ビジュアル系バンド初期の名曲
1997年のデビュー以降、日本だけでなく世界中で大活躍しているバンドDIR EN GREY。
ビジュアル系シーンを引っ張るバンドでもあります。
今回はそんな彼らが活動初期に発表した楽曲【Ash】をご紹介しましょう。
20年で4回のリアレンジ
アルバム『Behind The Mask〜SOL'FINSTERRE VOL.2』に収録されたのが最初でした。
その後リアレンジされ、以降リリースされたシングルにもカップリング曲として収録されています。
2018年までに4度のレコーディングが行われましたが、それほどまでに思い入れが深い楽曲であることが窺えますね。
ちなみに今回ご紹介するのは、2018年にリリースされたバージョン。
テーマは?
DIR EN GREYの楽曲の魅力といえば、やはり規制ギリギリの過激なテーマを扱っていることでしょう。
結成当初から「痛み」がテーマだった彼ら。
今回ご紹介する【Ash】にも、人間が感じる心の痛みが綴られています。
生きていれば誰もが1度はぶつかる壁かもしれません。
正論が常に正義なのか?常識が常に正しいのか?多数派が正解なのか?
そういった問題に直面した時に感じる心の痛み、そしてそこへの向き合い方は人それぞれでしょう。
彼らはどのようにその痛みと向き合うのか…。彼らの歴史も交えながら解説していきましょう。
夢と現実
甘くない夢
浮き立つ運命に首を括る
秒を読むその先に
闇と光で頭破裂
現実と変わらない。
出典: Ash/作詞:京 作曲:DIR EN GREY
この歌詞における語り手はおそらく「大きな夢へ挑もうとしている人」でしょう。
叶えたい夢に対して人は、様々な道を想像します。
しかし多くの人が抱くのは「夢が叶えば苦しい現実から解放されるだろう」というイメージではないでしょうか。
現実=ネガティブであり、夢=ポジティブである。このような明確な線引きがあるように感じられます。
歌詞中でも同じく対比表現が登場していますね。
1行目、浮き立つとは嬉しさや喜びで落ち着かず、フワフワした心地のことを指します。
しかしそんな幸せがなぜか、息を止めようと首にまとわりついているようです。
また3行目ではよりイメージしやすい言葉で表現し、その差が明確に伝わってきます。
同じフレーズ内で対照的な表現をするのは、それらに大差がないことを意味しているのではないでしょうか。
夢追い人に対して同時に降りかかってくるもの。そんな意味にも捉えられそうです。
これらの状況をすべてひっくるめて、4行目で夢と現実の差を再度確認しているようにも感じられますね。
苦しい現実
息をしても許されない
正論とは何かを犠牲に成り立つもの?
出典: Ash/作詞:京 作曲:DIR EN GREY
1行目は先程引用した歌詞「首を~」の流れを汲んでいるのでしょう。
ここでの呼吸が意味するものは、「夢を叶えるためにとった行動」だと考えられます。
夢追い人たちはその行動をまるで呼吸するかのように自然と、そして当たり前のように取るでしょう。
しかしその行動は何故か否定されてしまう。
自分が夢を追えないことからくる妬みなのか、現実主義なのか、それはわかりません。
しかしそんな否定的な人は必ず一定数現れます。
2行目の疑問はそんな一定数の人たちへ向けた、夢追い人たちからの問題提起なのでしょう。
それでも此処を選ぶ理由
誰かに笑われようとも此処に居る
私は私
出典: Ash/作詞:京 作曲:DIR EN GREY