いくらでも文句言えるよ
その先に何もなくてさ
こんな負の連鎖 飼い馴らして
他の趣味無いの?
出典: かくれんぼっち/作詞:ぷす 作曲:ぷす
自分に生きている意味などないといわんばかりの主人公ですが、決してひとりぼっちなわけではありません。
親、兄弟、友達のすべてが、主人公を見捨てているわけではないのです。
それでも、どうしてこんな自分に構うのか分からず、人からの親切を断り続ける主人公。
ひねくれてしまった心は、そう簡単に素直になることはできません。
何も生み出すことができず、それどころか誰かにとってマイナスな影響しか与えられない毎日。
褒められた経験や認められた経験がなければ、自分に自信を持つことなどできないのです。
苦しみの1つ1つが雨となって降り注ぐ
目に毒だって解ってるけど
見なきゃ気が済まないんだよ
だから止まぬ雨を見ている
その汚い雨を
賭け事上手の君の姿 力強くて
骨に皮貼っただけの私じゃ無理だね
出典: かくれんぼっち/作詞:ぷす 作曲:ぷす
外に目を向けると、主人公と同じように黒い感情を抱えた人たちの叫びが雨となって降り注いでいます。
それに呼応するかのように、主人公の心も毒を吐き始めるのです。
そうしてまた、人生に絶望する人が1人、また1人と増えていく世界……。
まるで希望などどこにもないかのように、太陽は姿を隠してしまっていました。
大粒の雨の一部は、主人公の心が降らせたもの。
多くの人の絶望が集まって、世界中に悲しい雨を振らせるのです。
主人公の目に映るのは、自分とは違い成功を掴み取ることができた人の姿。
自分はといえば、その両手には何も掴めていないままです。
かつては素敵な日々を過ごしていた主人公
明るかった過去を台無しにして
生きてるだけ無駄だって
私の事なんて見放してよ
ざーざー雨が降って舞って勝手
大切なノート 駄目にして
出典: かくれんぼっち/作詞:ぷす 作曲:ぷす
これまで主人公の気持ちを書き連ねてきたノートは、先ほどから降り続いている雨で濡れてしまいました。
その中には、今まで感じた気持ちの数々が余さず書かれています。
暗いものだけでなく、当然明るいものも……。
時には楽しく、時には嬉しく、これまでの思い出を全て詰め込んできたのです。
しかしそんな文字の1つ1つも、雨に濡れればなかったも同然です。
文字が滲み、読めなくなってしまったページを見て、さらに絶望を感じる主人公。
過去の思い出が台無しになったのに加え、これから思い出を積み重ねることすらできなくなってしまいました。
そうしてまた、暗くよどんだ目で明日を迎えることになるのです。
叫びがまた雨を生む
そんな心の奥底で書き留めた
小さな叫びは
鈍色の空に消えて
稲妻になったよ
ずっと かくれんぼっち
出典: かくれんぼっち/作詞:ぷす 作曲:ぷす
ノートに書き連ねることができなくなった気持ちの数々は、もう主人公の心から出てくることはありません。
心の引き出しに詰め込まれて、行き場を失くした気持ちは、主人公の心をどんどんと圧迫していきます。
こんな時、心の悲鳴を誰かに聞いてもらうことができたなら……。
例え解決しなかったとしても、肩の力は抜け、楽になることができたでしょう。
しかし周囲に頼ることのできない主人公は、負担を軽くすることができません。
空に放つしかなくなった思いが、いずれ再び雨を降らせる元となるのです。
日々生きていく中で、もはや悲しみしか生み出すことのできない主人公。
大勢の人間が暮らす世界にいるにも関わらず、心はずっと1人のままです。
かくれんぼが終わる日は来るのか
探さないで
呼ばないでおくれよ
見つけないで このまま
生きてるだけ無駄だって
私の事なんて見放してよ
どうせ夢の一つもないから
どうせ笑う資格もないから
出典: かくれんぼっち/作詞:ぷす 作曲:ぷす
かくれんぼならば、いつか鬼が見つけに来てくれるでしょう。
しかし主人公が身を隠しているのは、自分以外のすべての人から。
助けを求めない主人公のことを探してくれる人は、どんどんと少なくなっていくはずです。
それでも、強がりを止めることのできない主人公。
周りに気を遣うくらいならば、どうかこのまま1人にしておいてほしい……。
そうすることで、何とか弱い心を守っているのです。
誰かを笑顔にすることのできない自分には、笑顔を浮かべることなどできない……。
どんどんと自分に制約を課し、行動を制限しているのは紛れもなく自分自身です。
主人公の悲しいかくれんぼが、終わりを迎える日はくるのでしょうか。