップをかけて あなたは他のを食べたくなるのね
そのうち腐った私をみて 捨ててしまうの
誰でもいいなら私でいいじゃんって つまんないこと言っちゃったな
電車はこないしメールもこないし ヒールはきついし馬鹿ばっか
水色のレイディーなんて最近みないし
夢ばっかみないで無駄だよ ザーメン?
出典: きゅるきゅる/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子
1番の歌詞がかわいかったのに対して、2番の歌詞は大森靖子らしくなっています。むき出しの感情が感じられるでしょう。
手に入れた愛は冷たくなっているのに、「あなた」は他の女性との愛を食べたくなるのだと言っています。
そして、時間が経って腐った愛をどうせ捨てるのだと非難しています。
「誰でもいい」という男性の多くは、誰でも良いとは思っていません。実際はハードルが高めの場合が多いです。
自覚がないので悪質だなと思います。それをわかっているのに「私でいいじゃん」と言ってしまった自分にがっかりしているのでしょう。
恋愛がうまくいかなくなると、嫌なことしか起きないような気分になりますよね。
「水色のレイディー」とは何を意味するのでしょう。水色を着ている女性はさわやかで清潔感のあるイメージがあります。
しかし、それを着ている女性は、そのようなイメージを意図して着ている場合が多いでしょう。
ここでは、外見だけでなく本質まで淑女の女性はいないという考えをあらわしているのではないでしょうか。
夢ばかり見て他の女性に目移りして、目の前の自分を大切にしないのはムダだと言っています。次の歌詞は、それに伴う行為もムダだという意味ですね。