彼らは木工から這い出た
そして彼らはあなたの脳にささやいた
彼らはあなたをトレッドミルにセットしました
そして彼らはあなたにあなたの名前を変えさせました

出典: Candle in the Wind/作詞:Bernie Taupin 作曲:Elton John

マリリン・モンローとして生きる

ファンや大勢のマスコミは、常にモンローの周りを取り巻きます。

24時間、彼女がどこに行くにも関係なしに。

たくさんの賛辞や賞賛の声に交じって、心にもないひどい言葉もあったでしょう。

でも、モンローは嫌な顔一つせず大女優のたたずまいを変えませんでした。

そう、人前にいるときは、彼女はノーマ・ジーンではなく、マリリン・モンローなのです。

 Elton Johnは崇拝にも似た気持ちで、モンローを称えたのでしょう。

演じ切る

ファンの期待を裏切らないように、いつも笑顔を絶やさずに応えてきました。

みんなの前では、大女優、マリリン・モンローを演じることが彼女の使命だったからです。

それは引退する日まで変わらない日常となったでしょう。

しかし、マリリン・モンローも一人の女性なのです。

家に帰れば、返事を返してくれることもない暗い部屋がそこにあります。

寂しさが、たまらなくこみあげてくる毎日でした。

女優として生きる宿命

And it seems to me you lived your life
Like a candle in the wind
Never knowing who to cling to
When the rain set in

出典: Candle in the Wind/作詞:Bernie Taupin 作曲:Elton John

次の歌詞からは、Elton Johnが感じた、彼女への思いが率直に記されていきます。

和訳しますと、こうなります。

そして、私にはあなたがあなたの人生を生きていたようです
風のキャンドルのように
誰にしがみつくかわからない
雨が降ったとき

出典: Candle in the Wind/作詞:Bernie Taupin 作曲:Elton John

女優として生きてゆく決心をしたマリリン・モンロー。

何者にも劣らぬ圧倒的な輝きをもって、世界を惹きつけました。

でも、Elton Johnには全く違う形に見えました。

圧倒的なように見えるその輝き。

しかし、よく見ると限りある炎のように見えるのです。

そう、風の中をゆらゆら燃えているはかない命のように。

賞賛や賛辞に相まって、容赦なくあなたを襲う心無い批判や妬み。

嫉妬や敵視に対して、今にもあなたが折れそうなのが、手に取るようにわかるのです。

きっと、心の安住できる場所を探していたのでしょう。

マリリン・モンローとして生きる覚悟をしたその日から。

だから、自分を守ってくれる人が必要だったはず。

若い日のElton Johnは、心からそう思ったのでした。

輝きすぎた人生

And I would’ve liked to known you
But I was just a kid
Your candle burned out long before
Your legend ever did

出典: Candle in the Wind/作詞:Bernie Taupin 作曲:Elton John

それでは、次の歌詞和訳します。

そして私はあなたを知りたいと思っていました
でも私は子供だった
あなたのろうそくはずっと前に燃え尽きました
あなたの伝説は

出典: Candle in the Wind/作詞:Bernie Taupin 作曲:Elton John

歌詞の中に登場する、まだ幼かったElton Johnは、そう思ったのです。

Candle in the Windが発売されたのは、1974年。Elton Johnが27歳の時のことです。

そして、マリリン・モンローが亡くなったのが、1962年。Elton Johnが15歳の時でした。

幼少の頃から少年期に至る過程において、マリリン・モンローの存在がどのようなものであったか。

永遠のマドンナを失った悲しみは、言葉にはできない出来事だったはずです。

もし、自分がマリリン・モンローと同世代の男性だったら。

きっと、彼女の力添えになれたに違いない。

でも、その当時のElton Johnはまだまだ子供だったので、どうすることもできなかったのでしょう。

その悔しさ悲しさをこの歌詞からうかがい知ることができるのです。

マリリン・モンローという巨星は、もうこの世にはいません。

でも、自分の心の中に彼女の思い出が消え去ることは永遠にないでしょう。

Elton Johnの思いは、こうやって歌詞の中に息づいているのです。

全てを背負った人

孤独