シンプルなラブソング
君が好き。
その思いを簡単に告げることができたら、どんなに楽なのでしょうか。
気恥ずかしさだったり、自信がなかったり、年を重ねていくごとにその口は重たくなる一方です。
青春が閉じ込められた音
「あいまい」はRADWIMPSの1枚目のアルバム『RADWIMPS』に収録されています。
インディーズで活動していた2003年にリリースされ、メンバーは当時みんな高校生でした。
今は透き通るようなハイトーンボイスが特徴の野田洋次郎(Vo.Gt)の声も、まだおぼこさが残っています。
この曲はアコースティックギターによる弾き語りのみのシンプルな構成です。
それでも熱量がひしひしと伝わってきます。
高校生だったからこそ表現できる、良い意味での青臭さ。
青春とも呼べるその音は、リスナーの心を掴んで離しません。
学生の方は主人公に自分を重ねて。
学生ではない方も、好きだった人のことを思い出しながら聴いてみてください。
タイムスリップしたような感覚を楽しめるかもしれません。
主人公は片思い中
「あいまい」はサビ始まりの楽曲です。
サビは3回訪れますが、その全てが一言一句違わず、同じ歌詞です。
前後の歌詞とつながることで、少しずつニュアンスが変わって聞こえてきます。
そこにも着目して解説していきます。
告白寸前
あいまいに君に答え 求めるなんて そんなことはしたくない
だから 僕は言うよ 今すぐでも言うよ
All I wanna say is I love you
出典: あいまい/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
主人公である“僕”目線でこの物語は進行していきます。
僕は君に片思いをしているのでしょう。
今まさに告白しようとしている、そんなシーンなのでしょうか。
最初のサビであるこの部分だけは、アカペラで歌唱されています。
少し切なさを感じさせる野田の素朴な声から、主人公の君に対する、一途で真っ直ぐな思いが伝わってきます。
呼吸と呼吸の隙間にさえ、好きという感情が溢れてくるようです。
君のことだけを見ていたい
君の瞳を一目 のぞきこんでみたいよ そこから何が見えるの
こんなことばかり 君ばかり見ていたい
どうしようもない ないんだ
出典: あいまい/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
主人公の目に映っているのは、いつも君のことだけです。
同じように君も僕を見てくれていたらいいな、と甘酸っぱいようで儚い思いが描かれています。
頭からつま先まで、君のことでいっぱいの僕。
他のことは何もかもそっちのけでいい、そんな勢いさえ感じます。
不思議と暑苦しさを感じることはなく、ただただ「君が好き」という思いだけが伝わってきます。
きっと恋愛以外でも曲がったことが嫌いなのだろうな、とその人間性も想像に難くありません。
だけど気持ちは変わらない
だけど君の思い出の奥に僕の住める場所があるかい
出典: あいまい/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
少しロマンチックなフレーズが、主人公らしさを醸し出してます。
しかし逆説の接続詞で始まったのはなぜなのでしょう。
逆説がなくても違和感があるわけではありません。
もしかしたら君は違う誰かのことを好きなのではないでしょうか。
そのことに主人公も薄々気づいていて、「もしかしたら…」と不安を募らせているのです。
これほどまでに君のことを考えていても、あくまでそれは一方的な好意。
それを自覚しているからこそ、少しの不安を滲ませながら、君に思いを伝えようとしています。