決別の歌
私生活との接点
「幸せのカテゴリー」は、1997年3月5日にリリースされた、Mr.Children6枚目のアルバム「BOLERO」に収められています。
「BOLERO」は、「Tomorrow never knows」などのシングルヒットを5曲を含み、累計売上300万枚以上の大ヒットとなったアルバムです。
そして、このアルバムの5曲目に収められているのがこの「幸せのカテゴリー」。
「幸せ」という言葉がついていますが、その言葉の意味とは裏腹に、歌詞は「別れ」、「決別」を歌っている歌。
この曲を書いた桜井和寿自身が「寒い詞」と言っているのは、この頃の彼のプライベートな出来事も影響しているかもしれません。
苦悩の日々が佳作を産む!?
名作が次々と
桜井和寿は1994年にトイズファクトリーの元社員と結婚し、娘を授かっています。
2001年8月にリリースされたシングル「優しい歌」は、娘さんの名前「優歌」から来ていて、彼女と元妻に贈られた歌だ言われているのは有名な話ですよね。
元妻との離婚は2000年5月。
結婚して6年目の事ですが、現在の妻、元ギリギリガールズの吉野美佳との不倫が原因と言われています。
その不倫関係が報じられたのは1997年。
90年代後半といえば、Mr.Childrenがヒット曲を連発していた時期でもあります。
平穏ではない私生活を過ごしていた時期に、桜井和寿はたくさんのヒット曲を書いていたことになります。
「幸せのカテゴリー」もその頃に書かれた歌。
苦悩が芸術家を育てるともいいますが、日常の苦悩が彼の歌を生み出すエネルギーにもなったのかもしれませんね。
その後、2000年5月に正式に離婚。
その1か月後、不倫相手の吉野美佳と彼は再婚します。ファンの間でも賛否両論、いや、むしろ冷ややかに見られた再婚でしたが、
現在は、3人の子供を授かり、元妻との娘も含め4人の子供の良きパパ。
子煩悩な姿もファンにはよく知られています。
昨今の「不倫騒動」の中だったら、もっと大変なことになっていたとは思いますが、真相は当事者しか知らないこと。
「幸せのカテゴリー」は、そういう点で言うと、その別れの真相を垣間見せている曲と言えるかもしれません。
カテゴリーとは?
幸せの定義
さて、この「幸せのカテゴリー」に使われている「カテゴリー」は英語の「Category」のこと。
日本語に訳すと「範疇」(はんちゅう)という意味ですが、簡単に言えば、同種のものが存在する「種類」「分野」「ジャンル」ということになります。
物事を分類するときに必ず使われる言葉で、分類することを「カテゴライズ」するという使い方もしますね。
この「幸せのカテゴリー」は、幸せの分類という意味で使われています。
「君と僕とは住んでいる世界が違う=違う範疇にいる」、「同じ幸せを味わうところにはいない」、だからもう「一緒に暮らすことは出来ない」、「別の場所にいるべきだ」という完全な決別の歌なのです。
すれ違いの情景
通り過ぎる愛の言葉
唇を重ねたって 孤独な風
胸を吹き抜ける
出典: 幸せのカテゴリー/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
出だしで、2人の心が全く通いあっていないことがわかります。
愛の言葉を交わしても、口づけをしても、孤独な風が胸を吹き抜けている。
これはもう、救いようがない決定的な別れの情景ですよね。
出会った日の弾む鼓動は
日常という名のフリーザーの中で
とうに凍りついてる
出典: 幸せのカテゴリー/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
「日常という名のフリーザー」、なんと冷静な表現でしょうか。
すれちがう日常を冷蔵庫=フリーザーにたとえてしまうところは、文字通り「寒い」歌詞。
出会った時の「ときめき」は、もう日常生活の中で凍り付いてしまったという意味になります。
決定的な別れの歌。
一緒にいながら、こういう思いを抱いてしまったら...
2人には、もう確かに別れるしか方法がないのでしょうね。